2012/11/30|Category:海外・東南アジア
2012/11/29|Category:海外・東南アジア

上の写真は、周囲を森に囲まれた宿舎の庭で撮影したもの。もう少しいい写真を撮りたかったのだが、ちょっと目を離した隙に勝手に森へ帰られてしまった。
東南アジアにおいて、陸生カメが生息する森は本当にすばらしい自然度の場所である。ほとんど手付かずの森といってもいい。人の息がかかった森は必ず道路ができるため、こういうカメはすぐ車に轢かれてどんどん減っていく。食用やペット用の乱獲も手伝い、ついには森から一匹もカメがいなくなる。
マレーにて。
2012/11/28|Category:好蟻性昆虫・東南アジア
怪人
2012/11/27|Category:海外・東南アジア

吸血アブの仲間で、ものすごくしつこい。一度まとわりつくと自発的に離れることはまず期待できない。蚊の場合、殺さないまでも指で体を圧迫すれば、もうまともな吸血行動ができなくなり慌てて逃げていく。しかしこいつの場合、蚊よりはるかに体が丈夫なので、軽く叩いたりデコピンで弾いた位ではすぐに立ち直ってしまい、よりエキサイトして攻撃してくる。不毛な争いを終わらせる唯一の術は、こいつの息の根を完全に止めることのみ。
この仲間のアブは世界中に分布しており、日本にもいる。アジアでは関係ないようだが、地域によっては皮膚下を這いずり、眼球に入り込むロア糸状虫の媒介者となるため、注意が必要。
こんならんらんと光る巨大な目を持つのに、メクラアブなどという名前がどうして付いたのか、最近までよくわからなかった。どうやら、昔は田舎で大発生したらしく、向こう側が見えないほどだったということでそういう名前がついたようだ。あまりいい名前の付け方ではない。
最近、生物の和名に言葉狩りの手が進んできた煽りをうけ、この虫に「メクラ」アブという名前が使われなくなった。最近の図鑑を見ると、本によってハネモンアブと書かれていたり、キンメアブと書かれていたりで、結局どっちを使えばいいのか全くわからない状況が続いている。属名から、俺はキンメアブを使うことにした。
差別用語だからといって、これまで使われてきた生物の名前を何かれ構わず改名していくのは、個人的には好かない。しかし、このメクラアブという名前に関しては、差別云々以前にそもそもこの虫にふさわしい名前ではなかったと思う。
ボルネオにて。
草も木もないジャングルに
2012/11/26|Category:海外・東南アジア
2012/11/25|Category:海外・東南アジア
2012/11/24|Category:海外・東南アジア
使い魔
2012/11/23|Category:海外・東南アジア
2012/11/22|Category:海外・東南アジア
2012/11/21|Category:海外・東南アジア
羊頭掲げた狗肉売り
2012/11/20|Category:海外・東南アジア

東南アジアに広く分布するこの仲間のカマキリは、世界で最も美しいカマキリとして有名である。まるでタマムシのようにメタリックな青や緑に輝く種が知られており、生体は飼育マニアの間でも結構いいお値段で売買されているようだ。
だが、それはマレー半島やスマトラなどに分布する種の話。ボルネオに生息するケンランカマキリは、全くもって地味な出で立ち。どこにもメタリック要素はない。看板に偽りありすぎ。

ボルネオの調査地の森では、樹皮が大きくめくれるような大木でよく見かけた。扁平な体型を生かして、樹皮の下に隠れている。行動はゴキブリのように素早く、恐らく自然状態では時々樹幹を歩いてくるアリを獲っているものと予想している。樹幹に住む動きの素早いカマキリは、アリが好物である。
マレー半島の方にいる肝心の絢爛な種類のケンランカマキリは、散々足を運んでいる割に全く見たことがない。いつか見たい。
おまけ。

まさかオランウータンが住む密林の島ボルネオにまで、こんな文化が侵入していたとは。ウォーレス線を超えるのも時間の問題か。いやもう既に超えているかもしれない。しかもこれ日本じゃ見ないキャラだ。新種発見。
反省
2012/11/19|Category:海外・東南アジア

