680.jpgクローバービラハダニBryobia praetiosa。寒い時期に多く、石の下に見られる。

長野にて。

一本、論文を通した。日本の里山に分布するただの蛾の一種フタホシキコケガNudina artaxidiaが、実は好蟻性であることを突き止めた。オープンアクセスジャーナルなので、誰でも見られる。

Komatsu T, Itino T (2014)Moth caterpillar solicits for homopteran honeydew. Scientific Reports 4: Article number: 3922 doi:10.1038/srep03922

702.jpgフタホシキコケガは日本全国に広く分布する小型ヒトリガの一種だが、どこでもあまり多く得られず、生態がよく分かっていなかった。ところが、俺は10年ちょっと前から近所の裏山で、沢山生息しているクサアリ亜属の巣周辺に奇妙な毛虫が常にいるのがずっと気になっていて、それがこの蛾の幼虫であることが昨年ようやく分かったのだ。

698.jpg毛虫は黄色と黒と青の毒々しい顕著な色彩で、他と見間違えるべくもない。俺は、クサアリの息がかかった場所以外のいかなる環境下においても、これに似た毛虫を見たことがなかった。しかも、毛虫はただアリの巣の周辺にいるだけではなく、地面や樹幹に伸びるクサアリの行列のど真ん中を歩く。アリの道しるべを明確に辿る能力があるのだ。なのに、周りのアリからは一切攻撃されない。


699.jpg行列に立ち入り、なぶり殺される普通のヤガ類幼虫。

普通クサアリは、鱗翅目の幼虫が行列を横切ろうものなら、すぐさま集団で襲いかかって食い殺してしまう。それが、この毛虫に対しては攻撃どころか、存在自体が認識できていないらしい。この毛虫は、能動的にクサアリの攻撃をかわし、クサアリに寄り添おうとする。何らかの方法で、アリの巣仲間認識システムをかいくぐっているらしい。

なお、クサアリ亜属のアリは通常のアリ類が持たない特殊な揮発性の化学物質を持つ。これは大概の小動物にとって猛毒で、普通の昆虫を沢山のクサアリと一緒に狭い容器に閉じこめておくと、アリに直接攻撃されなくても弱ってしまう。他のアリなら食うカエルなども、クサアリだけは食いたがらないことが実験的にも確かめられている(Taniguchi et al. 2005)。だから、クサアリと関係を持つ好蟻性昆虫は、この毒にやられないよう多少とも耐性を持っていると考えられる。
件の毛虫も、この毒アリの群れのなかにいて全く弱ったり逃げ出すそぶりはなく、むしろ自発的に行列をピッタリ辿って歩く。生理的に、クサアリとの同居に適応しているとしか考えられない。

さらに驚くべきは、この毛虫がクサアリと同居している理由だ。昼間観察している限り、この毛虫はあてどなくアリの行列を辿るばかりで、一体何が目的でそんな場所にいるのか皆目検討が付かなかった。そこで、昼間何もしていないなら夜に絶対何かするに違いないと思い、ここ数年間ばかりアフター5は毎晩裏山に通って、ひそかにこの毛虫の行動を観察し続けていた。その結果、とんでもない事実が分かった。
クサアリは、樹幹に取り付いたアブラムシやカイガラムシのいる場所へと行列を伸ばして通い、それらから甘露を貰っている。彼らにとって甘露は主食に近い重要な餌資源なのだが、実はあの毛虫は夜間、クサアリの行列を辿って樹幹のカイガラムシがいる場所まで行く。そして群がるアリを押しのけ、アリが見ている目の前でカイガラムシから甘露を盗み取っていたのだ。

