IMG_5701.jpgアザミウマ一種。たまたま木の葉をめくった裏にいた。爪の垢程もないようなちっこい虫だったが、拡大してみたら意外にかっこよかった。

マレーにて。

IMG_5511.jpgノコヘリマルガメCyclemys dentata。もしかしたら、トゲヤマガメHeosemys spinosaかもしれないがよく分からない。いずれにしても陸生の傾向が強いカメで、これは30cm以上ある大型個体。調査に同行したおじちゃんが、道ばたで見つけたと言って宿舎に連れてきたもの。夜に宿舎の離れにあるシャワー室でシャワーを浴びていた時、扉の下の隙間からおじちゃんがこれを侵入させてきたのでびびった。亀をいじってたらカメが現れた。
上の写真は、周囲を森に囲まれた宿舎の庭で撮影したもの。もう少しいい写真を撮りたかったのだが、ちょっと目を離した隙に勝手に森へ帰られてしまった。

東南アジアにおいて、陸生カメが生息する森は本当にすばらしい自然度の場所である。ほとんど手付かずの森といってもいい。人の息がかかった森は必ず道路ができるため、こういうカメはすぐ車に轢かれてどんどん減っていく。食用やペット用の乱獲も手伝い、ついには森から一匹もカメがいなくなる。

マレーにて。

IMG_864.jpgキマダラルリツバメ一種幼虫Spindasis sp.。ノボタンの葉のしおれた内側に3匹くらい固まっていた。この仲間はシリアゲアリ属Crematogasterと強い関係を持つ好蟻性蝶類として知られる。日本に生息するS. takanonisは口移しでアリから餌をもらって育つが、同属他種はそこまでの施しは受けないらしい。

マレーにて。

怪人

IMG_3143.jpgメクラアブ一種Chrysops sp.。すごい目。

吸血アブの仲間で、ものすごくしつこい。一度まとわりつくと自発的に離れることはまず期待できない。蚊の場合、殺さないまでも指で体を圧迫すれば、もうまともな吸血行動ができなくなり慌てて逃げていく。しかしこいつの場合、蚊よりはるかに体が丈夫なので、軽く叩いたりデコピンで弾いた位ではすぐに立ち直ってしまい、よりエキサイトして攻撃してくる。不毛な争いを終わらせる唯一の術は、こいつの息の根を完全に止めることのみ。
この仲間のアブは世界中に分布しており、日本にもいる。アジアでは関係ないようだが、地域によっては皮膚下を這いずり、眼球に入り込むロア糸状虫の媒介者となるため、注意が必要。

こんならんらんと光る巨大な目を持つのに、メクラアブなどという名前がどうして付いたのか、最近までよくわからなかった。どうやら、昔は田舎で大発生したらしく、向こう側が見えないほどだったということでそういう名前がついたようだ。あまりいい名前の付け方ではない。

最近、生物の和名に言葉狩りの手が進んできた煽りをうけ、この虫に「メクラ」アブという名前が使われなくなった。最近の図鑑を見ると、本によってハネモンアブと書かれていたり、キンメアブと書かれていたりで、結局どっちを使えばいいのか全くわからない状況が続いている。属名から、俺はキンメアブを使うことにした。

差別用語だからといって、これまで使われてきた生物の名前を何かれ構わず改名していくのは、個人的には好かない。しかし、このメクラアブという名前に関しては、差別云々以前にそもそもこの虫にふさわしい名前ではなかったと思う。

ボルネオにて。

草も木もないジャングルに

IMG_5561.jpg偶然道すがら通りかかった、焼き払われたジャングル。原生林を燃やし尽くし、アブラヤシのプランテーションをつくる。これが、「地球にやさしいヤシの実洗剤」の故郷。

こうやって作ったアブラヤシから得られるパームオイルを一番輸入している国の一つは日本。我々の豊かな生活は、全然関係ない国の多大なる生き物の犠牲の上に成り立っている事を、少なからず自覚した。
かと言って今更近代生活をやめられるはずも無い。日常の無駄遣いだけでも、なくそうと思った。

