227.jpgチョウの集団吸水。メスジロキチョウIxias pyreneとかいろいろ。熱帯というと、こういう光景が当たり前のように思われがちだが、実際にはかなり特殊な地域・状況下でしか見られない。タイにて。

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マレークシヒゲカマキリとかトビエダカマキリとか呼ばれる者。見つけると、いつも写真を撮りまくってしまう相手の一つ。頭から生える角は大抵の個体で曲がっているが、曲がっていない個体もいる。

俺は今までこいつの事をマレークシヒゲと呼んでいたが、マレー以外にもいるし、とりたてて触角がクシになっているわけでもない。トビエダカマキリと呼ぶ方がいいかもしれない。

タイにて。

219.jpgフサヤスデ一種Polyxenidae sp.。樹皮の裏にいた個体。体長3ミリ、まるでミニチュアのヤマアラシだ。全身を覆う毛は、アリをはじめとした多くの捕食者を遠ざける役目をもつが、一部の種類のアリは巧妙なやり方でこの虫を狩る。

この仲間のヤスデは、種類によってはアリの巣で暮らす。アリにとっては、どうにも扱い難い置物に違いない。

タイにて。

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パリーテナガコガネCheirotonus parryi。灯火に飛来した個体。生まれて初めて見たテナガコガネ。日本のカブトムシより重厚で美しい。こんなのを沖縄のやんばるで一番最初に発見した人の驚きたるや、筆舌に尽くしがたかったろう。

223.jpgテナガコガネの仲間はアジア熱帯地域を中心に何種かいるが、生息地となっているたいていの国で保護動物となっており、残念ながら連れて帰れない。いくつかの保護されていない国では採れはするらしいが、生かして持ち帰れない。テナガコガネは日本のもろもろの法律により、生きたまま連れ帰ってはならないことになっているからだ。

タイにて。

216.jpg木の葉そっくりのキリギリス。かなり大形。虫マニアのバイブル「珍虫と奇虫」にも載っていたと思うが、名前を忘れた。手づかみすると、壊れた戦車のキャタピラーが空回りするような声で威嚇する。それ以前に、トゲだらけの脚で蹴ってくるので下手に手づかみできない。

217.jpg傷がついて黒く変色した青葉にありがちな雰囲気の模様を、実によく再現している。見ようによっては立体的に見える模様だが、目の錯覚。どんなに指でなぞっても、すべすべの平面だった。タイにて。

しかし回り込まれた

241.jpgコサメビタキMuscicapa dauurica。山野の虫たちにとっては存在そのものが忌まわしいであろう夏鳥の一種。小さくて地味だし、とりたてて綺麗な声でさえずるわけでもない。しかし、目がとてもパッチリした可愛らしい恐竜の一種で、夏鳥の中では一番のお気に入りの種。この日は、風が強かったので、あまり目をパッチリ開いていなかった。

240.jpg動きはとても素早く、同じ枝に何秒もじっとしていないので撮影困難。しかも、ふと気が付くと真後ろにいたりするので、とても翻弄される。

長野にて。

242.jpgイカリソウEpimedium grandiflorum。春先にきれいな花を咲かせる。タネにはアリが好むエライオソームをつけているため、アリが運ぶ。長野にて。

今年は、春の花がいつまでも咲いている。ちょっと山手に入ると、まだ桜が散っていない場所さえある。何年か前の4月にも記録的な低温が続き、桜が一向に散らなかったのを覚えている。どこの初音島かと。

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ヨコバイ一種。羽化の最中。長野にて。

253.jpgムネボソアリLeptothorax congruus。一生懸命仕事中。長野にて。

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カタクリErythronium japonicum。家の近所にたくさん咲く場所があったのだが、最近は信じ難いほどにまで数が減った。正確には、株の数自体は減っていないのだが、花を咲かせる個体がものすごく少なくなった。森の手入れがなされなくなり、林床に十分光が差さなくなったせいだろう。