700.jpg701.jpg毛虫はカイガラムシのいる場所まで行くと、奇妙なことを始める。ヘビが鎌首をもたげるように頭を振り上げ、口先でカイガラムシの肛門を叩いて刺激する。そして甘露を催促し、出されるやすぐにそれを吸い取ってしまう。その間、周りにはカイガラムシを守るアリが群がっているのだが、毛虫をなぜか追い払えずただ毛虫のやることを見つめているだけ。
鱗翅目昆虫において、これまでアリが保護する半翅目昆虫のところへ割り込み、このような催促行動をして甘露を盗む行動は、シジミチョウ科の一部でしか知られていない。それと全く同じ行動がシジミチョウ科とは系統的に無縁な蛾、しかも世界的に好蟻性の種がほぼ存在しないヒトリガ科内で、独立に進化していたというのは興味深い。なお、本種は甘露だけでなく、アリの行列脇の苔むした樹皮も囓る。
そもそも、好蟻性の蛾というもの自体、世界的にもそんなに多く確認されているわけではない。これまで知られているアリと関わる蛾の大半は、アリの巣周辺や巣部屋の隅でゴミやアリ幼虫をこそこそ食うような小型種であった。ヒロズコガ類のように、自作のミノに胴体部を隠してアリとの直接接触を避けるものも多い。そんな中、毛で覆われているとはいえ胴体を直にさらし、アリの群れの中を練り歩くタイプの蛾は、好蟻性蛾類としては顕著な部類に入る。

なぜ、本種がカイガラムシの甘露を摂取するのかは、現時点でははっきりしない。ただ、ほんの数匹だが、一度この毛虫の若齢個体を採ってきて室内で苔むした樹皮だけ与えて育てたことがある。その結果、全部の個体が途中で死んだ。樹皮を与えると喜んでモリモリ食うのに、食ったそばから日に日にやせこけていったのだ。半翅目昆虫の甘露にはアミノ酸などが含まれるので、苔むした樹皮では足りない窒素分を補う意味があるのかも知れない。
この毛虫は、アリそのものとは特に親密なやりとりをしない。餌を口移しで施して貰ったりはしない。この毛虫がアリから受ける恩恵は、捕食寄生者の攻撃から守られることと、カイガラムシのいる場所まで導いて貰うことだろう。何しろ樹幹のアリの行列は、必ずカイガラムシの所へつながっているのだから、自力で樹幹をさまよってカイガラムシを探すよりずっと効率が良い。

ネット上でフタホシキコケガのことを調べると、あちこちのサイトで「幼虫は地衣類を食う」と書いてある。だから、論文にそれを引用したくてソースを辿ろうとしたのだが、いかなる信頼の置ける文献にも本種が地衣類を食うなどという記述を発見できなかった。それどころか、一番最近出た日本産蛾類の大図鑑には、本種の食餌は「不明」とはっきり書いてある(Kishida 2011)。
本種を含むヒトリガ科コケガ亜科は、全体的に地衣類食のグループとして知られている。なので、「恐らく本種も同じだろう」と思いこんだ誰かが最初に地衣食だとネット上に書いたのを、他の人間がこぞって孫引きした結果だと思う。ネットの情報を考えなしに鵜呑みにはできないと、改めて思った。
実際の所、フタホシキコケガは苔むした樹皮を囓るので、間違いなく地衣類も食いはしている。しかし、それに加えてカイガラムシの出す甘露(しかも毒アリの護衛付き)までたしなむとは、お釈迦様でも気が付くまい。

正直な話、内容としてはただ「裏山で毛虫が油虫のケツを舐めてるのを見た」の一言に過ぎないが、その見たことを筋道立てて文章に起こせれば、天下のネイチャー傘下の学術誌にも立派に載る論文となることを、あの取るに足らない小さな蛾は教えてくれた。

ここでは落書きした写真しか出さなかったが、遠い未来に「アリの巣・・」図鑑の改訂版が出せることになったら、そっちには綺麗な写真を載せたい。

引用文献:
Taniguchi K, Maruyama M, Ichikawa T, Ito T (2005) A case of Batesian mimicry between a myrmecophilous staphylinid beetle, Pella comes, and its host ant, Lasius (Dendrolasius) spathepus: an experiment using the Japanese treefrog, Hyla japonica as a real predator. Insectes Sociaux 52: 320-322.
Kishida, Y. [Arctiidae] The Standard of Moths in Japan II [Kishida, Y. et al. (eds.)] [148–167] (Gakken, 2011).

