ぐらきりす

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グラキリスホソカワトンボVestalis gracilis。翅は無色透明なのだが、強い光を浴びるとネオンのごとく青い幻光を発する。自然下では、飛んだ時だけ急に翅が青くなったように見える。ストロボで撮るとどう撮っても青く輝くが、一番よく輝く角度はやや下側から浴びせたとき。
極めて美麗種だが、恐ろしく普通種なので現地では視界に入れる気にもならない。一説では乱獲で絶えたと言われる某所のシロバネカワトンボも、全国にいれば誰も捕ろうとしなかったのだろうか。
マレーにて。

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ブルーコーラルスネークCalliophis bivirgatusがヒメヘビ一種Calamaria lumbricoidea?を食う。この美しいコブラは、他の蛇を専門に食うらしい。たまたま日中道ばたの茂みで見た。どうにも茂みから引きずり出せず、美しい全身を拝めなかったのは残念。本当は危険な毒蛇だが、ちょうど長い獲物を半分くらい飲んですぐ飲みきることもはき出すこともできない状態だったので、全身さわり放題だった。

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触って気付いたのが、食われている獲物の蛇がまるで腐っているかのようにグニャグニャだったこと。恐らくほんの十数分前までは生きていただろうに。神経毒を打ち込まれ、全身の筋肉が弛緩した状態だったのだろう。マレーにて。

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アカガエル科の一種Rana sp.。ややツリ目。渓流で、チリチリと高い声で鳴く。「ユイチリガエル」と呼んでいる。マレーにて。

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バナナリスCallosciurus notatus。マレーにて。

ドッペルゲンガー

世界各地には、アリそっくりな姿のクモがいる。大抵はハエトリグモ科Salticidaeのアリグモ属Myrmarachneだが、ネコグモ科Corinnidaeやカニグモ科Thomisidaeにもそんな雰囲気のがいる。日本にもアリグモは何種類かいるが、漠然とただアリに似せた雰囲気。でも、熱帯に行くと具体的なモデルのアリ種を特定できそうなくらいにそっくりに似せたものが沢山いる。以下の連中は、東南アジアで今まで見たクモと、それを見つけた一番近くにいた、一番似た雰囲気のアリども。一部別々の地域でみたものあり。

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モデルがナガフシアリTetraponeraの場合。ナガフシアリは強力な毒バリで刺す。ともに樹上にいた。

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モデルがアシナガキアリAnoplolepis gracilipesの場合。ともに地面に近い所にいた。

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モデルがトゲアリの場合。ともに樹上にいた。

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モデルが別種のトゲアリPolyrhachisの場合。ともに樹上にいた。クモの方はネコグモ科だろう。

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クモ・アリグモ一種2、1
モデルがまた別種のトゲアリの場合。ともに樹上にいた。クモの方はネコグモ科だろう。

アリ・オオアリ一種2
クモ・アリグモ一種1、2
モデルがオオアリCamponotusの場合。ともに樹上にいた。アリの腹部の黒ずみ具合もまねしている。。

アリ・ハシリハリアリ一種1
クモ・アリグモ一種1、3
モデルがハシリハリアリLeptogenysの場合。ともに地上にいた。東南アジアの森の地面に多い、体長1センチくらいのツヤがかった細身のアリは、ハシリハリアリくらいしか思いつかない。

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モデルがトゲオオハリアリDiacammaの場合。クモは樹上にいて、アリは地上にいることが多いが植物にも登る。

アリ・ハシリハリアリ一種4
クモ・アリグモ一種1、2
モデルがハシリハリアリの場合。ともに地上にいた。

アリ・ツムギアリ5
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クモ・カニグモ一種2、2
モデルがツムギアリOecophylla smaragdinaの場合。ともに樹上にいた。下のはカニグモ科のAmyciaea lineatipes。このクモは動きを止めるとそんなにアリに見えないが、野外ではツムギアリの巣の近くでよく見かけ、きびきびした動きがよくツムギアリに似ている。写真では分からないが尻には偽の目玉まで付いている。こいつらはツムギアリを捕って食うようである。
アリ擬態のクモは、大抵アリそのものとは何の関係も持たない。カニグモ科以外の種は、アリを特異的に襲って食うでもない。味が悪いアリのふりをして、自分が鳥などに食われないようにするための擬態と考えるのが自然なようだ。

