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コウグンシロアリHospitalitermes sp.。おびただしい数のワーカーが隊列を組んで森を行進し、餌の地衣類を集める。鼻面の長いやつは、戦闘に特化した兵隊。
名前と異なり、コウグンシロアリに白い種類はいない。外へ出歩く事の多い種類のシロアリほど、乾燥などに耐えるべく外骨格が厚くなるため、体色が濃く見える。逆に殆ど外気に触れない生活をするニトベシロアリPericapritermesなどは、病気かと思えるほど全身青ざめた色。マレーにて。

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コブナナフシDatames mouhoti。ドラゴンボールとかに出てくる怪獣をおもわせる。コブナナフシは、普通のナナフシよりは木の葉に擬態するコノハムシに近いものらしい。マレーにて。

時限爆弾

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冬虫夏草アリタケ(Ophiocordyceps sp.?)に冒され、操作されたオオアリCamponotus sp.マレーにて。
生きたアリの体内に侵入した菌は、アリの神経系を掌握して傀儡のように操るらしい。時がくると菌はアリに働きかけて、胞子を飛ばしやすい場所=風通しがよく風雨が直接当たらない木の葉裏へ移動するように命じる。アリは多分自分の意志とは関係なくそこへ移動し、葉の主脈を顎でガッチリ噛み体を固定する。その体勢のままアリが死ぬと、やがてアリの後頭部から細い糸状のキノコ(ストローマ)が生えてきて、その表面に胞子をまき散らす丸い結実部が形成される。
既にキノコが生えた状態のものはよく見るが、今まさに操られているのは初めて見た。

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この撮影時、アリは生きていた。指で触ると嫌がって足をばたつかせるが、噛みついた顎だけは絶対離さなかった。後の展開が分かっていれば、スローシャッターでアリがまだ動いている様を撮っておけばよかったと後悔している。ある日の午後に宿泊地の傍でこれを見つけたが、翌朝様子を見に行ったら既に事切れていた。

その後、電力事情の関係でよその宿泊地へ行かねばならなくなり、たった4-5日だが留守にすることになった。そして、再びこの場所へ戻ってきたとき、このアリの事を思い出して様子をまた見に行くことにした。










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早! もう全身に菌糸がはびこり、首からストローマが生えていた。まだ伸びる最中で、これの倍くらいは行くだろう。すると、ストローマの真ん中当たりに結実部ができて胞子を飛ばすようになる。しかし、俺の滞在期間中には流石にそこまで成長しなかった。

今、日本の職場の近くの森でこれによく似たイトヒキミジンアリタケCordyceps sp.を継続観察している。ミカドオオアリCamponotus kiusiuensisに寄生している個体だが、去年の11月に発見してから数ヶ月経った今でも殆どストローマが伸びていない。たった4-5日であれだけキノコが成長するとは、いかにあの国が高温多湿かが分かる。生きて動いていた姿を見ていただけに、あのアリの変貌ぶりはショックだった。

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シロオビモンキアゲハPapilio nephelus。極度の湿気でややレンズの内側が曇ってしまった。マレーにて。

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コラ!邪魔すんなあっち行けシッシッ!!

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渓流性アカガエル一種Rana sp.。夜の沢に多く、とても高い声で「チィリッ、ュィチリッ」とコオロギのように鳴き、声だけ聞いたのではカエルとは思えない。つけたあだ名はユイチリガエル。

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野外で見ると、日本の天然記念物イシカワガエルR. ishikawaeに似た雰囲気がある。写真にすると全然そんな感じではないし、体サイズもイシカワガエルより遙かに小さいのだが。
日本のカジカガエルBuergeria buergeriもそうだが、渓流に住むカエルには声の音域がとても高く、虫や鳥のような感じで鳴く種類が多い。川のザーザー音にかき消されないようにするためだろうか。

マレーにて。

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チャグロサソリHeterometrus sp。マレーにて。

東南アジアのアリども。
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カドフシアリMyrmecina sp.。地面で見かける。ダニを専食するらしく、ある種は専用のダニを家畜のように巣内で飼育している。マレーにて。

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クビレハリアリCerapachys sp.。この仲間はツクシンボウに脚を生やしたような体型で、他種のアリを襲う種が多い。決まった巣を持たずに定期的に放浪する。一説では軍隊蟻の祖先とも言われる。マレーにて。

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カブトアリCataulacus sp.。樹上性の平べったいアリ。マレーにて。

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トゲアリPolyrhachis sp.。熱帯にはトゲアリの仲間がとても多い。写真の種はトゲはないけどトゲアリの仲間。タイにて。

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ヒメアリMonomorium sp.。樹皮下に巣を作る、たいへん小さいアリ。マレーにて。

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オオズアリPheidole sp.。メジャーワーカー(大きいほう)とマイナーワーカー(小さいほう)が話し中。マレーにて。

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別のオオズアリ。ブギオオズアリP. parva に似ている。集団で採餌に出る。遠足にいくよう。マレーにて。

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ヨロイアリMeranoplus sp.。せな毛が爆発しているのに目を奪われがちだが、背中の形そのものもトゲがあってかっこいい。マレーにて。

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マガリアリGnamptogenys sp.。堅そうな装甲に覆われたアリ。腹端が曲がっているのが特徴で、ある種はこれを巧みに使って餌のヤスデの首をはねる。マレーにて。

怒ったでゲソ

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ゲソミルメクス(ツリメアリ)Gesomyrmex sp.。某侵略なんとか娘とは、意外にも関係ない。マレーにて。

