発売中「虫のすみか」

「虫のすみか 生き様は巣にあらわれる」(ベレ出版)出版されました。

写本
身近な裏山から地球の裏側まで、様々な環境で生活する虫たちのくらしを、「住みか」という視点から紹介します。おなじみのアリジゴク、ミノムシから巧妙な巣を作る狩人蜂、はては海、地下、人間の体に住み着くムシまで・・・本邦、世界で初めて生態写真が示される種を含め、ページをめくるたびにいろんな虫がオールカラーで読者を襲います。
ぜひとも購入、よろしくお願いします。

https://www.beret.co.jp/books/detail/616

あまりの存在のどうでもよさに、公共機関に配ったら即刻ビンに詰めて海に捨てられそうな「守りたい日本の絶滅危惧種ポスター砂丘砂浜編」。2760.jpg
申し訳ないが「環境省以下略

夏のアルバムから。
2763.jpgヒラタグンバイウンカOssoides lineatus。大分にて。

ススキの葉に付く奇妙な虫。平たい体でピタッと張り付くため、立体感がなく、そこに生き物が居るという感じを出さない。突き出た頭の中には、よくよく見ると泡が入っている。親戚筋たるビワハゴロモの仲間も、頭のツノの中には泡が入っているという話を聞いたことがある。理由は謎。

大昔、彩の国に住んでいた頃、家の近くに比較的規模の大きい空き地があり、一面がススキ原だった。東京都心に近接した立地で、近年あれほどの草原が残っていたのは珍しい。彩の国では今やかなり珍しいキリギリスが多産し、ススキをタモ網で掬えばヒラタグンバイウンカが何匹も入った。すぐ逃げたため一瞬しか姿を見なかったが、カヤネズミさえ入った。草原の中には存在理由すら分からない大きな側溝が掘られており、梅雨時になると水没して池となり、無数のギンヤンマのヤゴが採れた。
その草原は、数年で完全に地ならしされて壊滅し、後にはクソほどの面白みもない、どこにでもある凡庸な運動公園が出来た。敷地の大半が、草も生えない特殊舗装のグラウンドと、周回全部柵に囲われて水にも触れられない池となった。これにより、この場所から半径数kmに渡り、草原性の生き物を見られる場所が完全に消滅した。

我が家は転勤族だったため、俺は元々この土地には数年しか居住しないことが分かっていた。だから、この地域を終の棲家とする住民らが、あの虫ばかりでクソの役にも立たない草むらよりもランニングやら野球やらできる快適で楽しいレクリエーションの場所を望んだというのならば、それに対してどうこう言える立場にはない。
それでも、時々所用でこの場所の近くを通りかかるとき、あのグラウンドを視界に入れてしまうと、もう辛くて居たたまれない。ああなる前のここの状態が如何ほどのものだったかを、知ってしまっているから。

2761.jpgヤマトビイロトビケラNothopsyche montivaga。西日本にて。

2762.jpg世にも珍しい、陸生トビケラの親。先日の雰囲気からして今年はもう成虫は駄目かと思ってたが、道理を引っ込めて無理を通した。少なかったが、林内で陽だまりの下草にぽつぽついた。ひと月前は、全く姿を見なかったのに。加えて、見つかる筒巣が全てカラだったため、とっくに発生が終わったものと思っていた。騙されたと思ってもう一度来て正解だった。
前回も今回も晴天で、安定した気候だったのに、なんで前回いなかったんだろうか。間違いなく既に羽化はしてたはずだ。もしかしたら、羽化後しばらくは落ち葉下の目立たない所に隠れて活動しないのかも知れない。この生物の生態に関しては、ネットや文献で現時点で得られる情報が極めて少ないため、推測と勘に頼らねば出会うこともままならない。

心残りは、冬尺のそれのように翅が退化したというメスを、とうとう発見出来なかったこと。オスの発生具合からみて間違いなく近くにいるはずなのに。そも、活動時間帯がいつで、植物上に登る習性があるかも分からず探して見つかるはずもないわけだが。
ネット上に見られる僅かな情報から推測すると、どうもメスは日中膝下くらいの高さの下草や貧弱なひこばえの葉上にいるらしいのだが、どんなに探してもオスの姿しかなかった。

2722.jpgゴキブリらしきもの。福岡にて。

ある計画を進める上で、とても重要なエレメント。しかし、分布が恐ろしく局所的な上、計画遂行に絶対必須たる「無傷なオスの成虫」がどうしても得られずにいた種。最近、ようやく入手することができた。こいつと革命を起こす。