アリ・トゲアリ一種3、3
クモ・クモ一種1、6
モデルがトゲアリの場合。ともに樹上にいた。クモの方は多分ネコグモ科。これも動きを止めるとアリらしくはない。しかし、体サイズや全体的な色彩、動き方はモデルのアリそのもの。精巧に形態を似せるよりも、振る舞いや全体の雰囲気をまねする方が捕食者をだましやすい場合もあるのだろう。

アリ・ウワメアリ一種1、3
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アリはウワメアリPrenolepis sp.。クモはホウシグモ科Zodariidaeに顔つきが似ているが何の仲間か不明。このクモも姿は全然アリらしくない。しかし、腹部を上に上げてひょろ長い脚でせかせか歩く様子は、アリが敵を警戒するときの態勢そっくり。遠目には、頭がないアリが歩いているようだった。

明日から数日留守。

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ヒメヘビ一種Calamaria sp.。鉛筆くらいの長さと太さ。じめじめした森の石下にいつもいる半地中性の引きこもり。なのに全身虹色に輝く。もう少しライティングを工夫すべきだった。マレーにて。

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ヒメシュモクバエSphyracephala sp.。目玉が飛び出ている事で有名。沢の近くの石上などにいる。日本の南西諸島にもいるが、外国でしか見たことがない。マレーにて。

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アオハブの子供。東南アジアにいる全身緑のハブには、近縁でない複数種が混ざっているとどこかで聞いた。思いの外温厚なので見た目ほどの危険はない。しかし、ジャングル内の道脇、腕や肩が触れるような茂みにこういうのが普通にいるので、びっくりする。マレーにて。

明後日から所用でしばらく留守なので、今日は写真を奮発。

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ランの一種Arundina sp.。日本の南西諸島にあるナリヤランA. graminifoliaと同属。もしくはナリヤランそのものかも知れない。日本では絶滅危惧種だが、東南アジアでは完全に雑草。少し標高の高い地域の道路脇に、いやと言うほど生えている。正直、現地にいる間は撮影しようという気すら起きないほどの数が生えている。
日本人はあさましい民族なので、こういう花が野山に咲いているとすぐ根こそぎ盗掘する。しかし、東南アジアでは雑草なので、現地人は誰も取らないし売り物にしようなどという発想を持ち得ない。そこにあるのが当たり前だからそのままにしている。

マレーにて。

ささきり
ササキリモドキ一種。日本のヒルギササキリモドキNeophisis iriomotensisと同属だろう。前脚のトゲがまるでいばらの様。ゴミを払ってから撮影すれば良かった。マレーにて。

数分クッキング

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東南アジアの道脇に、サトイモ科の植物がいっぱい生えている。大抵はクワズイモAlocasia sp.なのだが、これの葉っぱにはしばしば丸い穴が開いている。まるでコンパスで書いたかのような綺麗な丸。これを専門に食べるハムシの仕業だ。
クワズイモは毒草であり、人間は食べるどころか葉を傷つけた汁に触っても健康を害する。虫にとってもこの毒は決して安全ではない。しかし、ハムシ達は実にうまい事この毒草を「料理」して食う。

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「料理」にふさわしい場所に陣取ったハムシは、片方の後脚を軸にしてクルリとターンを決める。このターンする間に、顎で葉の表面をガリガリ囓り、丸い切取線をつくるのだ。葉の内部には、葉に毒液を送るための管が網目状に張り巡らされている。しかし切取線を入れることにより管が切断され、切取線より内側に新規に毒液が行かなくなる。同時に、切取線より内側に満たされていた毒液が全てにじみ出し、滴となって抜ける。こうして毒抜きをしてから、安全になった切取線の内側だけを食う。あの丸い食痕は、この一連の作業の痕だったのだ。一回の「料理」にかかる時間は数分程度。

植食性昆虫が毒草を食う前にする毒抜き作業のことを「トレンチ行動」という。この行為には毒抜き以外に、葉を囓るときに粘着性の植物の汁で食事が妨げられるのをあらかじめ防ぐ意味合いもあるらしい。日本の野菜畑に普通にいるウリハムシAulacophora femoralisなども同じ事をするが、こんなに綺麗な正円は描けない。もっとも、虫にとっては毒さえ抜ければどうでもいいことだが。

