1412.jpg渓流性アカガエルAmolops larutensis。マレーにて。

日没後、川の水面から出た石上に出て鳴く。ラルットハヤセガエルという何のひねりもない和名があるらしいが、個人的に「ユイチリガエル」と呼ぶ。それはその鈴を振るような特異な声にちなむ。
渓流性のカエルは川のザーザー音にかき消されぬよう、どの種も犬のような野太い声で鳴くか、鳥や虫のように高く澄んだ声で鳴く。

1413.jpg激流に洗われる石にへばりつく。きわめて対人警戒心が強く、近づけばすぐジャンプして川に飛び込む。しかし、強力な脚力で横泳ぎして速やかに手近な別の岩に這い上がる。個体ごとに決まったエリアを縄張りにしているため、どこまでも流される訳にはいかない。
一度脅かしてしまった個体は非常に敏感になり、なおさら接近が困難になる。














1410.jpg狙われたユイチリガエル。

IMG_5929.jpgアリマネシカニグモAmyciaea sp.。人かサルのような顔つきが可愛らしく、不気味でもある。

ツムギアリOecophylla smaragdinaの巣の周辺に見られるクモで、動きを止めてしまえばそうは見えないが、野外で生きて動く姿はツムギアリそっくり。腹部にはニセの目まで付いている。ツムギアリはオーストラリアに行くと緑色がかった色彩になるが、このクモもそれに合わせて緑色になる。

一見軟弱なクモだが、ツムギアリを巧みに襲って専門に食う優秀なハンター。夜間、アリの巣から少し離れた枝葉で待ち伏せ、アリが通りかかると一瞬やり過ごしてから高速で追いかけ、背後から噛み付いてすぐ飛び退く。噛まれたアリはその場で悶絶しながら枝にしがみつき、たちまち動けなくなってしまう。するとクモはアリの脚をくわえて引きずり回した後、糸で空中にぶら下がった状態でアリを食う。空中で食わないと、周りのアリが邪魔しに来るかもしれないからだ。
アリ擬態クモが実際にアリを専食するのは珍しいと思う。カニグモ科以外では殆ど聞かない。

マレーにて。

IMG_864.jpgキマダラルリツバメ一種幼虫Spindasis sp.。ノボタンの葉のしおれた内側に3匹くらい固まっていた。この仲間はシリアゲアリ属Crematogasterと強い関係を持つ好蟻性蝶類として知られる。日本に生息するS. takanonisは口移しでアリから餌をもらって育つが、同属他種はそこまでの施しは受けないらしい。

マレーにて。

爆ぜろリアル、邪王真眼!

IMG_2638.jpg美麗なクサカゲロウ。日本のセアカクサカゲロウItalochrysa japonicaに極めて近縁か、同種。ボルネオにて。

この仲間のカゲロウが日本以外にもいるとは知らなかった。今年の秋にこれを探しに西日本へ旅に出ようと思ったが、台風で断念せざるを得なかった。そいつにまさかボルネオのジャングルで出会うとは。何となく貴重な記録に思えたが、撮影中に逃げられたので証拠標本がない。
日本のセアカクサカゲロウは、草原や河川敷など開放的な環境で得られることが多いようだが、こいつもジャングルの縁にある明るい草原で明け方飛翔しているのを見つけた。

緑一辺倒な他のクサカゲロウが憚って遠慮しそうな、どぎつい虎縞の出で立ち。大きな瞳は幻光をたたえて虚空を見つめる。さらに幼虫期の生態が一切謎という、中二病設定をこれでもかという位に盛り込んだ、お気に入りの虫。正確に言うと、ヨーロッパの同属近縁種では幼虫期にとある種のアリと緊密な関係をもつことが知られている。そういえば、日本のオオフト…いやなんでもなぃ。

人の一生は重き荷を背負い

IMG_4945.jpgアリを専門に食うサシガメ一種Inara sp.。日本のクビアカサシガメReduvius humeralisに近縁(エンピコ様、ありがとうございます)。
ある種のカタアリDolichoderus sp.だけを襲い、中身を吸い尽くした後でその死骸を背負う奇習がある。吸い終わった獲物を、腹の下側に滑り込ますように前脚・中脚・後脚へと渡していく。そして左右の後脚で挟みながら粘着性の排泄物らしきものをなすりつけ、すぐに器用に背面に持ち上げてくっつけるという芸当を行う。

その瞬間を撮影しようと捕食中の個体を張っていたが、もうこれ以上背負えないらしい。吸い終わった獲物を、まるでデコピンのようにはじき飛ばしてしまった。

日本では、ハリサシガメAcanthaspis cincticrusが同じような習性を持っている。しかし、こちらの種はアリを背負うだけでなく全身に土くれも纏う。いずれにしても、こうしたサシガメ類がアリを背負うのは幼虫期に限られる。

マレーにて。