3417.jpg意外な場所でたかられた。注意せねば。

茨城にて。

3412.jpg綺麗なハエトリ。キタヤハズハエトリか。

茨城にて。

3408.jpgキシノウエトタテグモ。茨城にて。

夜間、扉付きの巣穴からガバッと飛び出し、通りかかる獲物を鷲掴みにして引き込む。これの瞬間を撮影しようと連日きばっているのだが、なかなか容易ではない。恐らく、一度ブツを捕まえた上で家に持ち帰り、土をしいた飼育ケース内に営巣させて室内で観察すれば、捕食シーンなどいくらでも簡単に撮れるのだが、それは邪道。あくまでも野外で撮影しなければ、被写体がデレたことにならない。

しかし、これの野外撮影は、室内の飼育個体を撮影するのとはハードルの高さが段違いだ。だいたい生息地が市街地の公園で、しかも夜中しか活動しないので、夜中そういう場所に出向かねばならない。場所柄、そんな所で撮影機材を掲げてウロウロしていれば、通報職質の憂き目に遭うのはまだましな方で、下手をすればチンピラゴロツキの類の標的にされる可能性もある。
さらに、この生物は警戒心がものすごく強い。地面を伝わる人間の足音に非常に敏感なため、撮影しようと近づく段階でこちらを警戒して地下に引っ込んでしまう。そのため、日中のうちに巣の場所を見定めておいた上で、夜間にそっと足音を忍ばせてそこに接近する必要がある。くわえて、強い明かりも警戒するので、照明を直接当てないようにせねばならず、したがって薄暗いファインダー越しにはっきり見えない被写体のシャッターチャンスを見定めざるを得ない。

問題はまだある。この生物は、基本的に直接雨風が当たる青天井の地面に営巣することを好まず、ベンチの下とか植え込みの根元とか、ひさし上に張り出した遮蔽物の真下の地面に営巣したがる。なので、大仰なストロボディフューザ付きのカメラを巣の至近まで近づけることが、ほぼ常に難しい。そもそも物理的に近づけることが不可能であったり、仮に近づけることが可能であったとしても、ディフューザの端が周りの遮蔽物や枝に触れてガリガリッと音を立てた時点で、奴は警戒して引っ込んでしまう。
この生物は、一か所にはたいてい何個体も固まって生息しているが、その中で比較的青天井に近い立地で営巣している個体など1匹くらいしかいないのが普通である。そのため、必然的にその1匹だけを標的に狙うことになるのだが、この生物は一度警戒して地下に引っ込むと、機嫌を損ねて10分くらいは上に上がってこない。その間は黒沢監督ばりにひたすら待つことになるため、撮影にものすごく時間を浪費することになる。

それだけではない。脇でいくら待っていたところで、まず獲物が自然に巣のそばまで寄ってくることなどないので、あらかじめ獲物となる生物を用意したうえでけしかける必要がある。その獲物の選定も、何でもいいわけではない。この生物の生息地に同所的に生息し、地面を這う動きの鈍い生物(すなわち、そこに生息している個体が自然状態で普段捕食しているであろう生物)を選ばねばならない。もともと地べたの生物を捕えて食っている地中性の生物なのだから、空を飛ぶハエやハチなどを捕えさせた様子など撮っても、ただただ不自然な写真にしかならない。
その獲物を、うまく巣のそばを歩くよう誘導するのがまた非常に難しい。細いワラくずなどを使い、的確に獲物の動きをコントロールしないといけないのだが、だいたい巣の真ん前までくると急に方向転換したり、巌のごとく動かなくなったり、変なタイミングでダッシュして巣の前を通過したりする。そんな獲物のコントロールに四苦八苦するうちに、奴の機嫌はどんどん悪くなっていき、ようやく獲物が言うことを聞き始めた頃にはすでに地下に引っ込んでいる。

仮にうまく獲物を巣の手前まで誘導できたとて、今度は捕食のまさにその瞬間を写し取らねばならないという最大の難関が待っている。こいつが巣から飛び出して獲物を鷲掴み、再び地中に姿を消すまで、わずか1秒もかからないのが普通だ。瞬間的に地上に躍り出て、瞬きした次の瞬間には獲物ともども消えている。
そのくらいの音速じみたスピードなので、仮に連写撮影しても、俺の持っている機材ではだいたい1枚、よくて2枚しか写せない。その写った写真も、おおむねピンボケ。しかも、一度攻撃して獲物を取り逃した場合、疲労するのか警戒するのか、10分は置かないと再び次の捕食行動を演じてくれない。捕食が成功した場合、もうその日は狩りを行わないので撮影続行不可となる。しかもこの場合、捕らえた獲物のサイズによっては消化に数日かかる場合もあり、その間もちろん捕食行動などする訳がないので、数日は撮影が出来なくなる。

それら幾多の障壁を乗り越え、やっとのことで撮られたのがこの1枚なわけだが、個人的には到底満足のいくものではない。こんなものではないはずなのだ。

攻殻

3398.jpgヨダンハエトリMarpissa pulla。茨城にて。

小型ながら、本当に派手で美しい。「熱帯の奥地で発見された新種のタランチュラ」とか言って写真を見せれば、大概の世の人間どもは納得しそうな気がする。
実際はその辺の公園で普通に見られるのだが、普通のハエトリに比べて人の目線より低いところにいる場合が多く、数の割には目に付かない。それでも、竹筒を仕掛けてジガバチモドキの仲間に営巣させると、しっかりこのクモが狩られて収納されているので、狩人蜂はちゃんと見つけてくるらしい。

タチコマの天敵はヘリ。

どどん波

3368.jpgツクネグモPhoroncidia pilula。茨城にて。

樹皮の間に、たった一本の糸を張ってこれを網と言い張る怠惰なクモ。しかし、ちゃんと獲物がかかるのだから大した物だ。糸には粘液の球が並んでいて、これを脚で押さえている。まるで、足先からビームを放っているよう。

珍しくはないが、ゴマ粒ほどもない微小種ゆえ発見は面倒。名前のツクネは焼き鳥のアレではなく、ツクネ芋から来ているらしい。