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切取線は最後は噛み始めの所で終わらせねばならないのに、途中で何かに邪魔されると作業工程が狂う。円を結べず、「の」の字を書いていじける図。

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別種の赤いハムシ。「の」の字を書きそうになったが、何とか立ち直った。立ち上がれ日本。

写真は、すべてマレーにて。

カマキリになったアリ

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アリカマキリOdontomantis sp.。和名は、写真家の海野和男が幼虫を見てつけたものらしい。東南アジアに広く住んでいる本属のカマキリは、幼虫期にアリに似ていることで知られる。熱帯のアリは咬むし刺すので、アリに似ていれば捕食者に食われる可能性が低くなる。体長1センチ程度までの個体は全身黒くて、遠目には同所的に生息しがちなナガフシアリTetraponeraに見えなくもない。しかし、成長とともにだんだん化けの皮がはがれていく。

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一回り大きくなった個体。脚が緑に変わったが、まだアリらしさは残している。

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さらにもう一回り大きくなった個体。唐突にただのカマキリになってしまった。しかし、平べったい頭と上から見たときに縦長に見える目の形から、上のカマキリのなれの果てに違いない。この位のサイズで2センチ以上はあったはず。もう一般的なアリよりも遙かにでかいサイズなので、そんななりでアリのふりをいつまで続けていても意味がないのだ。
ちなみに、これら3個体のカマキリは、クアラルンプール市内の大学構内にあった一本の小さな植木上に揃っていたもの。

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別の場所で見つけたアリカマキリの成虫。完全にただのカマキリ。しかし成虫になっても体長3センチ程の小型種。顔つきは幼虫とあまり変わっていない雰囲気なのが分かる。ちなみに、全成長ステージ通じてたぶんアリとは何の関わり合いもない生活をしている。

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これを持ってって「これはアリカマキリです」と誰かに言っても、「なにが?どこが?」と聞き返されること必至だ。幼虫とセットで持って行かないと名前の由来を納得してもらえない。紹介に一手間かかる虫。合コンには連れていけないな。俺も行ったことないが。

某写真家のブログの相当昔のバックナンバーに、「南米にアリを食うアリそっくりなカマキリがいて、それは脱皮のたびに姿を変え次々に違う種類のアリに擬態していく」という趣旨の記述がある。ソースがどう探しても見つからず、どの程度信憑性のある話なのか分からない。でも、そんなのが実在するなら絶対見てみたい。

写真は、全部マレーにて。

とびがえるヒスイトビガエルRhacophorus prominanus?。東南アジアに住む青ガエルの仲間で、似た種類がいくつかいる。樹上性で、指間のみずかきを広げて大ジャンプし、木から木へと滑空することで有名。深い森の奥、べらぼうに高い木の樹冠部にいつもいるため、繁殖期に水場へ産卵しにくる時を除いて、絶対見れない。マレーにて。

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ハエヤドリタケの一種。まだ未熟個体だろう。マレーにて。

遺伝子大暴走

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東南アジアの森の立ち枯れた木には、サルノコシカケ等の堅いキノコが生える。それを食べるため、あるいはそんな虫を捕食するため、いろんな虫がここに集まる。中でもひときわ目につくのが甲虫。

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テントウダマシ科。

面白いことに、ここに集まる甲虫の多くが黒地に黄色ないし赤の斑紋といういでたちをしている。斑紋は、大抵4つ。興味深いのは、それらが必ずしも類縁の近くない、しかも姿形も全然違う虫たちであることだ。キノコに集まる種類でなくとも、アジア地域にはこのような色彩パタンの甲虫が普遍的にいる。しかも、様々な分類群の甲虫でだ。

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オオキノコムシ科。

この手の模様をした甲虫は、捕まると不快な臭いと味の汁を出すものが多い。ゴミムシ、ゴミムシダマシ、テントウムシ、あとオオキノコもこれに入るだろうか。特にこれらの中にはキノコの上で同所的に生息する種が多い。だから、分類群を超えて味の悪い虫同士が同じような模様になり、天敵に「不味い模様」として学習して貰いやすくしているのかも知れない。そうであれば、これは教科書的には毒のある生物同士が似るミュラー型擬態ということになる。

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どう見てもテントウムシ科だと思うのだが、キノコに集まるテントウなんていたかな。ゴミムシダマシかも。