687.jpgハクセキレイMotacilla alba。晴天時に撮ってしまったが、こういう白い鳥は日が陰った時に撮影しないと、特有の柔らかい雰囲気が出ない。

長野にて。

656.jpg片足がないウミネコ。静岡にて。

十中八九、捨てられた釣り糸が足にからみついて食い込み、壊死してちぎれた結果。昔からこの港湾では、片足がなかったり釣り糸が体にからんだりした鳥をしょっちゅう見る。それはこの港湾地域が全国的に有名な釣りポイントらしいこと、休日ともなれば県外を含め各地から釣り宇宙人どもが入れ替わり立ち替わり侵攻しに来ることと、無関係ではないと思う。
防波堤を歩けば、そこら中に釣り糸が引っかかったまま放置されている。針が付いたままのものも珍しくない。



世間では虫採りが「かわいそう」「残酷」「自然破壊」などと言って叩かれることが多い一方、どういうわけか釣りは(少なくとも虫採りに対して向けられる、変質者を糾弾するような悪意を持っては)叩かれることが非常に少ない。それが幼い頃から本当にくやしくて腹立たしくて、道楽としての釣りも、それを嬉々としてたしなむ人種も逆恨みしている。「自然界からお裾分けを頂く」点では何も変わらず、対象がムシかサカナかの違いだけなのに、かたやアウトドアの健全スポーツ、かたや変態の趣味。世間でのこの扱いの差はどういう理屈なのかまるで理解できない。
釣りにしたって、釣り糸などゴミの問題、乱獲の問題、はては本来その水域にいない種苗の放流にともなう遺伝子汚染の問題、外来魚密放流の問題など、解決せねばならない問題は山のようにある。たしなむ人口の多さを考えれば、釣りという道楽がこれまで地球の自然環境に与えてきた負荷の大きさたるや、虫採りなどの比ではないはずだ。それとも釣りはすでに産業として成立していて、経済を回すのに貢献しているからみんな叩かないのだろうか。

川釣り解禁シーズンになると、よくニュースのインタビューで「こんなに釣っちゃいましたよー」などと言って、死にかけのアユヤマメが10も20もひしめくビクの中身を嬉々として見せる、「釣りキチ三平」の魚紳さんみたいのがテレビに出てくる。食べるのが目的なら、アユヤマメなんて2,3匹も釣ったら十分だろうに。釣り番組にチャンネルを変えれば、釣りあげた半死半生の魚を何匹も防波堤に並べてご満悦の釣り師が出てくる。あれと全く同じ事を試しに蝶でやったらどうなるだろう。捕まえて殺したての蝶の入った三角紙を机に並べての、満面の笑みをテレビに流したらどうなるだろう。たとえ普通種でやったとて非難と批判の投書爆弾は免れまい。

人間、とくに日本人は魚を捕まえること、それも乱獲することに関しては病的に感覚が麻痺している。魚相手なら何やっても許されると思っている。いればいただけ全部採っていいし、いくら採ってもいなくならないように思っている。その感覚の麻痺が究極的に昨今のウナギしかりマグロしかり、魚類の商業的乱獲を是認してきたような世論にもつながっているのではないだろうか。
去年ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されたニュースが出たとき、業界はこれまでの野放図な乱獲を反省するどころか、ウナギが絶滅危惧種に指定されると今後採りづらくなる、売買しにくくなるなどと反発したという話があって、唖然とした。絶滅しそうだと散々言われてるのに、今更ウナギを使って地域興ししようとする時代錯誤な自治体は雨後の竹の子状態。しかも日本のウナギだけでは足りないから、よその国のウナギまで乱獲しにいこうなどという話にまでなっている。正気の沙汰ではない。



足がちぎれた鳥とは全然関係ない話になってしまった。

ただでさえ人相の悪いウミネコが、全ての人間への恨みと怒りと憎しみを込めてこちらを睨み付けているように見えてきて、いたたまれず席を外した。
奴はこれから死ぬまで何年も片足で生きねばならない。いや、片足だけで何年も生きられまい。つらいだろう。痛かったろう。

616.jpg
ゴイサギNycticorax nycticoraxの若鳥。いわゆる「星ゴイ」。

本当に、ラプトルにそっくり。ラプトルは滅びたのではなく、ゴイサギに姿を変えただけだと思う。


静岡にて。

610.jpgハジロカイツブリPodiceps nigricollis。冬に日本各地の海に出現する首長竜の一種で、魚類を捕食する。

この港湾地域には毎年飛来するようだが、基本的にいつも沖にいるため岸から姿を見ることが出来ない。しかし、この年末は爆弾低気圧で海が荒れに荒れたせいで、波の穏やかな湾内に避難しに来ており、簡単に見られた。
血走った真っ赤な目がトレードマークで、夏はすごい髪飾りを付けているらしい。しかし、夏は日本近海から大部分が撤収してしまうので、日本ではその姿を拝みがたい。