IMG_2805.jpgカレハバッタChorotypus sp.。擬態昆虫の図鑑では定番の仲間。幾つか似た種がいて、それぞれ枯葉模様の腐食具合が違う。一部分穴があいているように見えるのは、傷ついたのではなく元々の仕様。噂では、枯葉を食べるらしい。枯葉を食いすぎて枯葉になってしまったわけではあるまい。

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正面から見ると、そんなに変わったバッタには見えない。

ボルネオにて。

IMG_6056.jpg
可愛いネズミ。種名は知らない。マレー半島の森の宿舎に住み着いていた。樹上性の種のようで、長い尾を巧みに使ってチョロチョロと建物の壁を上り下りしていた。胴体はほんの4cmくらいしかない。


IMG_6064.jpgヤマネの仲間を思わせる雰囲気を醸していた。でも、こんなに可愛らしく見えてきっとツツガムシやらノミやらの塊に違いない。相手はあくまで野生動物であるのを忘れてはならない。


※博識な方から、ヤマネマウス属Chiropodomysと教えていただきました。ありがとうございます。

使い魔

IMG_3416.jpgボクトウガ一種Cossidae sp.。恐ろしく巨大な種。羽音を響かせてコウモリのように闇夜を飛び回っていたが、俺が両手を空に差し出したらこちらに向かってきて、フワッと手のひらに舞い降りた。
暗い中で俺の手がヘッドライトに照らされて白く輝いたので、それ目がけて降りてきただけなのだが、ちょっとした虫使い気分。

ボルネオにて。

IMG_5340.jpgたぶんヤドリカニムシ科一種Chernetidae sp.。樹皮下でよく見る。幼い頃、サソリを家で買えない腹いせにカニムシを飼育していたのを思い出す。マレーにて。

IMG_5904.jpgコバンムシ一種Naucoridae sp.。小さな水生カメムシの一種。ジャングルの中の宿舎に、夕方飛んできた。コバンムシは日本にも生息するが、環境の悪化でものすごく数が減ってしまい絶滅が危ぶまれている。日本では、きっと永遠に見ることはないだろう。日本の奴は、目が鮮やかな赤でかっこいいのだが。

日本産種は、水草が豊富に繁る沼にしか生息しないらしい。でも、上の個体がいた場所の付近に沼はなく、大きな渓流が流れている。この仲間は種類・分布する国によって、好む環境が全然違うようだ。

マレーにて。

羊頭掲げた狗肉売り

IMG_2966.jpgケンランカマキリ科らしい一種Metallyticidae sp.。ボルネオにて。

東南アジアに広く分布するこの仲間のカマキリは、世界で最も美しいカマキリとして有名である。まるでタマムシのようにメタリックな青や緑に輝く種が知られており、生体は飼育マニアの間でも結構いいお値段で売買されているようだ。
だが、それはマレー半島やスマトラなどに分布する種の話。ボルネオに生息するケンランカマキリは、全くもって地味な出で立ち。どこにもメタリック要素はない。看板に偽りありすぎ。

IMG_2970.jpg「うるせぇな。お前らが勝手に俺の仲間見て勝手に名前つけただけだろ!」

ボルネオの調査地の森では、樹皮が大きくめくれるような大木でよく見かけた。扁平な体型を生かして、樹皮の下に隠れている。行動はゴキブリのように素早く、恐らく自然状態では時々樹幹を歩いてくるアリを獲っているものと予想している。樹幹に住む動きの素早いカマキリは、アリが好物である。
マレー半島の方にいる肝心の絢爛な種類のケンランカマキリは、散々足を運んでいる割に全く見たことがない。いつか見たい。













おまけ。
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まさかオランウータンが住む密林の島ボルネオにまで、こんな文化が侵入していたとは。ウォーレス線を超えるのも時間の問題か。いやもう既に超えているかもしれない。しかもこれ日本じゃ見ないキャラだ。新種発見。

反省

namis.jpgナミセツノゼミEbhul sp.とカタアリDolichoderus sp.。反省だけならアリでもできる。マレーにて。


知っている人は知っているのだが、先週の土日に東の都で「昆虫大学」なるイベントが開催され、俺はそのイベント内で口頭による講演と、写真展示をさせてもらった。結果、多くの人々に来ていただき、講演・展示ともにかなりの盛況だった。そんな中、自分がいったい今回のイベントでどのような評価を受けているのかが気になった。自分の評価され具合を知るために他人のブログなどを鼻突っ込んで嗅ぎ回ることはあまりしたくなかったが、少し調べてみた。