しかし、キノコに集まらなかったり毒があると思えない甲虫でも、雰囲気的にこんな模様の奴が結構いる(ナガクチキとかミツギリゾウムシ辺りか?)。そうなれば、これらは無毒のものが有毒のものに似るベイツ型擬態ということになるだろう。擬態という現象は、実のところとても研究しにくい。しかし、この一連の甲虫たちによる擬態は、調べようによってはとても面白い材料になるのではなかろうか。

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ゴミムシ科。

写真は、すべてマレーにて。










以下、妄想電波の掃き溜めなので読まなくていい。


これら虫たちを見て「擬態」の一言で済ますのは簡単だが、それにしたってこいつらはおかしすぎると思う。ただキノコを食う、あるいはそんな虫を食うために偶然集まっただけの、見た目も類縁も違う虫たちが、こうも判で押したように同じ出で立ちで一個のキノコにいる様は、はっきり言って気味が悪いほどだ。あの空間に漂う異質さ、異様さは、実際にジャングルの奥地で倒木のキノコの裏をのぞいた者にしか伝わらない。
まるでたまたま通りかかった魔法使いが、キノコに黒い虫がたかってるのを見て華やかさがないと思い、丸ごと魔法をかけてそこにいる虫全部を黒字に四つ星模様にしてしまったかのようだ。もしくは、幽霊のごとく虫に憑依してどんな虫も四つ星模様にしてしまう「飛び跳ねる四つ星遺伝子」とかいうのがあって、それがキノコの上で闇雲に虫から虫に転移しまくって、結果キノコの上の虫をみな四つ星にしてしまったのだ。そうだ、そうに違いない。

キノコの虫たちを見ていると、そんなトンデモ進化論をいくらでも思いつけてしまう。

知的な武天老師

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サラグモLinyphiidae spp.を狙うケアシハエトリPortia sp.。東南アジアの森に住むこのクモは、ハエトリグモの仲間にあってハエを捕らない。彼らはクモ(特に造網性種)を専門に食らうクモ食いグモとして、一部好事家の間では有名。獲物であるクモも当然肉食なので、闇雲に挑めば返り討ちにされ、逆に餌にされかねない。だから、彼らは獲物を狩るために非常に巧妙かつ複雑な行動を進化させた。

まずクモの巣を見つけるとおもむろにその網を形作る糸の一本を掴み、ビリビリとふるわせる。こうして、相手のクモに獲物がかかったと勘違いさせて近くまでおびき寄せるのだ(造網性クモ類によく見られる、求愛時に相手の網を揺さぶり、求愛信号を送る行動を真似ているという説もある)。このアピールで相手がだまされて寄ってくればたちまち飛びついて捕獲するのだが、相手がだまされない事がある。

こんな時彼らは「アピール戦法」から一転、「奇襲戦法」に出る。彼らはその発達した視力で獲物の位置を確認しつつ、周りの枝葉を伝い、獲物のいる直上の枝葉まで登る。そして、そこから糸を引いて真下の獲物目がけてゆっくり降下し、獲物の手前まで降りたら一気に掴み掛かる。この方法だと獲物のクモの網に一切触れないので、獲物は敵の接近に全く気づけない。一撃必殺の戦法だ。

けあし


このクモの凄い所は、獲物の出方によって戦術を柔軟に変えられること。一つの目的を達成するため、複数の行動パタンを保有しているのだ(こういうのを行動的な可塑性があると表現するのだろうか。その筋の専門家のセンセイが見ていると怖いのでこれ以上言わないどく)。もちろん彼らはこの一連の狩りの中で、視覚からくる情報を受けた上で、それに対しただ反射的に応答しているに過ぎない。しかし、それを見る人の目には、まるで彼らが先の先まで見通して行動をとっているように映る。

彼らは、知性を持った(ように見える)クモである。幼い頃、今は亡き「どうぶつ奇想天外」というテレビ番組の中で、人間のような知能を持つ凄腕のハンターとしてこのクモを紹介していたのを見て以来、ずっとこのクモの事が気にかかっており、いつか自分の目でその巧妙な狩りを見てみたいと思っていた。
そして実際、東南アジアの森でこのクモの狩りを観察する機会に恵まれた。しかし、このハエトリにとって、この軟弱な獲物は「知能」を使って倒す程の相手ではなかった。普通に飛びついて捕らえてしまった。