知っている人は知っているのだが、先週の土日に東の都で「昆虫大学」なるイベントが開催され、俺はそのイベント内で口頭による講演と、写真展示をさせてもらった。結果、多くの人々に来ていただき、講演・展示ともにかなりの盛況だった。そんな中、自分がいったい今回のイベントでどのような評価を受けているのかが気になった。自分の評価され具合を知るために他人のブログなどを鼻突っ込んで嗅ぎ回ることはあまりしたくなかったが、少し調べてみた。
講演の方に関しては、かなり受けがよかったらしく、概ね好評だったようだ。一方で、かなりショックだったのは、写真展示に関してほとんど誰も言及されていないこと。この二日間位のあいだに、いつも俺がブログを巡回している幾つかの昆虫写真家の人々がこのイベントに行ったようだが、そのうちの誰ひとりとてあの珍妙な虫の生態写真に関して触れていなかったのには、自称とはいえ写真家を名乗る身として相当に凹まさせられた。やはり好蟻性昆虫という材料は、気をてらい過ぎた材料として認識されているのかもしれない。
ずっと会場でうろうろしていたのに、思いのほか展示について質問してくる人間が少なかったのも気になった。名札を途中でどこかになくしてしまったため、知らない人らは俺をただつっ立ってそこから立ち去らない正体不明の三十路キモヲタとして認識していた可能性もある。「あの衣装」のままいればよかったと、後になって思った。
一方で、正体を隠した状態で観客にまぎれ、耳をそばだてていたおかげで、観客の率直な感想を直に聞くことができた。俺の愛してやまないフサヒゲサシガメちゃんの前で「キモイ」と抜かしてたアベックに、後ろから正拳突きをかますのを必死に堪えたりもしたが、やはり多かったのは「すごい虫がいるものだ」と「そんなのをよく撮影できたものだ」という感嘆の声だった。たった一人だったが、「これ図鑑にしたら買うのに」とぼやいた女性もいた。
きっと、世の中の人間は「へんな生き物」に飢えている。だからこそ、そういう変な動物を紹介する本が2種類も3種類も書店に置いてあるのだと思う。好蟻性昆虫も、きっとやり方次第ではもっと化けると思う。そのやり方というのが具体的にどうすべきかは、これから吟味しなければいけないことである。
同時に、俺自身の知名度ももっと上げなければいけない。奇人度では人に負けないつもりだったが、今回はそれを凌駕するモノノフが会場に多かったため、すっかり霞と消えてしまった感は否めない。そのため、俺の奇人度をより上昇させる某計画を進行させることが、このイベント期間中に秘密裏に決定した。
爆ぜろリアル、邪王真眼!
2012/11/19|Category:好蟻性昆虫・東南アジア

この仲間のカゲロウが日本以外にもいるとは知らなかった。今年の秋にこれを探しに西日本へ旅に出ようと思ったが、台風で断念せざるを得なかった。そいつにまさかボルネオのジャングルで出会うとは。何となく貴重な記録に思えたが、撮影中に逃げられたので証拠標本がない。
日本のセアカクサカゲロウは、草原や河川敷など開放的な環境で得られることが多いようだが、こいつもジャングルの縁にある明るい草原で明け方飛翔しているのを見つけた。
緑一辺倒な他のクサカゲロウが憚って遠慮しそうな、どぎつい虎縞の出で立ち。大きな瞳は幻光をたたえて虚空を見つめる。さらに幼虫期の生態が一切謎という、中二病設定をこれでもかという位に盛り込んだ、お気に入りの虫。正確に言うと、ヨーロッパの同属近縁種では幼虫期にとある種のアリと緊密な関係をもつことが知られている。そういえば、日本のオオフト…いやなんでもなぃ。
2012/11/18|Category:海外・東南アジア
お得意先
2012/11/16|Category:海外・東南アジア

放浪種と呼ばれるこのアリは、元々アフリカにいたという説とアジアにいたという説があるが、それが人為的な物資の移送に伴って世界中に分布を拡大したのである。繁殖力の強さ、ほかの生物に対する排他的な性質から、侵略的外来種として警戒されている。既にクリスマス島のように、このアリの侵入によって生態系に壊滅的な打撃を受けた地域も出始めている。
農作物の害虫であるアブラムシやカイガラムシを甘露目的で守る性質も強く、結果としてこのアリ自体が農作物の害虫として作用する場合もある。生態系だけでなく人間の経済活動にも影響を及ぼす、油断ならない害虫アリ。
そんな害虫アリたるアシナガキアリだが、少なくとも俺にとっては、世界中どこに行っても手堅くアリヅカコオロギだけは採らせてくれる、大事な営業相手。いつもこいつのおかげで、海外遠征から手ぶらで帰らずに済んでいる。別名「ボウズ逃れ」。
マレーにて。
2012/11/15|Category:海外・東南アジア

好蟻性甲虫のヒゲブトオサムシのイメージから、一瞬好蟻性を疑った。実はこの個体は、樹幹のシリアゲアリ巣口の近くでずっとうろうろしていたもの。しかし、しばらく観察してみた限りでは特にアリに対して何かするふうではなかった。

しかし、すごい目つきしやがる。
マレーにて。
2012/11/15|Category:海外・東南アジア
ボラにちゃん付けする辺境の島国
2012/11/14|Category:海外・東南アジア

