2816.jpgアメイロアリNylanderia flavipes。浦の星ナントカ学園を臨む山から。

生息密度は高く、森林で石を裏返せば3つに一つは営巣しているほど。しかし、これの巣にはハガヤスデとトビムシが多少付く程度で、好蟻性の観点からは全く使い物にならない。

アメイロアリが多く見つかるのは、湿潤な森林環境であるが、よく探せば草原や市街地でも見かける。不毛な火山岩地帯の荒地や、海岸にさえ生息している。1種のアリが、ここまでチャンポンな生息環境の許容範囲を示すとは到底思えない。実際にはこの種は、外見で区別できないがスペックの異なる、複数の種で構成されているように思える。

2783.jpgウロコアリStrumigenys lewisi。浦の星ナントカ学園を臨む山にて。

冬の石裏は、たいてい結露している。こういう環境のアリにはラブルベニアがいていいと思うのだが、今なお発見ならない。

2749.jpgオオシワアリTetramorium bicarinatum。喜界にて。

ギンネムの花外蜜腺を舐める。

2764.jpgツヤオオズアリPheidole megacephala。奄美にて。

海岸など乾燥した荒地にはきわめて普通に見られる。コロニーサイズが巨大で、なおかつ繁殖力が強いなどの理由から、本来いなかった場所に持ち込まれて定着すると土着生態系に悪影響をなすことが懸念される。そんなわけで世界的には挙動が警戒されている生物だが、少なくとも日本では本種が何か生態系に問題を起こしている雰囲気はない。
日本のこれの巣内には強力な捕食寄生性のダニが高頻度で寄生しているため、常軌を逸した増殖は抑えられているらしい。「アリの巣の生きもの図鑑」(東海大学出版部)には、そのダニの目くるめく生態が掲載されている。

これに限った話ではないが、オオズアリの仲間は野外で生きたまま撮影するのが結構難しい。素早く動くのに加えてサイズが小さいこと、形態が立体的過ぎることが原因。特に大型働きアリの場合、側面から撮影する際に胴体にピントを合わすと眼にピントが合わない。眼にピントを合わすと胴体にピントが合わない。
しかも、オオズアリ類の大型働きアリは警戒心が強く、特にこのツヤオオズの場合夜間でないと表に出てこないのである。しばしばオオズアリの大型働きアリは「兵隊アリ」と呼ばれることもあり、外敵との戦いに特化した勇猛なカーストのように思われている。しかし実際はとんでもなくチキンであり、よほど巣内をもみくちゃに破壊しない限りはまず人間に向かってこない。彼らの仕事は戦いではなく、行列を塞ぐ障害物をどかすブルドーザーとしての役割が大きい。これは同じく大型働きアリが巨大・巨頭化する東南アジアのヨコヅナアリでも言えることである。
真に大型働きアリが「兵隊」としての役務のみに特化しているのは、中南米のグンタイアリくらいしかいない。だから、近年のアリに関する論文において、大多数種のアリ種でみられる大型のワーカーの事はソルジャーではなくメジャーと呼ぶようになっている。「兵隊アリ」という言葉は、今や限りなく死語に近い。

2708.jpgツヤシリアゲアリCrematogaster nawai。佐賀にて。

西日本ほど多く、主に地表で採餌する。巣も地面によく作る。東日本だと、テラニシにせよハリブトにせよ黒シリアゲは樹上性と相場が決まっている。
これを見慣れている身で、地べたを行列作って行進するこの黒シリアゲを見ると、何かとても変に見える。

コロニーサイズはかなり巨大だが、そのくせ居候はアリコロすら付かない役立たず。