講演の方に関しては、かなり受けがよかったらしく、概ね好評だったようだ。一方で、かなりショックだったのは、写真展示に関してほとんど誰も言及されていないこと。この二日間位のあいだに、いつも俺がブログを巡回している幾つかの昆虫写真家の人々がこのイベントに行ったようだが、そのうちの誰ひとりとてあの珍妙な虫の生態写真に関して触れていなかったのには、自称とはいえ写真家を名乗る身として相当に凹まさせられた。やはり好蟻性昆虫という材料は、気をてらい過ぎた材料として認識されているのかもしれない。
ずっと会場でうろうろしていたのに、思いのほか展示について質問してくる人間が少なかったのも気になった。名札を途中でどこかになくしてしまったため、知らない人らは俺をただつっ立ってそこから立ち去らない正体不明の三十路キモヲタとして認識していた可能性もある。「あの衣装」のままいればよかったと、後になって思った。

一方で、正体を隠した状態で観客にまぎれ、耳をそばだてていたおかげで、観客の率直な感想を直に聞くことができた。俺の愛してやまないフサヒゲサシガメちゃんの前で「キモイ」と抜かしてたアベックに、後ろから正拳突きをかますのを必死に堪えたりもしたが、やはり多かったのは「すごい虫がいるものだ」と「そんなのをよく撮影できたものだ」という感嘆の声だった。たった一人だったが、「これ図鑑にしたら買うのに」とぼやいた女性もいた。
きっと、世の中の人間は「へんな生き物」に飢えている。だからこそ、そういう変な動物を紹介する本が2種類も3種類も書店に置いてあるのだと思う。好蟻性昆虫も、きっとやり方次第ではもっと化けると思う。そのやり方というのが具体的にどうすべきかは、これから吟味しなければいけないことである。

同時に、俺自身の知名度ももっと上げなければいけない。奇人度では人に負けないつもりだったが、今回はそれを凌駕するモノノフが会場に多かったため、すっかり霞と消えてしまった感は否めない。そのため、俺の奇人度をより上昇させる某計画を進行させることが、このイベント期間中に秘密裏に決定した。

爆ぜろリアル、邪王真眼!

IMG_2638.jpg美麗なクサカゲロウ。日本のセアカクサカゲロウItalochrysa japonicaに極めて近縁か、同種。ボルネオにて。

この仲間のカゲロウが日本以外にもいるとは知らなかった。今年の秋にこれを探しに西日本へ旅に出ようと思ったが、台風で断念せざるを得なかった。そいつにまさかボルネオのジャングルで出会うとは。何となく貴重な記録に思えたが、撮影中に逃げられたので証拠標本がない。
日本のセアカクサカゲロウは、草原や河川敷など開放的な環境で得られることが多いようだが、こいつもジャングルの縁にある明るい草原で明け方飛翔しているのを見つけた。

緑一辺倒な他のクサカゲロウが憚って遠慮しそうな、どぎつい虎縞の出で立ち。大きな瞳は幻光をたたえて虚空を見つめる。さらに幼虫期の生態が一切謎という、中二病設定をこれでもかという位に盛り込んだ、お気に入りの虫。正確に言うと、ヨーロッパの同属近縁種では幼虫期にとある種のアリと緊密な関係をもつことが知られている。そういえば、日本のオオフト…いやなんでもなぃ。

IMG_5444.jpgオモビロルリアリ一種Philidris sp.。ハート頭の可愛い奴だが、性格はきつい。マレーにて。

事後報告ながら、昨日は某イベントで喋らせて頂いた。来場の皆様方には重ねて厚く御礼申し上げます。

覗キッド

IMG_027.jpgシロアゴガエルPolypedates sp.。何か企んでそうな雰囲気。マレーにて。

お得意先

IMG_4135.jpgアシナガキアリAnoplolepis gracilipes。まるで飴細工のような繊細で美しいアリ。蜜を腹に溜め込んで膨れている個体は特に美しいと思う。世界中の熱帯地域に分布するこのアリは、しかし著名な害虫である。