サソリは昔から好きな虫。日本ではそんじょそこらで見られる生き物ではないから、俺の中では希少価値が高い。何よりかっこいい。下手なカブトクワガタを見たときよりもテンションが上がる。「蛇蝎のごとく嫌う」という表現があるが、俺は蛇もサソリも好きなので、代わりに「犬鯔のごとく」と書く事にしている。
俺は犬が死ぬほど嫌いだという話を以前ここに書いたが、実は魚のボラも嫌いである。上から見ると顔が人みたいで不気味である。目がでかいくせに覇気のない死んだ目をしている。そして目がやや上方向に向いているので、真上からみると目が合うのが嫌である。大抵薄汚い河口で見るため、無駄にウスラでかい体でほの暗い水底から亡霊のごとくスーッと出現してスーッと消えるのが恐ろしい。訳もなく突然ジャンプするのも恐ろしい。何より時々大発生して川を埋め尽くすのがおぞましい。似たような大きさ姿のコイとかはどうともないのに、ボラだけはどうしてもダメなのである。
海水浴をしている最中に群れが近づいてきた日には、もう泣きながら手近なものをぶん投げて追い払うほどである。川で腰まで使って遊んでいたときに、たまたま遡上してきた巨大な奴が高速で足下をすり抜けていったときには小便もらしそうだった。
しかし、俺の周りには毛虫が泣くほど嫌いだとかいう人間はいてもボラが泣くほど嫌いだという人間が一人とて存在せず、誰ともこの苦しみを分かち合えない。実に世の中は、俺に生きにくいように出来ている。
これほど嫌なボラなのに、俺は海辺の地域に行くと何故か河口までわざわざそのボラを見に行ってしまい、そして激しく欝な気分になって帰るのである。昔のホラー漫画に「恐怖新聞」というのがあったが、これは1回読むたびに100日寿命が縮む呪いの新聞に取り付かれた男の物語だった。一度読んでしまうと呪いの力により、自分の意思とは関係なく毎日体が勝手に新聞を読みに動いてしまうようになるのである。俺にとってのボラは、まさに恐怖新聞である。
俺は深層心理の奥底では、水の生物全般を恐れているようである。何しろ水の中では人間が絶対に勝てない生物だから。人間が生身で絶対に生きていけない世界で普通に生きている別次元の存在だから。俺にとってその水生生物への恐れを具現化した究極形態がボラなのだと思う。
Oktavia von Seckendorff
2012/11/13|Category:海外・東南アジア
夢は夢のままに
2012/11/12|Category:海外・東南アジア
2012/11/11|Category:海外・東南アジア
2012/11/11|Category:海外・東南アジア
2012/11/10|Category:海外・東南アジア
2012/11/10|Category:海外・東南アジア
夕焼けこやけで真っ蚊っ蚊
2012/11/09|Category:海外・東南アジア

ボルネオの調査地は、水場が多くて蚊が多いのを反映して、トンボの種類も数もとても多かった。中にはとても美しいものもいた。トンボは別に研究対象ではないし撮影に手間がかかるため、多かった割にあまり相手にしなかった。それでも、空き時間には沼っぺりで童心に返りトンボを追い回した。
せっかく蚊の多い危険地帯で仕事するのだから、逆にそれを楽しまなければやってられない。

今回の旅では、この場所ではこの2種しか撮ってない。以下、2-3年前に同じ場所に短期滞在した時の副産物。






自然の沼や川がいくらでもあって、無数の蚊がいて、様々なトンボが沢山いる。これが本当の「トンボの楽園」である。日本には本当の「トンボの楽園」なんて、もうどこにもないし作ることも許されないと思う。トンボの楽園というのは、人間にとっての地獄である。
だじょー大臣大往生
2012/11/08|Category:海外・東南アジア
海之先ルソンアンナンシャムラオス
2012/11/07|Category:海外・東南アジア
Maid土産でゲソ
2012/11/06|Category:海外・東南アジア

恐らく熱帯のジャングルには多いはずだが、常に木の高所に営巣するため滅多に低いところで見られない「幻の普通種アリ」。それが偶然、目線の高さで営巣している木を見つけてしまった。もうこういう事は二度とない。今回の遠征で、冥土への旅の足を三里も進めてしまった。先はもう長くないだろう。

動きは敏捷。目が巨大なだけあって視力が発達し、こちらの挙動をいちいち気にする。ぱっと見の姿と動作は、系統的には無関係ながら南米のアカシアアリPseudomyrmexに極めてそっくり。拡大すると、オーストラリアの生きた化石アカツキアリNothomyrmeciaに似た雰囲気もなくはない。

ボルネオにて。