東南アジアに生息するこのアリは、恐らく珍しくない。しかし、高木の天辺に営巣することが多いようで、滅多に見ることができない幻のアリ。人間に見つかるのは、たまに気の迷いで低いところに降りてくる個体のみのため、生きている姿をなかなか見られない。ネット上でも、生態写真はあまり発掘できない。

ある日ジャングルから宿泊地に戻ったとき、首筋に鋭い痛みを覚えた。こういうときは大抵ヒルが食いついたときなので、またあのクソヒルめがと思って、痛みの箇所を手でこすった。そうしたら、手にくっついてきたのがこいつだった。ジャングルのどこかを歩いていたときに偶然首に落ちてきたアリが、噛みついたのだった。数年前、タイの国立公園でも全く同じシチュエーションでこのアリに遭遇した事があった。手でかなり乱暴に払ってしまったので、どちらのケースもアリの体を甘つぶししてしまった。珍しいアリなのに、鬱。
おかげで、未だに五体満足なこのアリを見たことがない。

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怒っているような巨大な目が特徴。別に怒っていなくてもこの顔なのだが、多分捕食性が強いはずなので性格は温厚でないと思う。オオスズメバチに似た顔つきだが、体長はわずか4ミリ程度。噂では、健康な個体はジャンプするらしい。

本属のアリは、現生種に先駆けて琥珀に封じ込められた化石の個体が発見された。

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ハムシ一種Chrysomelidae sp.。いわゆるトゲナシトゲトゲの類で、有毒なベニボタル類に擬態していると見た。南米のトゲナシトゲトゲもベニボタルに擬態したものが多い。マレーにて。

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たぶんコシラヒゲカンムリアマツバメHemiprocne comata。アマツバメはツバメではない生物。樹冠部の決まった枝先に陣取り、虫が飛んでくると素早く飛び立って捕らえ、元の枝に戻るというヒタキ類のような狩りを行う。そのファンキーな髪型を間近でじっくり拝みたいのだが、とにかくべらぼうに高いところに常にいて、一定の高さより低いところに絶対降りてこない。マレーにて。

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グラキリスホソカワトンボVestalis gracilis。薄暗い林道で多くの個体がテリトリーを張っていて、よく目につく。翅は構造色により青く輝く。マレーにて。

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スカシバガ一種Sesiidae sp.。林縁の下草間を高速で飛び回る。最初見たとき、オートジャイロという言葉が脳裏に浮かんだ。オートジャイロという言葉の意味するモノがどんなものかもよく分からないのに。マレーにて。

家硝子

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イエガラスCorvus splendens。東南アジアの街を牛耳るもの。「ガァ、ガァ」と妙に甲高い声で鳴くが、マンガに出てくるふざけたカラスの声そのもの。マレーにて。

オケランパ

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ケラ一種Gryllotalpa sp.。形は日本のと同じだが、はるかに巨大。壊れかけた機械のモーター音みたいな大きな声で、日没直後に鳴く。マレーにて。


ケラを見ると、どうしても大昔やっていた子供向けの戦隊モノの特撮「マスクマン」にでてきたモンスター、オケランパを思い出す。昔から脈々と続いている戦隊モノは、大抵その話の回に出てくる怪人を正義の5人組が袋だたきにして、怪人が死にかけたところで巨大化、5人組も巨大ロボを転がしてきて戦い、最後に怪人をぶっ倒すのがパターンだと思う。
最近の戦隊モノの場合、この瀕死の所で怪人が巨大化するときに、敵軍の上役が直々に出てきて怪人に力を与えていたと思う(ガオレンジャー等。最近のシリーズはあまりフォローできてないのでこの限りでないかも知れない)。しかし昔の戦隊モノでは、瀕死の怪人を巨大化させることに特化した、専門の怪人というのがいたのだ。オケランパは、まさにそんなスペシャリスト怪人だった。

メイン怪人が死にかけたところで、突然誰に頼まれたわけでもなく「ケラケラケラ、オケランパ!」と叫びながら颯爽と現れ、巨大化ビームをメイン怪人に浴びせた後はすごすごと退場する。毎回30分の放送枠のうち、6-7秒しか画面上に登場しないのだが、その強烈なインパクトから今だに脳裏から離れない。
別の戦隊シリーズでは、巨大なクラゲが怪人を巨大化させていたのだが、あれは何だっただろうか。ライブマンだったかターボレンジャーだったか、もう記憶にない。

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カスミカメムシ一種Miridae sp.。サルノコシカケの上で、表面から出たヤニを吸う。マレーにて。

本日、マレーシアの海外調査から帰還。最低限の成果は挙げたものの、時期的にあまり芳しくなかったようで、生き物は全般的に少ないものだった。しかも、この時期はピンポイントでマレーシアという国のシステム上かなりやっかいな時期だったらしい。そのことが遠因になったのだが、いつも宿泊する山奥の施設で、唯一の電源である発電機を突如出現した害獣たちが破壊してしまい、後の我々の生活が極めて悲惨で危機的なものになってしまった。
本来、向こうの国でもなんだかんだでネットは使えるのだが、パソコンそのものを立ち上げることが不可能だったため、この日記も放置せざるを得なかった。次回からは、この時期にかの国へ赴くのは考え直した方がよさそうだと思った。

しかしあの害獣ども、いっそまとめて駆除できたらどれほどスッキリすることか。一応保護獣なので、やったら死刑だが。

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ヒメニトウリュウツノゼミ(仮名)Centrotypus pactolusの親子。マレーにて。