放浪種と呼ばれるこのアリは、元々アフリカにいたという説とアジアにいたという説があるが、それが人為的な物資の移送に伴って世界中に分布を拡大したのである。繁殖力の強さ、ほかの生物に対する排他的な性質から、侵略的外来種として警戒されている。既にクリスマス島のように、このアリの侵入によって生態系に壊滅的な打撃を受けた地域も出始めている。
農作物の害虫であるアブラムシやカイガラムシを甘露目的で守る性質も強く、結果としてこのアリ自体が農作物の害虫として作用する場合もある。生態系だけでなく人間の経済活動にも影響を及ぼす、油断ならない害虫アリ。

そんな害虫アリたるアシナガキアリだが、少なくとも俺にとっては、世界中どこに行っても手堅くアリヅカコオロギだけは採らせてくれる、大事な営業相手。いつもこいつのおかげで、海外遠征から手ぶらで帰らずに済んでいる。別名「ボウズ逃れ」。

マレーにて。

IMG_4930.jpg変なカスミガメ。コガシラダルマカメムシに近い仲間だろうか。ネット上をさがすと、Alcerocorisという属に似ているが・・。触角第2節が異様に肥大している種。

好蟻性甲虫のヒゲブトオサムシのイメージから、一瞬好蟻性を疑った。実はこの個体は、樹幹のシリアゲアリ巣口の近くでずっとうろうろしていたもの。しかし、しばらく観察してみた限りでは特にアリに対して何かするふうではなかった。

IMG_4926.jpg意外に長い口吻を樹幹に突き立てて、何かを吸う素振りを見せていた。恐らく樹皮に埋め込まれた何かの虫の卵を吸っているんではなかろうか。多分、それが偶然アリの巣の近くにあったからそこに居ただけだと思う。
しかし、すごい目つきしやがる。

マレーにて。

IMG_5732.jpg野外ではそうそう見ないジュズヒゲムシZorotypus sp.の有翅型。歩いている時に飛行中のものを見つけて手ですくい取ったが、普通そうやって採る虫ではない。

ジュズヒゲムシを含む絶翅目Zorapteraは、世界中に広く分布するのに日本には1種たりともいない。目レベルで邦産しない分類群。そして、何の虫に一番近縁なのか未だに分かっていない分類群でもある(現状ではシロアリモドキを含む紡脚目Embiopteraが有力らしい)。

マレーにて。

IMG_4241.jpg遠目にはテントウムシに見える綺麗なカメムシ。意外に立体的な作りでかっこいい。マレーにて。

ボラにちゃん付けする辺境の島国

IMG_4950.jpgマダラサソリIsometrus maculatus。普段はおっとりしているが、獲物を攻撃するときは別人格が降りたように高速。マレーにて。

サソリは昔から好きな虫。日本ではそんじょそこらで見られる生き物ではないから、俺の中では希少価値が高い。何よりかっこいい。下手なカブトクワガタを見たときよりもテンションが上がる。「蛇蝎のごとく嫌う」という表現があるが、俺は蛇もサソリも好きなので、代わりに「犬鯔のごとく」と書く事にしている。

俺は犬が死ぬほど嫌いだという話を以前ここに書いたが、実は魚のボラも嫌いである。上から見ると顔が人みたいで不気味である。目がでかいくせに覇気のない死んだ目をしている。そして目がやや上方向に向いているので、真上からみると目が合うのが嫌である。大抵薄汚い河口で見るため、無駄にウスラでかい体でほの暗い水底から亡霊のごとくスーッと出現してスーッと消えるのが恐ろしい。訳もなく突然ジャンプするのも恐ろしい。何より時々大発生して川を埋め尽くすのがおぞましい。似たような大きさ姿のコイとかはどうともないのに、ボラだけはどうしてもダメなのである。