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正面から見た時、かめはめ波を打つ前の武天老師様を連想した。見る角度により、眼が恐ろしいほど緋色に輝く。普通のハエトリに比べて動きは鈍く、あまりチョロチョロ走らない。前脚を曲げた状態でへこへこ上下に動かす謎の仕草をしつつ、ゆっくりと周囲を見渡す姿はまさしく知的。萬國驚天掌も使えるに違いない。
写真は、全てマレーにて。




追記:後でウィキペディアその他いろいろで調べたところ、もっと凄いことが書いてあった。造網性種だけでなく徘徊性種のクモも狩るのだが、凄いのは口から毒糸を吐くヤマシログモScytodidaeを狩る場合、その毒の投網に捕らわれぬよう必ず正面からでなく背後から襲いかかるそうだ。しかし、繁殖期のヤマシログモに対しては正面からも襲いかかるという。ヤマシログモは卵塊を口にくわえて持ち歩くため、この時期の彼らは敵に対し一切反撃できない状態になる。ケアシハエトリは、それを分かって攻撃のしかたを変えるのだ。
行動的な実験から、一定の学習能力を持つらしいことも分かったみたい。様々な種類の獲物が持つ特性に合わせて、一番最適な戦術を実行する。恐るべきクモだ。

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ヨロイバエCelyphidae spp.。背中の一部(小楯板)が巨大化して背面を覆い、まるで甲虫のようなハエ。東南アジアの虫だが、日本国内でもかつて南方のどこかでほんの少しだけ採れたらしい。マレーにて。

向こう一週間は東南アジアの写真。

ホ・ニホンリス3
ニホンリスSciurus lis。追っかけっこする雌雄。もうすっかり疎遠だが、この2匹とはこの森での顔なじみだった。究極に人間との遭遇を嫌がるこの齧歯類に、眼前でここまで自然に振る舞ってもらえるようになるまで、相当の月日を要した。長野にて。


このブログを始めてからもうしばらく経ったが、今更になって管理ページの「ブログ拍手」という項目に気がついた。調べて見たら、知らないうちにいろんな閲覧者の方々からの感想が届いていて、びっくりした。こういう機能があったのか。俺の在籍していた大学のOBの方からさえ感想をいただいていた。この場を借りて皆々様に、厚く御礼申し上げます。

コウチュウ・マルトゲムシ一

マルトゲムシ一種Byrrhidae spp.。亜高山帯より上の高標高地で、たまに地面を歩いているのを見る。地味だけどいい虫。標高2700m地点で見られた。長野にて。

ホ・ニホンカモシカ17
ニホンカモシカCapricornis crispus。「高山に住む幻の動物」なぞ今は昔。幼い頃、シカとカモシカは馬くらいの大きさだと思っていたため、初めて彼らを見たときに、その小ささにがっかりした。長野にて。

バッタ・ツマグロイナゴモド
ツマグロイナゴモドキStethophyma magister。静岡にて。

ホ・ニホンアナグマ7
ニホンアナグマMeles meles anakuma。長野にて。

どうやら海外のへんな虫とかの写真を載せた方が、アクセス数が飛躍的に上昇するらしい。でも出し惜しむ。

コウチュウ・ヤマムツボシタ
ヤマムツボシタマムシChrysobothris nikkoensis。夏の山間部の貯木場にいる。長野にて。

アリ・ツヤクロヤマアリ-(4)
ツヤクロヤマアリFormica candida。寒地性の美しいアリ。長野にて。

ガ・シロシタホタルガ-(3)
シロシタホタルガNeochalcosia remota。初夏に毒々しい色の幼虫が見られる。長野にて。

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タマバチ一種。真冬に現れる。翅がないが、元々ついてないのかどうかよく分からない。コナラの新芽に産卵管を突き立てて産卵中。長野にて。



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ルリビタキTarsiger cyanurus。こんな美しく愛くるしい鳥がこの国に年中住み着いているのは、実は凄いことなのではないかと思う。長野にて。

双想ノ唄ネオトロピクス・諸々

南米の写真は、これで終わり。

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オオズアリPheidole sp.の巣にいたアリヅカムシ。アリヅカムシとしては破格の巨大種。なぜか雰囲気が日本のハケゲアリノスハネカクシLomechusa sinuataに似ている。ペルーにて。