611.jpg雌雄のペアらしく、2羽一緒にいた。意外と人間を恐れなかった。

613.jpg片方のやつは、海洋汚染で毒に当たったのか、嘴がグシャグシャになっていた。顔のあちこちに腫瘍ができ、羽毛も部分的に禿げていて元気がなく、ほとんど顔を背中に突っ込んで動かずに過ごしていた。

614.jpgもう片方のやつはお構いなしに潜水を繰り返し、小型魚類を捕食していた。でも、水面に出ている間は常に相方を気にして、そばに寄り添ってやっていた。

615.jpg帰るときに手を振ったら、自慢の朴葉の足でバイバイしてくれた。フォースと共にあらんことを。

静岡にて。

海に住むハエときて、数年前に別な場所で変わり種を撮影していたのを思い出した。当時使っていた低画素オモチャデジカメの、ガチャガチャな画質ではあるが、ほとんど生態写真がネット上に存在しないものなので、出しておくことは一定の意義があると思う。

674.jpg東北地方のどこかで見つけたフジツボベッコウバエ。北海道で見つかっている種類Oedoparena minorと同種であろう。北方の岩礁地帯に住むこのハエの仲間は、驚くべき事にフジツボの寄生蝿として知られている。
春先に成虫が羽化し、フジツボに産卵するらしい。孵ったウジはフジツボの中身を食い尽くし、フジツボの死殻内で一度休眠後覚醒して蛹化するようである。潮間帯のフジツボに寄生するから、満潮時には海底に水没することになるが、ハエの幼虫は特に問題にしない。

673.jpgフジツボベッコウバエは、日本でははじめ北海道から発見され、記載された(Suwa 1981)。その後日本のどこでどれだけ本種が見つかっているのかは、記録を知らないので分からない。しかし、おそらく東北北部の海岸線には、全域に広く分布しているはずだし、すでにどこかに記録はされているだろう。何せ、ハエの専門家でも何でもない奴が、戯れにぺぇっと海に行ったついでにこうして見つけられる程度のものである。産地では、馬に食わすほどの数が波打ち際の岩に群がっていた。

東北もひさかた訪れていない。いずれまたあのハエを撮り直しに行きたい。あわよくばフジツボの中の幼虫が見たい。


参考文献:
Suwa (1981)DESCRIPTION OF A NEW JAPANESE SPECIES OF OEDOPARENA, AN ASIO-AMERICAN DIPTEROUS
GENUS (DRYOMYZIDAE). Insecta matsumurana. Series entomology. New series, 22: 29-35

630.jpgハクセキレイMotacilla alba。防波堤の網乾し場に常時うろちょろしてて、ハエをつまんでいた。網乾し場は真冬でも多量のハエが湧くので、鳥どもにとっては場所そのものが自動餌やり機みたいなものである。ここにいれば、飢えることは絶対にない。

631.jpgセグロセキレイM. grandisもきた。セグロはハクに比べて人間を快く思っていないので、こちらが席を外さない限りは網乾し場に寄りつこうとしない。

655.jpgその網乾し場から、海面にセグロカモメLarus argentatusが浮いているのが見えた。巨大で、間近で見ると人相の悪さはウミネコ以上。


静岡にて。

650.jpg港湾の防波堤には、随所に漁網を干す場所がある。

646.jpg網の目にかかった大きなゴミは漁師の手で取り除かれるが、こびりついた細かいゴミはそのまま放置される。網の繊維には、海藻や甲殻類のワレカラがびっちりたかっており、それらはやがてこびりついたまま腐る。そのため、こういうゴミを目当てに、網乾し場の周辺には年中たくさんのハエが集まる。

647.jpg一番多いのがハマベバエFucomyia sp.。海浜性のハエで、打ち上げられて腐った海藻などから発生する。多くの個体が、網の目の間を走り回っている。近寄ると、砂嵐のように一斉に飛び立つ。
どういう理屈かトルエンなど有機溶媒に惹かれる習性があり、下手に海っぱたで船に塗装したりすると大変らしい。