海水浴をしている最中に群れが近づいてきた日には、もう泣きながら手近なものをぶん投げて追い払うほどである。川で腰まで使って遊んでいたときに、たまたま遡上してきた巨大な奴が高速で足下をすり抜けていったときには小便もらしそうだった。
しかし、俺の周りには毛虫が泣くほど嫌いだとかいう人間はいてもボラが泣くほど嫌いだという人間が一人とて存在せず、誰ともこの苦しみを分かち合えない。実に世の中は、俺に生きにくいように出来ている。

これほど嫌なボラなのに、俺は海辺の地域に行くと何故か河口までわざわざそのボラを見に行ってしまい、そして激しく欝な気分になって帰るのである。昔のホラー漫画に「恐怖新聞」というのがあったが、これは1回読むたびに100日寿命が縮む呪いの新聞に取り付かれた男の物語だった。一度読んでしまうと呪いの力により、自分の意思とは関係なく毎日体が勝手に新聞を読みに動いてしまうようになるのである。俺にとってのボラは、まさに恐怖新聞である。

俺は深層心理の奥底では、水の生物全般を恐れているようである。何しろ水の中では人間が絶対に勝てない生物だから。人間が生身で絶対に生きていけない世界で普通に生きている別次元の存在だから。俺にとってその水生生物への恐れを具現化した究極形態がボラなのだと思う。

Oktavia von Seckendorff

IMG_5348.jpgグンバイ一種Tingidae sp.。不思議な飾りは何のため。マレーにて。

夢は夢のままに

IMG_4218.jpgすごい姿のカマキリ幼虫。全身トゲだらけのパンクロック風な出で立ち。カマだけグローブをはめたように黄色いのもお洒落。
成虫がどんな姿なのかは知らないが、知りたくない。こういう幼虫期に珍妙な姿のカマキリは、成虫になると途端につまらない姿になるものが多いから。

マレーにて。

IMG_5322.jpg
イエヒメアリMonomorium pharaonis。怒らせると腹端から毒針を突き出し、毒の雫をちらつかせる。相手が引かねば、擦り付けて攻撃する。

マレーにて。

IMG_4655.jpg淡水サヨリ。日本ではサヨリというと海の魚のイメージだが、東南アジアでは川でよく見られる淡水魚の仲間。日本でもクルメサヨリHyporhamphus intermediusなど、淡水性の強いサヨリは一応いるが・・。これは海からはるか離れたジャングルの山奥の沢に多くいたもの。

サヨリにカレー粉をまぶして衣で揚げたフライは、最高に美味い。でもこいつはツマヨウジ大の小型種で、唐揚げにもならない。できれば水槽で育ててみたい魚だが、きっと輸送が難しいだろう。


マレーにて。

IMG_3581.jpgボルネオ固有らしい、超巨大コケムシ。Clidicus taphrocephalus?だと思う。大きさなんと1センチ。
1センチで何が超巨大だと思われるかもしれないが、せいぜい2-3ミリが相場のコケムシ亜科Scydmaeninaeで1センチは破格のでかさである。コケムシといっても、水生生物のコケムシ(外肛動物Bryozoa)とはなんの関係もない。

森の遊歩道で偶然歩いているのを見つけたが、採集許可のない地域だったので連れて帰れなかった。なお、コケムシには僅かにアリ・シロアリと関係する種がいるが、日本ではそういう種はいない。この巨大種もただの自由生活種。

ボルネオにて。

IMG_2660.jpg種類は知らないけど可愛いヘビ。地べたにいたが、本来はたぶん樹上にいる種に思える。沖縄のイワサキセダカヘビPareas iwasakiiが改心したような顔。

ボルネオにて。

夕焼けこやけで真っ蚊っ蚊

IMG_3207.jpgハッチョウトンボ一種Nannophya sp.。一円玉サイズの極小種。ボルネオにて。

ボルネオの調査地は、水場が多くて蚊が多いのを反映して、トンボの種類も数もとても多かった。中にはとても美しいものもいた。トンボは別に研究対象ではないし撮影に手間がかかるため、多かった割にあまり相手にしなかった。それでも、空き時間には沼っぺりで童心に返りトンボを追い回した。
せっかく蚊の多い危険地帯で仕事するのだから、逆にそれを楽しまなければやってられない。

