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4159.jpgメクラヨコエビの一種Pseudocrangonyx sp.。茨城にて。

地下水に生息する甲殻類。眼も色素もない。たまたま奇跡的に漕げる手押しポンプ井戸を発見できたため、連続で1000回ほど漕いだら出た。ヨコエビは地下水生物としては個体数も多く、出現頻度も高い。地下性ゲンゴロウみたいな激レアモンスターを狙うマニアにとっては、下の下みたいな位置づけの奴だが、それでも出ると嬉しいものである。何せ、今まで各地で井戸ポンプチャレンジしてきたものの、まともに生きたものが出てきたのはこれが初めてだったから。
今回はこいつしか出なかったが、場所柄もしかしたら地下水性のヤバいプラナリアが出る可能性も否定できないので、定期的に調べることにする。

ここ最近、水生昆虫の集大成みたいな図鑑が出たりした関係で、虫マニア連中の間でにわかに地下水ゲンゴロウを得ようという機運が高まっているように思える。たびたび書いてきたが、地下水ゲンゴロウはとびきり奇怪な風体をした昆虫であるため、これを欲する虫マニアは数多い。しかし、それを得るためには地下水を大量に組み上げる作業が必須であるため、物凄い大変な労力を費やすことになる。
それ以前に、そういうことができる井戸を見つけること自体が至難だ。周囲に民家も立っていないような、田舎の墓場脇に放置されている古井戸ならまだしも、現役で使われているような井戸は必ず管理者が大切に守っており、しかもそうした井戸は個人所有の敷地内にあるため、勝手に水を(しかも無尽蔵に)汲み出すなどということが許されない。よって、地下水ゲンの採集には井戸の所有者との交渉がほぼ必須となる。俺のようなコミュ障根暗虫マニアには、あまりにもハードルが高い。もはや虫採りではなく、知らない人間相手の人付き合いの話になってくる。

俺の周囲にも、地下性ゲン欲しさに根性で各地を巡っては井戸のある民家を探し出し、そこの家主に交渉を持ち掛けている猛者が何人もいるが、大抵追い返されるらしい。特に、地下水を使った食品・酒作りを生業としているような所の場合、おそらく豊富な地下水を蓄えているがゆえに多大な成果が望める立地ではあるのだが、こういう商売をしている人は口に入るものを売る関係上、「自分の所の水からムシが出るなどということを知りたくないし、知られたくない」場合がほとんどである(地下水ゲンゴロウは決して不潔な生物ではなく、むしろ清涼な地下水が存在する証拠なのだが、ムシ嫌いの人間にはそんなのどうでもいいことだ)。
とある地域の個人宅にある井戸からは、これまでどこからも見つかっていない新種とおぼしき地下水昆虫が出たのだが、所有者の「うちの井戸からそんな汚いモノが出たなんてことを、世の中に広めてくれるな」という意向により、発表もできず闇に葬られたという、嘘のような嘘の噂もあるほど。
井戸所有者の全面的協力と理解なしに、地下水生物の調査などまともにできない現実がある。

最近、幾ばくかの売れない本を出したり、ラジオその他でメディアに出る機会が多くなったせいか、多くの人間に自身の存在を認知されるようになってきた。それに伴い、既に何人もの奇特な方々から「何か研究・活動に協力できることがあればさせてほしい」とのメールやお手紙等をいただくに至っている。
私のような無名底辺の研究者もどきのために、そのようなことをおっしゃっていただける方々がいること、心から嬉しく思います。もし私のために何らかの援助の手を差し伸べて下さる方がいるのであれば、金品や高級な食い物などはいりませんので、

・いくら水を汲み上げてもお咎めない井戸があればご連絡ください。あるいは、うちの井戸ならいくら水を汲みだしても大丈夫という方もご連絡頂けると嬉しいです。手押し式・モーター式の別を問いません。地域も問いませんが、関西以西だとなおのことよいです。
ご協力いただいたあかつきには、もしその井戸から何か生物が出た際に、誰にも負けない写真撮影技術でその生物の生きた姿を美しく撮影し、大きな額縁にはめてプレゼントいたします。

・6mmくらいの大きさで、触角と後脚が毛むくじゃらの茶色くて平べったいムシがそこらに飛んで来たら、ご連絡頂けると幸いです。それは、私が人生をかけて生態解明しようと目論んでいる生物の可能性があります。


今後無期限にて募集中です。何卒よろしくお願いいたします。

3673.jpgナガワラジムシHaplophthalmus danicus。千葉にて。

国内のナガワラジムシ科の種はいくつかいるが、本種を除き全て洞窟・地下浅層に特殊化したもの。

3597.jpgオカメワラジムシExallononiscus sp.。兵庫にて。

クロオオアリの巣内で、多数のハガヤスデとともに出土した。

3471.jpgチゴガニIlyoplax pusilla。千葉にて。

夕陽を浴びて、ひたすら踊り続ける。

2985.jpgミズムシAsellus hilgendorfi。白癬菌とは関係ない甲殻類。高知にて。

日本全国の、やや汚れた水質の池や川で見られる。そのため、やや汚れた水域の指標生物のようにしばしば言われるが、清涼な地下水にもかなり侵入する。本来、薄汚い灰色の体をしているが、地下水で見られる個体にはやたら色素が薄いものが少なくない。
写真の個体は、とある洞窟内のたまり水で見つけたもの。色が薄かったので、もしやと思って撮影したのだが、しっかり眼がついてやがった。

淡水性のミズムシ科には、日本だけでもけっこうな種数が知られているらしいが、無印のミズムシ以外はすべて地下水性。真の地下水性の種は、体色が完全に抜けて真っ白けで、しかも無眼。いずれの種も、洞窟内のたまり水や湧き水の吹き出し口から得られるというが、ヨコエビに比べて遥かに採集しにくく、俺はまだ一度も発見に成功していない。