カタクリは花を咲かせるまで8年くらいかかる。それまでは、毎年春先に葉っぱだけ出しては枯れるのを繰り返し、根に花を咲かせるのに十分な養分を蓄積するのだ。しかし、花を咲かせることができても、開花期に十分日光を浴びることが出来ねば、翌年はまた葉っぱだけ出して終わりになってしまう。
この森は、そんな葉っぱだけしか出せずに終わるカタクリばかり目立つようになってしまった。

長野にて。

254.jpgアズマキシダグモPisaura lama。徘徊性クモで、目の前に来た獲物に直接飛びかかって捕らえて食う。しかし、オスはしばしば捕らえた獲物を食わず、丁寧に糸でラッピングする。メスと配偶する際に、プレゼントとして渡すためだ。
本種は、婚姻贈呈の習性を持つことであまりに有名である。世界にはこういう習性のクモが何種類かいるらしいが、国内では本種のみ。普通種だし、習性はよく知られているのだが、その割に最近撮影された配偶シーンの写真がググっても出てこない。夜行性で目立たないため、誰も観察しようと思わないのだろう。こういう所の利権をザックリやるのが俺。

255.jpgメスにプレゼントを渡す瞬間。ラッピングした獲物を持ったオスは、メスが歩きながら出す「しおり糸」を辿ってメスを探し出す。そして簡素なダンスでメスに存在をアピールしつつ接近する。メスがプレゼントを受け取ると、オスは体をひねって仰向けのような体勢になり、下からメスに触肢を差し込んで交尾(交接)する。
これの逆光ストロボ写真をいかに格好良く撮ろうかと腐心している。

かつては、交尾中にメスに食われないように、オスは身代わりとして餌を持参するのだと解釈されていた。しかし、本種は雌雄で体格差がほとんどないため、共食いは恐らくほとんど起きない。それよりも、産卵前にメスに栄養を貢ぐことでメスにより多く卵を産ませる意味合いが強いと、今では解釈されている。

長野にて。


※国内で婚姻贈呈の習性を持つクモとして、近年新たにハヤテグモPerenethis fascigeraが確認されているとの情報を頂きました。情報を下さった方、誠にありがとうございました。

248.jpgアズマヒキガエルBufo japonicus。今年は、合戦がとても遅れている。4月の異常低温が、あらゆる生き物の挙動に影響を与えている。長野にて。

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マダラサソリIsometrus maculatus。タイにて。

夜、ジャングルの宿舎の離れにあるシャワー小屋で水浴びをしていたら、背後の壁の隙間にいた。しかし、見た目ほど脅威たりえる存在ではない。
昔の文学的表現に「毒蛇悪蠍の潜む密林」などという言葉があるが、少なくとも東南アジアのジャングルにいるサソリで、毒性が問題になるような種類は聞いたことがない(ただし、弱毒種であっても毒の効き方には個人差がある)。毒蛇ではいくつか危険な種がいるが、それでも個体数が少ないものばかりなので実際に遭遇することなどまずない。
キングコブラなど、俺はむしろ見たくて探している程だが、これまで通算何日間過ごしたか分からない東南アジアでの生活の中で、一度たりとも出会えた試しがない。キングコブラは、どこの分布域でも生息環境の悪化と過剰な駆除によって減る一方である。そもそも、熱帯のジャングルではヘビという動物自体の生息密度があまりにも低い。日本の野山の方が、明らかにヘビに出会う機会は多い。

遭遇頻度と危険性の双方を考慮すれば、熱帯のジャングルで本当に警戒せねばならない危険生物は、蚊と犬と、そしてヒト。

215.jpgナガキクイムシ一種Platypodinae sp.。灯火に飛来した個体。ナガキクイムシの仲間は樹木の害虫として名高く、日本でもカシノナガキクイムシPlatypus quercivorusというのが西日本のナラ類を枯らす「ナラ枯れ」を引き起こし問題になっている。
しかし、虫そのものはとても美しく、不思議な姿をしている。もし害虫にならなければ、ただの変わった虫で済んでいただろうに、もったいない。

キクイムシやナガキクイムシといった仲間は、かつてはそれぞれ独立した科をつくっていたが、今ではゾウムシ科の一部になっている。どこをどう見たらゾウムシなんだ?