648.jpg平べったい体型は、鳥に寄生するシラミバエ類を思わせる。

地球上で最も成功した生物たる昆虫も、海まで進出できたものはごくわずかしかいない。
わざわざ海くんだりまで来て釣りも泳ぎもせず、変人のそしりを受けつつ地べたに這い蹲ってアリだのカだのハエだの見て、何が楽しいのかと思われるかもしれない。でも、山暮らしの虫マニアにとっては、「海に昆虫がいる」という事実それ自体が、すでに面白くて仕方がないのである。

633.jpgウミユスリカ一種Clunio sp.。海中に住める、数少ない昆虫の一つ。体長2mm前後。

幼虫期は海岸の潮間帯に生えた海藻の間で過ごしており、大潮の日の干潮時になると一斉に成虫が羽化する。オスは普通の羽虫だが、メスは成虫でも翅がなく、申し訳程度の短い脚が付いたウジ虫そのものの姿。メスは自力で蛹殻から脱出できず、オスに引っ張り出してもらう必要がある。比喩表現でも何でもなく、文字通りこの虫のメスは、脱がされて大人の女になる。

632.jpgこの港湾には物凄い数のウミユスリカが住むが、潮回りがよくない日だったので、フライングして羽化したオスを少し見ただけだった。大潮の日に、潮の引いた岩盤の上を白い羽虫がわんさか駆け回るさまは壮観なのだが、道行く人間どもはそんなもの誰も気に留める訳がない。

678.jpg数年前の大潮の時に見た交尾。文献では、オスは波打ち際の水面を滑走し、水底から浮いてくるメスの蛹を捕まえて脱がすと書いてある。しかしこの港湾では例外なく、オスは潮の引いた陸地を這い回り、海藻の間に隠れているメスの蛹を探り当てて中身だけを引っ張り出す。


海苔で覆われた船着き場で、岩にへばりついてユスリカを見ている背後を、多くの釣り宇宙人のつがいや親子が行き交う。
「ねーねーあのシトなにやってんの?」「見ちゃ行けません!」というお約束の文言を、本当に久しぶりに、直に耳元で聞いた。

静岡にて。

617.jpgハシボソガラスCorvus corone。漁船に勝手に乗り込んで海賊遊びしていた。

618.jpg碇を降ろせ!

619.jpg釣れますか?さっぱりだね。

静岡にて。

シーキティーちゃん

654.jpgウミネコLarus crassirostris。静岡にて。

大形カモメ類は、総じて目つきが凶悪。性格も相応に凶悪。

653.jpg「アッーーー!」と言って、どこかに行った。


静岡にて。

644.jpgハダカアリCardiocondyla kagutsuchi。海沿いの温暖な地域に見られる小型のアリで、陶器のような独特の肌の質感がある。より西日本へ行くほど、内陸でも見られるようになると思う。

649.jpgよんどころない都合があって定期的に足を運ぶこの港湾の防波堤は、そこかしこのひび割れにハダカアリが巣くっている。真冬であっても、日差しがあれば問題なく活動している。

643.jpg小さく、素早く、まっすぐ歩かず、行列を組まないため、動いている個体の撮影は至難。場所を選ばないと、たとえ2時間粘ってもまともに1枚も写らない。

645.jpgクソ寒いのに、幼虫を外へ引っ張り出して引っ越ししている個体がいた。寒いからこそ、より暖かい場所に幼虫を移そうというのだろうか。

防波堤には何もないので、本来なら釣り目的以外で立ち入る人間はいない。多くの釣り宇宙人の視線を背後に受けつつ、防波堤で一人土下座して額をつき、高速で駆け回る2mmの点を見つめる。

静岡にて。

烏賊之嘴

628.jpg
629.jpg
627.jpg
静岡にて。

651.jpg日本一の山。富士山は静岡側、特に伊豆方面から見た姿が一番いいと思っている。

たまたま正面に富士山が見える位置にいたので、何の気なしに望遠レンズで撮ってみたのだが、あとで確認してびっくりした。山肌一面に、肉眼では確認できなかった沢山の道路が、まるで爪で引っかき回されたようにジグザグについて見えた。雪が中途半端に積もった状態だと、これがことさらにくっきりと見えるのだった。冬の富士は真っ白で純粋無垢なイメージを持っていたので、このひっかき傷だらけの姿を見て、大いに萎えた。

