2013/07/31|Category:脊椎動物
2013/07/30|Category:双

ボーフラは、広さと深さがそこそこある大きな池で育つ。細長く透明な体を横たえて、水中の中層をゆっくり漂って過ごしている。そして、近寄ってくるミジンコなどを、目にも止まらぬ早さで捕食する。
この蚊のボーフラは、個体発生や天敵が引き起こす被食者の防衛形質誘導など、いろんな生物学的実験に利用されている。こういう研究分野においては、この蚊はフサカという名前で馴染まれているが、分類学的にはケヨソイカの名が通用しているように思える。
長野にて。
参考文献
宮城一郎(1974)本邦産の吸血性ケヨソイカ(Chaoboridae)の1種Corethrella sp.について。熱帯医学 Tropical medicine 16:89-93.
かの山
2013/07/29|Category:脊椎動物
2013/07/28|Category:双

珍しい鳥類寄生バエの一種で、小鳥の巣から発生する。メスは巣やその周辺に産卵し、孵ったウジはひな鳥の体表に齧り付いて吸血する。まるまると飽血した終令幼虫はひな鳥から離れ、巣材の底で蛹になる。成虫のハエが羽化して巣からはい出すのは、ひな鳥が全員巣立ったころと思われる。
中でもヤドリトリキンバエT. braueriという種は、ウジがひな鳥の皮膚下に潜り込んで吸血するというおぞましい生態を持つ。しかし、ひな鳥にとってこれら蝿の寄生は、思いの外生命に別状ないらしい。むしろないように手加減しないと、ひな鳥に死なれてハエ自身が困るだろう。
Protocalliphoraで画像検索すると、ウジが鳥のひなに寄生している様子が確認できる。苦手な人は見ない方が良い。

狭くて暗い所に入り込もうとする性質がやたら強い。そうかと思えば、突然這いだして飛んで逃げたりするため、動きが読めず撮影が難しい。立ち振る舞いが他の一般的なクロバエ類とはかなり異なり、見ていて不気味だった。これら異質な印象は、先人たる昔のハエ学者も感じていたらしい(内川 1966)。

鳥キンバエ類は日本に3-4種いて、おそらく生息地では珍しくはない。だが、鳥の巣に縛られた生活をしているうえに腐れものに集まりたがらないようで、普通の蝿をおびき寄せる方法では得難い。結果として、すべての種が採集記録の少ない珍種として扱われている。生きた姿が撮影されるのは、きわめて異例だと思う。
参考文献:
篠永哲, 嶌洪(2001)ハエ学―多様な生活と謎を探る。東海大学出版会、369pp.
内川公人 (1966) トリキンバエの宿主鳥類の記録。衛生動物 17, 168
2013/07/27|Category:海外・東南アジア
2013/07/26|Category:海外・東南アジア
2013/07/25|Category:海外・東南アジア
2013/07/24|Category:海外・東南アジア
2013/07/23|Category:海外・東南アジア
2013/07/22|Category:海外・東南アジア
2013/07/21|Category:海外・東南アジア


昔の外国の昆虫図鑑(最近でも、テレビの不思議な動物を紹介する番組など)を見ると、ハナカマキリはランの花の上に止まっている姿で登場すると相場が決まっている。しかし、最近いろんな人が野外でハナカマキリを見つけているが、彼ら曰くハナカマキリは自然状態では花の上で見つからないらしい。ただの緑の葉の上にいるだけだそうだ。
考えれば、彼らは見た目がすでに花なのでわざわざ花の茂みに紛れる必要はなく、自身が一輪の花として座して待てば獲物が勝手に寄ってくるのである。
タイにて。
2013/07/20|Category:未分類
2013/07/19|Category:海外・東南アジア
2013/07/18|Category:海外・東南アジア
2013/07/17|Category:海外・東南アジア
2013/07/16|Category:海外・東南アジア
2013/07/14|Category:双

今年の7月上旬に初めて国内で生息を確認したばかりの、まったくの未知の種。見つけたのは裏山。少なくとも、従来国内で知られていたケアリ属寄生のナマクビノミバエPseudacteon sp.とは完全に別種。国内の他の好蟻性ノミバエ類と比べても、似たものに見覚えがない。種どころか属レベルで、国内初記録の可能性が高いもの。

裏山でたった今見つけた未知なる生き物の写真を、瞬時にして全世界に発信できるブログというのは、本当にすごいツールだと思います。それ故、だからこそその扱いには十分すぎるほどの慎重さが求められるのだと痛感しております。
考えれば、大した理由もなく唐突にこの日記を付け始めたのが2年とちょっと前。当初は適当なところでさっさと閉じるつもりでしたが、知らず知らずのうちに瞬く間にいろんな人々に知られるようになり、「これはすごい、面白い」と、名前も知らない会ったこともない多くの人々から、個人的に感想を頂くようになりました。それが次第に面白くなり、やがてこの日記を付けることが自分にとっても日々のささやかな楽しみの一つになりました。
この日記への一日のアクセス数を見ると、だいたい平均して150件前後と、決して余所様のブログと比べて多いわけではありませんが、その中には本当にいろんな身分・職業の方々がおられるようです。授業の教材として写真を使ってくださっている小学校の先生、ご家族の介護の合間の楽しみとして見ておられる人、はてはまったく別分野の研究をなさっている、まったく面識のない大学教授の方までご覧になられていると、つい最近になって知りました。そんな風に、私の活躍を陰ながらも応援してくださっていた方のうちの一人を辱めてしまった、自分の言葉の軽さをいくら呪っても足りない思いです。
その性質上、様々な理由でこの日記を好かない人々は一定の割合以上でかならず存在すると思います。しかし、それと恐らく同じくらいの割合で、この日記を面白い、ためになったと言ってくださる人々がいるのも事実です。大学で学位を取得した直後に、私の尊敬するとある研究者が、
「これからは人からものを教わるんではない、お前が人にものを教えるのだ。それが研究者の、本当の仕事だ」
と言っていたのを今更のように思い出しました。厚かましいものの考え方かもしれませんが、もしこの日記を続けることにより、いろんな人々が「ためになった」と思ってくださるなら、かの人の言う「研究者の本当の仕事」というものを遂行できているのならば、もう少しこの場所に居続けることに意義はあるのかもしれないと思っています。
しかし、あれほどの事をしでかしながら何食わぬ顔でこの日記を続けたのでは、ご迷惑をお掛けした人々に対して申し訳が立ちません。そこで考えた結果、さしあたり「上の正体不明のノミバエの正体が判明するまで」は、現状を維持しようという結論に達しました。
国民の支援あって生きさせて貰っている立場上、研究者には未知なる新知見を一般に周知させる形で、国民に還元する責務があります。あの未確認生物の正体を暴き、その結果をいずれこの場にて公表し、その時に改めてこの日記が皆様にとって本当に役に立つ場だったのか、本当に残しておくほどの価値があるものなのか、真意を問いたいと思います。
私は頭でっかちなだけで、人間としてはまったくの未熟者です。もしも私が再び暴れ始めたときには、ぜひぶん殴ってでも引き止め、叱り飛ばしていただきたく存じます。ここに訪れる全ての人々が、畸人たる私の育ての親です。何卒、よろしくお願い致します。
2013/07/07|Category:未分類
2013/07/06|Category:甲
2013/07/05|Category:半
2013/07/04|Category:膜
2013/07/03|Category:半
2013/07/02|Category:甲
2013/07/01|Category:蜻蛉