3090.jpgツシマフトギスParatlanticus tsushimensis。対馬にて。

大型のキリギリスで、オスは翅が短いがよく鳴く。世界で対馬にしかいない。しかし、その対馬の中にあってはド普通種で、島の全域に渡り広く見られる。

ツシマフトギスは、分布が世界的に見て非常に限られるというだけの理由で、別に絶滅に瀕している訳でもないのに長らく環境省レッドに載せられ続けていた。第一次の時から延々とリスト入りしていたが、最新の改定でようやく外されている。
「レッドリストはあくまでも絶滅しそうなもんリストなのであって、珍しいもんリストとは違う」ことを人に説明する上で、ツシマフトギスは分かりやすい例になってくれる。

ド普通種とはいえ、大きくてなかなかカッコいい魅力的な生物だ。道端にたまたま出て来た個体を見つけて、すぐ取り押さえた。そのまま掴んで、車に轢かれないよう近くの草地に運んで置いた所、いきなりその場でシリシリシリ…と鳴き始めた。
キリギリスやコオロギで、人間に掴まれるほどのディスターブを受けた直後に鳴くというのは、かなり異例に思える。この個体がたまたま神経の図太い奴だったのか、この種自体がそういう性質のもの故なのか。

※東南アジアなどにいる大型キリギリスの中には、敵に掴まれると威嚇のため鳴くものがいる。でも上記の例は、掴まれている間は鳴かず、解放された後鳴いたので、威嚇とは考えにくい。

3068.jpgトゲヒシバッタCriotettix japonicus。千葉にて。

湿地ではおなじみ。長い翅をもち、よく飛ぶので目立つ。体の両脇から出たトゲがかっこいい。

3075.jpgウスグモスズUsugumona genji幼虫。茨城にて。

外来種と言われている樹上性の小型コオロギ。オスも発音器を欠くので鳴かない。とはいえ、この手のだんまり直翅というのは脚や体を物に打ち付けるなどして、大抵鳴けないなりに発音努力をするものと相場が決まっている。
こいつも何かそういうことをやるのではないかと思っているのだが、まだ確認できていない。関東一円の市街地に相当普通にいる種なのだから、誰かが観察しているに違いないはずだが、ネット上で調べてもこいつの求愛行動に関して詳しい記述は見あたらない。

3076.jpgクルマバッタモドキOedaleus infernalis。茨城にて。

実にどこにでもいる。普通見かけるのは全身褐色の小汚い奴ばかりだが、たまに緑の奴がいる。足下からこれの群れが次々飛び立つたび、一匹くらい下翅の赤いのが混ざっててもいいのにと思ってしまう。

3069.jpgタンボコオロギModicogryllus siamensis。茨城にて。

水田に生息し、初夏から鳴きだす気の早いコオロギで、暖かい地方ほど多い。ジッジッジッ・・・と、あまり美声とは言い難い声で鳴く。何となく、同じ時期に同じく水田で合唱するアマガエルの声に似た感じがする。
このコオロギの声は、静かな場所で聞けば全然アマガエルの声とは似ても似つかない。しかし、あまり注意関心を向けていない耳で聞いた時、アマガエルの声に混ざっている「G」とか「Z」みたいな感じの音が、このコオロギの声に混ざっているそれと非常に似通って聞こえるのだ。

寒冷な長野県の、特に松本地方にはかつてほとんど分布していなかったらしいが、2000年以後急速に広まって普通種になったという。大学時代、カエルを見に夜の水田に出かけた時にはお馴染みの虫だった。そういえば、信州のクソ田舎にいた頃、地元の自然愛好家の一人が「タンボコオロギはアマガエルに、声で擬態しているんだ!」と言い張っていたのを思い出した。
発想としては面白いが、それはない。コオロギが、自分の天敵であるカエルを手元に呼び寄せてどうするんだ。似てさえいれば、何でもかんでも擬態ではない。