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オオズアリの巣にいたハネカクシ。アリからは無視されていた。しかし、これは好蟻性なのかどうかよく分からない。ペルーにて。

コウチュウ・マンマルコガネ
マンマルコガネ一種。灯火に飛来した個体。透明感のある赤色で、虹色の光沢を持っている。マンマルコガネは世界中の熱帯にいて、粘土状の物質=糞で木材を覆いながら食い進むタイプのシロアリの巣で見つかることが多い。大抵好まれるのはイエシロアリ属Coptotermesやテングシロアリ属Nasutitermes。エクアドルにて。

コウチュウ・マンマルコガネ
テングシロアリの古巣にいた別種のマンマルコガネ。交尾中。エクアドルにて。

コウチュウ・マンマルコガネ
テングシロアリの古巣にいた、また別種のマンマルコガネ。落ち着いた鶯色が渋い。東南アジアのマンマルコガネは煌びやかな種が多いが、南米のはこういう感じの種が多いような気がする。エクアドルにて。

コウチュウ・マンマルコガネ
別のマンマルコガネ。夜間倒木に来ていた。妙に泥で薄汚く汚れた種類だな、と最初思った。しかし汚れていたのではなく、そういう模様の種類だった。エクアドルにて。

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テングシロアリの巣にいた小さなハネカクシ。シロアリの歩いた跡を正確にたどる。ペルーにて。

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テングシロアリの巣にいたハネカクシ。腹部が大きく肥大している。シロアリと共生する甲虫やノミバエにはこういう姿の種類がとても多い。これは単に餌を沢山食べて膨れたわけではない。
この手の虫は羽化直後は普通の姿をしているが、シロアリとの共同生活が長引くに従って腹部が成長し、巨大になっていく。シロアリの持つ化学物質に接触し続けることが引き金になって起きる現象と言われている。昆虫は成虫になった後は体が成長しないというのが常識だが、彼らは例外中の例外。ペルーにて。

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テングシロアリの巣にいた、とびきり奇怪でおぞましい姿のハネカクシ。数ある好白蟻性ハネカクシの中でも、相当珍奇な部類だろう。最初見たとき、甲虫とは思えなかった。動きは鈍く、ゆっくり歩き回る。胸部を見たとき、摘出された眼球を連想した。ペルーにて。

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真横から見ると分かるが、この虫は腹部を曲げて上に反らせている。つまり、腹の裏側を背にして過ごしているのである。ペルーにて。

今回調査に行った南米ペルーのジャングルでは、すさまじい勢いで森林伐採が行われていた。この地域はここ数年間、特にひどいらしい。現地の人々は、木材を売って生活の糧にしているのだ。森にいれば、30分に一回のペースで巨木のなぎ倒される音がどこかから聞こえる。

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よくテレビとかで、「熱帯雨林は毎年東京ドーム何百個分の面積が失われ・・」といっている。その言葉の意味が、ここでの滞在でよく分かった気がする。森に縦横無尽に赤土の道が開かれ、ひっきりなしに重機が往来する。もっとも、その道のお陰で我々はこの森に入り、調査することができたのだが。

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アカモンマルエボシツノゼミMembracis sanguineoplagaの背後で、たった今伐採した巨木を引きずっていく重機。

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轢かれたモルフォ。赤土の道は常にぬかるみ、吸水のため様々なチョウが降り立つ。それらは皆、重機に踏まれていく。

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いつかまたここに来たいな、と仲間内で言い合った。その時まで、森があるだろうか。

アマゾンのヨコバイとかセミ。小さな宝石たち。
セミ・ヨコバイ一種1、2

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南米はツノゼミと並び、ヨコバイがすさまじく多様化している。ツノゼミは形が多様化したが、ヨコバイは色彩が多様化した。しかし、その美しい色彩も生きている間だけのものだと思う。
他方、本当のセミに関しては悲しいほどに平凡な雰囲気の種類しかいない。東南アジアには黒と赤の毒々しい色をした毒ゼミなど、もっと綺麗なのがいるのに。

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湿度が高く地衣類の多い地域では、地衣類を意識したような模様のセミがいる。

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沖縄のクロイワゼミMuda kuroiwaeを彷彿とさせる種類。類縁の遠近に関わらず、世界中の熱帯地域には全身緑のセミが分布する。セミ科全体の中で、全身緑という形質は何回独立に誕生したのだろうか。