タイにて。

かぐや姫伝説

214.jpgタケコウモリTylonycteris sp.。夜間、山中で灯火採集した際に、上空から落ちてきたもの。二匹からんで落ちてきたと、近くにいたおじちゃんが教えてくれた。が、俺が駆けつけた時には片方はもう消えていた。タイにて。

日本のアブラコウモリよりやや小柄で、妙に平べったい体型が奴の自慢。日中は森林内のひび割れた竹の中に潜んでおり、夕方飛び出す。狭い竹のひび割れを自在に通り抜けるのに都合良い姿をしている。また、すべすべした竹の内壁を上り下りするため、足の裏は吸盤のように広がっているらしいが確認できなかった。

俺はこのコウモリの存在を、今はなき「どうぶつ奇想天外」で知った。ある回の特集で、タイに住む変わったコウモリを3つの伝説(かぐや姫伝説、親指姫伝説、黒龍伝説)になぞらえて紹介していた。かぐや姫がタケコウモリ、親指姫がタイ特産の最小種キティブタバナコウモリ、黒龍が洞窟から黒いうねりとなって大群で飛び出すオヒキコウモリだった。

キティブタバナコウモリは、胴体が2センチ位しかない世界最小の哺乳類。翼をめいっぱい広げた幅は、奇しくも世界最大の哺乳類シロナガスクジラの瞳の大きさとほぼ同じだと、「どうぶつ・・」で言っていたと記憶している。昔、タイのカオヤイ国立公園に調査に行ったとき、夕暮れの空をアブラゼミくらいしかない極小サイズのコウモリが飛んでいたのを見た。あれがキティブタバナコウモリだと思っていたが、カオヤイに分布してるのだろうか。

208.jpgミノガあたりの蛾の幼虫の巣。カブトガニそっくり。苔むした岩石の表面に付いており、おそらく地衣類を食う。東南アジア某所にて。

花はだ詐欺

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ナリヤラン属の一種か、ナリヤランそのものArundina sp.。マレーにて。

日本の希少種、世界の雑草。東南アジア諸国では少し標高を稼げば、道路脇の草むらにうっとうしいほど生えている。でも、やはり花は美しい。

この花は、これだけ豪勢な装いをしておきながら蜜がまったくないらしい。大形のハチなどが、見た目の派手さにだまされてこの花にやってくる。そして中を覗くが何もないので、ハチは捨てぜりふを吐きながらどこかへ飛び去る。だが、その頃にはハチはしっかりと花粉を背中に付けられている。時間が経てばハチはこの花に蜜がないことを忘れ、別の場所でこの花を見つけたらうっかり訪れてしまい、結果として背中の花粉を渡すことになる。
一切の報酬を虫に与えず、ただ働きさせる魔性の花。ランの仲間には、こういう意地汚い手口を持つものがとても多い。

熊曾

くまそクロマダラソテツシジミChilades pandava。マレーにて。

東南アジアに広く分布する。日本にはもともと分布しなかったが、何年か前に迷蝶として南西諸島に飛来した。その当時は大層珍しがられたようだが、その後定着して数が増えてしまい、今では本土ですら局所的に住み着いている状態である。時に大発生し、植栽されたソテツを大規模に食い荒らしてしまうため、場合によっては駆除されるらしい。

