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ペイヴァーシュヘレヴ

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マオウカレハカマキリParablepharis kuhlii。タイにて。

極めて稀。野外で生きた個体をみた日本人が、史上何人いるだろうか。この個体も、自力で発見したものではない。前々から本の写真で見て、いつか実物を見たいと思っていたもの。巨大な生物を想像していたが、意外と小型だった。

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頭の角、強靭な鎌、その内側の毒々しい色彩、まさに魔王の風格。この生物は、ほっとくと枝の裏側にぶら下がった体制で定位する。逆さまの状態が本来の姿なので、ここに示した図は一番上の以外は上下”反転”。

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「消えた消えた、ようやく消えた!私を惑わす奸佞邪智の人間が!」

2094.jpgタイの水溜り。宿舎のそばにある。

夜間はヘビやカエル、フチトリもどきゲンゴロウにアオヘリオガサワラもどきアオゴミどもが運動会。朝になると、それらはかき消すようにいなくなり、トンボとカトリバエと狂三くらいしかいなくなる。夜間のほうが、生き物の気配がだんぜん濃い。如何に熱帯では、夜のフィールド調査が欠かせないかが分かる。

この宿舎の近くには、もっと広大な池とそれを取り巻く湿地帯があるが、宿舎からかなり歩かないといけない。最近、近辺でゾウが出没して人が踏み殺されたため、行政命令により夜間は遠出が禁じられてしまい、行きたかったのに行けず。オオヒラタトックリゴミムシを採る夢が絶たれた。

2147.jpgカトリバエ一種Lispe sp.。タイにて。

とても種数が多く、互いに酷似していて同定困難な仲間。日本にも沢山いる。湿った土や藍藻類で覆われた地面が少しでもあれば、都市部にも多い。
凶暴で残忍な性格。水たまりの周囲を素早く徘徊し、羽化してくるユスリカなどを血眼で探して回る。獲物を見つけると一直線に走り寄り、言い訳も聞かずにいきなり太い口吻を突き刺して殺す。骨の髄まで中身を吸い尽くし、亡骸は無造作にその辺にうち捨てる。

あまり特殊な外見をしていないが、捕殺能力の高い優秀なハンター。

2120.jpgキイロサシガメの近縁種。タイにて。

夜間、湿ったぬかるみに現れる。一見してサイズと色調が同所的にいるミイデラゴミムシの仲間そっくりで、おそらく擬態している。ゴミムシと違って屁はこかないが、鋭い口で刺す。

2146.jpgたぶんオキナワスジゲンゴロウ。タイにて。

浅い水たまりに、佃煮にする程いた。オキナワスジは東南アジアに広くいて、日本では南西諸島で見られる。日本では近年生息環境が悪化しており、以前よりかなり減ったが、まだそこそこいる。東南アジアでは、浅い止水域さえあればいくらでも見られるド普通種。

オキナワスジと書いてしまったが、普通のスジゲンゴロウも東南アジアでは地域によりこういう模様になるらしく、正直なところ上の個体がどちらかはよく分からない。タダスジゲンは日本からは絶滅したとされており、日本ではもう見ることが叶わない(本当は西方の辺鄙な島のため池に、少しはいると信じている)。どうしても見たいので、東南アジアの水辺に行くたびにいつも探しているが、少なくとも日本にかつていた個体群のような模様の個体にはまだ遭遇できない。



本日、とても遠い国からはるばる日本に帰国。すごく素晴らしかったが、いかんせん愛の国ガンダーラ並みに、余りにも遠過ぎた。しばらくはもういいかな。