焦がせ、鎌エル
2014/08/31|Category:膜

この虫は、オスは全身黒で翅があるが、メスは全身黄色で無翅。前脚が巨大に発達しているのが特徴で、おそらくこれで自分より大きな体格である寄主にしがみついて攻撃するものと思われる。
記載文(Yasumatsu 1958)のイラストを見ると、もっとカマキリ風の雰囲気があるのだが、現物はそうでもなかった。


この国に常時一定の割合以上でこの精霊に関心を持ち、ネットで検索しているマニアが存在することの現れであろう。同じ現象が、近年誰も国内で見ていないはずの超マイナー生物「フサヒゲサシガメ」でも確認できる。「フサヒ」まで入力するとわかる。狙っている人間が、潜在的に相当いる。
それを考えると、もし今フサヒゲサシガメの現存している場所を見つけて公表しようものなら、たちまち全国からフサヒゲサシガメマニアがそこへ押し寄せ、一夜にして産地を荒らされ壊滅させられる危険性を否定できない。トラツリアブの前例もあるし、たとえマイナーでも顕著な特徴をもつ生物の産地情報公開は、相当神経質にならざるを得ない。たぶん本当に産地を見つけたなら、その所在は墓場まで持っていくと思う。論文化する際にも、明記はしないだろう。
今回、この精霊の産地の所在を伏せたのも、そういう理由による。
参考文献:
Yasumatsu K (1958) A NEW ADDITION TO THE GENERA OF THE SCLEROGIBBIDAE (Hymenoptera). 昆蟲 26(1), 20-24