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4427.jpgネギハモグリバエの幼虫の食跡に産卵管をぶっ刺す寄生蜂。茨城にて。

一本のネギの食跡上に、外見の明瞭に異なる複数種のハチが襲来していた。害虫も楽に生きてない。

4414.jpgカブラハバチ類の幼虫。茨城にて。

通称クロムシ。アブラナ科野菜の大敵。

4393.jpgクロアナバチSphex argentatus。茨城にて。

巣穴を掘削中。

4389.jpgオオシロフベッコウが、獲物を巣へと搬入する。

4390.jpg搬入後は素早く土砂をかき集めて、巣穴をふさぐ。いつまでも開けていると碌なことが起きないから。

茨城にて。

4388.jpgオオシロフベッコウEpisyron arrogans。茨城にて。

狩人蜂が獲物を探索・発見し、毒針で仕留めるまでの一連の行動を、野外で一から観察するのは殺人級に困難である。しかし、麻酔行動だけならば、獲物をしとめて運搬中のハチから獲物を素早く横取りし、代わりにその辺で採ってきた五体満足な別個体の獲物をすり替えて返せば、ハチはまだ獲物に麻酔が効いていないと勘違いしてもう一度刺すところを見せてくれる。ファーブルが昆虫記の中でやった手口である。
ところが、オオシロフベッコウに関してはこの作戦が明らかに通用しない。たとえ狩られている獲物と同種かつ同サイズの五体満足グモを採ってきてすり替えようとしても、何らかの手段により自分が狩った獲物の個体とそうでない個体とを区別できているらしく、頑なにスペアのクモを受け取ろうとしない。これまでの人生の途で、もう何十回そこらの道端で見かけたオオシロフベッコウの獲物をすり替えようとしたか知れないが、記憶をたどる限りハチが騙されてくれた例は一つとてない。
そのため、このハチの麻酔行動を再現させるには、ハチがまさに今運んでいるそのクモを一度奪い取り、ピンセットでさも生きているかのようにハチの目の前で動かして騙すしか方法がないのだが、これも非常にコツがいり難しい。オオシロフベッコウは、狩人蜂としてはとても神経質な性格なので、獲物の運搬・営巣中にいたずらに刺激を与えて干渉すると、行動をやめて獲物と作りかけの巣を放棄し、逃げ出してもう二度と戻らない。大型狩人蜂の中でも、本種は5本の指に入るほどの観察困難な種であることは疑うべくもない。
あれだけ奴が神経質なのは、寄生バエ対策のような気がする。営巣中にヤドリニクバエの類に目をつけられてしまうと、獲物の搬入の瞬間までしっかり巣の脇で監視された上、搬入の瞬間ほぼ確実に獲物の体表上に複数のウジを落とされてしまう。こうなると、ハチはたった1巣でたった1匹しか育たない自身の子を殺されるばかりか、次世代の脅威を何倍にも増やすことになる。ちょっとでも気に入らないことがあったら、すぐさま全てを捨てて逃げ出すのが奴にとって一番適応的な戦略なのだ。