富士山が世界遺産になったのは喜ばしいことだが、これ以上作らなくていい道路を作ったり、切らなくていい森を切らないようにしてほしい。


静岡にて。

659.jpg寒風吹きすさぶ冬の街路樹で力尽きようとしていたアシナガコマチグモCheiracanthium eutittha。強い毒を持ち、噛まれると腫れる。

成体で越冬できず、餌になるものもいないので、あとは死ぬだけ。せめて暖かい場所まで移してやろうと手を差し伸べたが、奴は最後の力を振り絞るように腕を振り上げ、キバを開いて激しく怒った。
昔「ガンバの冒険」で、大怪我をしたネズミが、それにも関わらずそれを助けてやろうとした人間を頑なに拒絶し続けたのを思い出した。最期の刻まで何物にも頼らず、孤高を貫かんとする奴の尊厳に敬意を表して、何もせずそのままにして去ることにした。

静岡にて。

626.jpgビロウドマイマイ一種Nipponochloritis sp.。殻全体が産毛に覆われた、やさしい質感のカタツムリ。石を裏返してアリの巣を探していたら、たまたま稚貝が冬眠しているのを見つけた。

ビロウドマイマイの仲間は日本各地に何種類もいるが、どれも数が少ないらしく、どこの都道府県版レッドリストにもたいてい1種か2種は載っている。
石を裏返す仕事をしていると、あっちこっちでしばしば見るが、まとまって発見されることはない。ここなら確実にいるという場所もない。

これを見つけた山は石灰岩質のためか、地味にいろんな種類の陸貝がいる。目下目標は、数年前に死殻を見つけて以来確認できていないサドヤマトガイを見つけ出すこと。



静岡にて。

661.jpgアメイロアリNylanderia flavipes。静岡にて。

日本中、ちょっと湿気た森であれば絶対にいる、超弩級の普通種。生息密度は極めて濃い。しばしば優占種となる様相を呈する。
それなのに、信じがたいまでに好蟻性生物が共生しない。実に使えないアリである。この10年近くというもの、全国で数百以上のコレの巣を暴いたが、ハガヤスデとトビムシ以外のものが出た試しがない。南方の島嶼域に住む近縁の別種の巣には、特異的に寄生するアリヅカムシがいるのだが。攻撃性が著しく高い訳でもなく、遭遇頻度の高さ、コロニー規模の大きさからみても寄主として利用するには不足ないアリ種なのに、ここまで好蟻性生物相が不毛なアリも珍しいと思う。

日本ではこのほかアミメアリも、その凡種程度やコロニー規模のバカでかさの割に居候がまったく採れない。アリヅカコオロギが、周囲に適切な寄主アリ種がいない時に限り、一時的に仕方なく利用する程度である。超巨大なコロニーを形成する沖縄のアシジロヒラフシアリの巣にも、不気味なほど何もいない。
コロニー規模さえ巨大なら、どんなアリ種でも居候に取り付かれやすい訳ではないことが、よく分かる。

帰ってから写真をよく見たら、アリの足下にカマアシムシが亡霊の如く写り込んでいるのに気付いた。原尾目は、今まできちんと生きた姿を見たことがない昆虫(ではないが・・)の目だったので、現地でちゃんと見られなかったのが非常に悔しい。好蟻性カマアシムシは知られていないし、少なくとも日本にはいないと思う。

620.jpgイガウロコアリPyramica benten。静岡にて。

見慣れない雰囲気のアリで、照葉樹林帯の土中に生息する。動きはとてもゆっくりしている。

640.jpg目が頭の下側に付いているため、真上から見ると顔がない不気味な生物に見える。

639.jpgこの仲間は見た目に寄らず肉食の優秀なハンターで、種類によりトビムシやナガコムシなど、決まった土壌動物しか襲わない。獲物を追い回すタイプではなく、アゴを開いて待ち伏せする。知らずに獲物が頭を踏んづけた時、高速で噛みついて毒バリで刺し殺すらしい。

本種を含むアゴウロコアリ属は日本に20種弱いるが、どれも数が少なく珍しいものばかりだ。その中で本種はそれでも比較的遭遇頻度が高い種である。暖地の森で半日ばかり石を裏返して回れば、1コロニーくらいは見つけられる。