日本では夕方テレビをつけると、どこの民放の局も「ニュース」と称して同じような内容のワイドショーを流している。この時間のワイドショーには、よく「大自然の異変!」「生き物、謎の異常発生!」のような特集が組まれる。この時間にそういうネタを流すと、視聴率が取れるのだろう。
数年前の夕方、ある局のワイドショーで「南国の蝶が異常発生!」と題した特集が組まれた。近畿のとある市街地の植え込みにクロマダラソテツシジミが大発生しているということで、リポーターがその街へ突撃取材しに行っていた。現場についたリポーターの目の前には、多くの白い小さな蝶がたくさんとまっていた。リポーターは「皆さん、ご覧下さい!南国のチョウがこんなに沢山います!何が起きているのでしょうか!?」と、まるで鬼の首でもとったように得意になってカメラマンに蝶を撮影するよう指示していた。

そうやって次々にその場にいる蝶を映し出していくのだが、その植え込みには偶然、在来のヤマトシジミも多く発生していたらしい。わざわざ画面下に「南国の蝶・クロマダラソテツシジミ」と字幕まで出しながら、映す蝶映す蝶みんなヤマトシジミだったのには噴飯物だった。7匹目くらいにようやく本物のクロマダラソテツシジミが映った。その一連の様があまりにも面白かったので、この特集はビデオにとって大切に保管している。つらい時に見ると笑える。

196.jpgマドボタル一種Pyrocoelia sp.。あまりきちんと光らない種類が多いホタルの仲間。夕日が差す葉っぱの裏で休んでいた。東南アジア某所にて。

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マレークシヒゲカマキリ。灯火に飛来したオス。見た目に反して、飛ぶのはかなりうまい。ボルネオにて。

火の用心

212.jpgスギタニルリシジミCelastrina sugitanii。春先だけ出現し、林道の地面で吸水する。この手の蝶は、理由は知らないが山でたき火をした燃え跡に集まる習性がある。

長野にて。

213.jpgハシリバエ一種Tachydromiinae sp.。日当たり悪い樹幹や壁面におり、素早く走り回って他の虫を捕らえるハンター。とても種類が多いらしい。遠目にはアリに見えるが、特にアリと関係ある生態を持つわけでない。翅はあるのに頑なに飛びたがらず、敵にしつこく粘着されたときに限り、いやいや飛ぶ。長野にて。

211.jpgカドフシアリMyrmecina nipponica。地中性の強いアリで、ササラダニ類を専門に食う。東南アジアには、巣内でササラダニを養殖する種さえいるという。和歌山にて。

210.jpgルリアリOchetellus glaber。西日本では普通種で、行列を組んで採餌に出る。巣を荒らすとココナッツミルクのようないい香りを出す。腹部は青みがかった虹色の光沢を放つため美しい。
カタアリ亜科の例に漏れず、本種はコロニーサイズが大きい割に巣内共生者が付かない。カタアリ亜科のアリは体内に蟻酸でなくフェノール類を持ち、これを多くの好蟻性生物が嫌がるようである。ココナッツミルクの香りも、おそらくこのフェノール系の毒によるものだろう。

和歌山にて。

209.jpgトビMilvus migrans。かっちょいい。長野にて。

180.jpgクサアリ一種Dendrolasius sp.。暖地の市街地で見た。大抵そういう所にいるのはクサアリモドキL. spathepusのことが多いが、それにしては顔の表面にうっすらビロード状の毛が覆っていて、クロクサアリL. fuji-groupと判別しがたかった。ほとんどこの仲間は感覚で区別している。

神奈川にて。

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サカハチトガリバKurama mirabilis。枝にとまるミミズクのよう。長野にて。

149.jpgトゲアリ一種Polyrhachis sp.。大型で重厚な種で、樹上で見かける。うかつに指でつまむと、指に刺さるほど鋭く硬いトゲが奴の自慢。勇ましいことに変わりはないが、それでも俺はこれより日本のトゲアリのほうがかっこいいと思う。

東南アジア某所にて。

名状し難い

147.jpg峰深きカタツムリとナメクジの狭間にたゆたう何か。東南アジア某所にて。

146.jpgクモゾウムシ一種Conoderinae sp.。倒木上を素早く走る。マレーにて。