IMG_2961.jpgチョウトンボの仲間Rhyothemis triangularis?。止まると翅を互い違いにニラニラ動かす。

今回の旅では、この場所ではこの2種しか撮ってない。以下、2-3年前に同じ場所に短期滞在した時の副産物。

P1270604.jpg日本では見ない雰囲気のイトトンボ。名前は知らない。

P1270441.jpg見つけたときはイトトンボと思ったが、カワトンボ系であろう種。名前は知らない。

P1270835---コピー東南アジアでよく見る翅が赤いトンボ。アカスジベッコウトンボ属Nerothemis辺りだろうが、この属は似た種が多いのでよく分からない。

P1270839.jpg絶対に垂直面にしか止まらない変なトンボ。何十回脅しても地べたには止まらない。森で見かける種で、恐らく樹洞に溜まった雨水に産卵するのだろう。

P1270339.jpgハナダカトンボ一種。好き。

P1270985.jpg滝を見つめる。


自然の沼や川がいくらでもあって、無数の蚊がいて、様々なトンボが沢山いる。これが本当の「トンボの楽園」である。日本には本当の「トンボの楽園」なんて、もうどこにもないし作ることも許されないと思う。トンボの楽園というのは、人間にとっての地獄である。

だじょー大臣大往生

IMG_3080.jpgハマダラカ一種Anopheles sp.。マラリアを媒介する危険生物。今回行ったボルネオの調査地は沼地がとても多く、無数の蚊の温床となっていた。軽度のマラリア汚染地帯でもあり、時々滞在者が罹ると聞いた。この蚊にはかなり気をつけて行動したが、知らない間にそばに来ていて刺されていたことが数回あった。幸い、その後どうともならないので「ハズレ蚊」だったようだが、今後本当にやばい地域に行くときは用心したほうが良さそうだ。


IMG_3204.jpg沼。国内外を問わずこういう開けた水系は、ハマダラカの格好の発生場所。

何度でも書くが、山本正之の名曲「源平超歴いざ鎌倉」は、至高の名曲。


ボルネオにて。

海之先ルソンアンナンシャムラオス

IMG_2417.jpgカ一種。一般的なヤブ蚊であるヒトスジシマカAedes (Stegomyia) albopictusと同大だが、全ての脚に細かな縞模様があってとても美しい生物だった。しかし、人体を嗜好し激しく攻撃してくる種のため、森では昼夜を問わず消耗させられた。

後で写真を見たら、この個体は首筋に恐らく便乗性らしきダニが付いていることに気付いた。ダニすまん。乗り物ごと木っ端微塵にしてしまって。

ボルネオにて。

Maid土産でゲソ

IMG_4032.jpgゲソミルメクス(ツリメアリ)Gesomyrmex sp.。侵略なんとか娘とは、驚くほど関係ない。

恐らく熱帯のジャングルには多いはずだが、常に木の高所に営巣するため滅多に低いところで見られない「幻の普通種アリ」。それが偶然、目線の高さで営巣している木を見つけてしまった。もうこういう事は二度とない。今回の遠征で、冥土への旅の足を三里も進めてしまった。先はもう長くないだろう。

IMG_4040.jpgこのアリには過去に2度遭遇したが、いずれもたまたま木から落ちてきたらしい個体が首筋に噛みつき、ヒルかと思って叩きつぶしてしまった姿しか見たことがなかった。自然状態で生きている五体満足の個体を見たのは初めて。ググレカス先生で画像検索しても、標本画像ばかりで生きた姿があまり出てこないあたり、その筋の専門家でもなかなか生きたこのアリに巡り会えないことを物語っている。

動きは敏捷。目が巨大なだけあって視力が発達し、こちらの挙動をいちいち気にする。ぱっと見の姿と動作は、系統的には無関係ながら南米のアカシアアリPseudomyrmexに極めてそっくり。拡大すると、オーストラリアの生きた化石アカツキアリNothomyrmeciaに似た雰囲気もなくはない。

IMG_4089.jpgワーカーには二型あり、大型のは頭が四角く角張ってスズメバチっぽい顔になる。見た目から何となく予想していたが、けっこう短気で扱いづらい。

ボルネオにて。