静岡にて。

623.jpgマルトビムシの仲間。全身赤い奴。

625.jpg黄色い地に黒のストライプが入った奴。

624.jpg全身に呪詛をまとった、耳なし芳一タイプの奴。

静岡にて。

641.jpgフサヤスデ一種。

全身毛だらけの、ヤマアラシのような生物。天敵、とくにアリからの攻撃に対して有効な防御形態らしい。これは土壌中に住む種だが、樹幹の樹皮下に住む種もいる。樹幹に住む種は、しばしば樹上性アリ類の巣に入る。

642.jpg小さい真っ赤な目をしている。静岡にて。

637.jpgじめじめした森の石にくっついていた、冬虫夏草らしい菌に冒されたクモ。やられたのはコモリグモだろうか。

638.jpg胞子が詰まっているであろう、黄色いつぶつぶが実っていた。静岡にて。

652.jpgテナガハシリダニ一種Linopodes sp.。静岡にて。

ミクロのザトウムシのような生物で、森の倒木を裏返すとたくさんいる。足の動きはめまぐるしく高速だが、歩幅が小さいので遅々として前進しない。

ごく最近まで、これがウデナガダニというものだと思っていた。

634.jpgウデナガダニ一種Podocinum sp.。静岡にて。

前脚がクレーンのように長く、二股に分かれているカッコイイダニ。しかし、体長が1mm以下の超小型種なので、発見が難しい。撮影はもっと難しい。画像検索すると、恐ろしく高倍率かつ恐ろしく鮮明にこれを写しているサイトがいくつか見つかる。どんな技を駆使しているのか、とても気になる。

635.jpg長い左右の腕を、同時に右へ左へとゆっくり振り、しゃなりしゃなり歩く。肉食らしいが、どんな獲物をどうやって捕るのか見てみたい。

柄モン

636.jpgたぶんチョウセンアオイボトビムシMorulina triverrucosa。似た種が数種いて、区別するにはイボの配列や体毛の形状を見る。

静岡にて。

608.jpg洞窟とはまったく関係ない、ただの森の石下で見つけたマシラグモ一種。目がある、地中生活に極端には適応していない種。

脚はひょろ長いが、真の洞窟性種に比べれば素人目にも太短いのがわかる。湿潤な森の石や落ち葉、倒木の裏を探すと、マシラグモ類は簡単に見つかる。しかし、種類を調べるのは難しい。

609.jpg我々がその辺で見かける一般的なクモ類は、目が八つある。しかし、マシラグモ科は六つしかない。一番後方にある一対の目が、他とは微妙に距離を置いて付いているのが、この科の特徴。

マシラは猿の古い呼び方だが、猿との関連性はよく分からない。

静岡にて。

幻燐の姫蜘蛛

605.jpg洞窟性クモの一種、フジマシラグモFalcileptoneta caeca。世界でも富士山周辺から伊豆半島にかけての地下にしか住まない。

マシラグモ科Leptonetidaeも地中性の傾向が強いグループで、洞窟に住む種が多い。そして、各地で洞窟ごとに種分化する傾向が見られる。全身薄い褐色だが、ストロボを浴びせると脚から紫の燐光を返す。

606.jpg
そぎ落としたように、目がない。

607.jpg地面と岩の隙間に、帯状の網を張って獲物を待ちかまえる。ホラヒメグモ類に比べて、個体数ははるかに少ない。

602.jpgホラヒメグモ一種Nesticus sp.。洞窟に住むクモの仲間で、各地の洞窟ごとに種分化している。

富士山周辺一帯の地下には、過去の火山活動のなごりで大小無数の洞窟や洞穴が出来ている。それら地中空隙は、いろんな種類の地下性微少生物の住処になっている。そんな洞窟のうち、とある一つに入る機会が先日あった。

603.jpgこの洞穴には、ホラヒメグモはきわめて多かった。体に模様のあるやつとないやつがいたが、同種の色違いか別種かはわからない。富士山周辺にはフジホラヒメグモN. uenoiという固有種が広く分布することになっているが、この種の典型的な個体は体に模様がないばかりか目も退化しているらしい。この洞穴で見た限りの個体は、全部目があった。

604.jpg
岩と岩のごく狭い隙間に、不規則に糸を張り巡らして巣を構えていた。

597.jpg
静岡にて。