鯖コーン

1706.jpgブラシザトウムシ一種Sabacon sp.。長野にて。

山間部の日陰になったガレ場で見つけた。顔を撮ろうと思ったのに、目を離した途端に高速で走り去ってしまった。この仲間は何の前触れもなく、初速からフルスピードで遁走するため、隙間の多い野外での観察はやっかい。
ブラシザトウムシの仲間は国内で10数種いるらしい。口元から生えたヒゲの先端が、まるで試験管洗いブラシよろしく毛がもさもさ生えているのが名の縁。広めの地下空隙に生息し、大きな石の堆積したガレ場や洞窟で発見される。長野では少し高い山で石起こしするとよく見るが、九州ではぜんぜん見ない。

九州のとある山奥の洞窟に、フセブラシザトウムシS. distinctumという精霊が住む。約50年前にたった一匹発見・記載されて以後、誰一人その消息を知らない絶滅危惧種(情報不足カテゴリ、2012年版)。今年に入って、そいつに会うために何度となくその山奥へ出かけているのだが・・・。
本種に関しては、たぶんこの分類群の専門家ですら知らない、最新版環境省レッドリストにも反映されていない、ある悲劇的事実を知ってしまい、打ちひしがれている。端的に言えば、この虫に出会うのは従来以上に難しくなってしまったということだ。

1707.jpgコマクサDicentra peregrina。長野にて。

ハイマツの生える高山帯の開けた砂礫地に生える、高山植物の花形。女王とすら形容される美しさで、つとに著名。しかし有名さの割に、国内におけるその生態学的研究は意外なほど進んでいない。生える場所が場所なので、物理的にも法的にも気安く出かけて調査出来ないのだ。

親植物からこぼれ落ちたコマクサのタネは、従来は風や水に運ばれて分散していくと考えられていた。しかし、ケマンソウ科植物は、タネにアリが好むエライオソームをつけ、アリにタネを運ばせる。コマクサのタネにもしっかりエライオソームがあるため、何らかのアリが分散の一助を担っているのは疑うべくもなかった。

一昨年、北アルプスのコマクサ群落が発達した砂礫地において、同所的に優占して生息する高山アリ、タカネクロヤマアリがコマクサのタネを運搬することが確認された。日本の高山植物で、現地に生息するアリによってタネが運ばれる様が観察された、初めての事例となった。
ただそれしきの発見だが、それしきの発見すら先例がなかったのだ。

Komatsu, T., Itino, T., & Ueda, S. (2015). First report of seed dispersal by ants in Dicentra peregrina (Papaveraceae), an alpine plant in the Japanese Alps. Entomological Science, 18(2), 271-273.

1723.jpgミスジシリアゲPanorpa trizonata。長野にて。

ものすごく少ない。生涯でこれがまだ3回目に見た個体。シコクミスジシリアゲP. globuliferaは、これよりさらに少ない。

1709.jpgモンキハネカクシ一種Ocypus sp.。長野にて。

ハイマツ帯の石下にいた大型種。おそらく飛べない。

ポンタは人をだませない

1722.jpgホンドタヌキNyctereutes procyonoides。長野にて。

真っ昼間だというのに、子ダヌキらが群れをなして草むらから参上。どれも体長20cmくらいしかなかった。親はうまく化けているらしく、出てこなかった。

1716.jpg長野にて。

かの国から帰還。いろんなものが待ち受けすぎてて、何が何だかワニワニパニックだった。

1727.jpgクワカミキリApriona japonica。福岡にて。

日本の全てのカミキリの中で、一番端正で立派なものに思う。

明日から、久々の海外遠征。何かが俺を待つ。

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アブラゼミGraptopsaltria nigrofuscataに多数寄生したセミヤドリガEpipomponia nawai

1729.jpg普通ヒグラシTanna japonensisに付く。極めて稀な事例。

福岡にて。

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ベニツチカメムシParastrachia japonensis。福岡にて。

ずっと見たくて、何度も「いる」と言われる山に足を運ぶも見つけられなかったもの。先日、やっと見ることが出来た。独力では絶対に出会えなかった。

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ボロボロノキに極度に依存した生物。昆虫なのに高度な子育て習性を持つ、類い希な帰巣能力を持つ、成虫になるとほぼ餌を採らずに一年近くも生きるなど、常軌を逸しすぎたスペックを持つため、すさまじい勢いで研究されている。数年前、センター試験の生物の問題の題材にもされた。

環境省の第一次レッドリストに掲載されていた絶滅危惧種だった。その後産地があちこちで見つかったらしく、次の改訂で早々にリストから下ろされた。とはいえ、そうそう簡単に拝めるものではない。
信じがたいほどの距離を飛べるようで、周囲に明らかに生息できそうな環境のない場所で突発的に1,2匹見つかることがある。

1700.jpgタイワンハウチワウンカTrypetimorpha biermani。福岡にて。

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九州辺りから南西諸島にかけて分布するようで、チガヤの生える湿気た草原にいる。とても小さくて地味なやつで、ぱっと見ある種のハエにしか見えない。かつては、珍奇な熱帯の大型昆虫ビワハゴロモの親戚として分類されていたが、今や変更されてしまいただの虫に。でも、この模様のきめ細かさは息を飲む。

この生物にごく近縁かつ外見の酷似した精霊がいる。実のところ、最初に野外でこれを見て精霊のほうだと思い狂喜したのだが、帰って落ち着いて調べたら別物であることがわかり、大層がっかりした。とはいえ、こちらのほうも結構珍しい種ではある。
精霊でなかった以上、真の精霊に会いに行かないといけないのだが、これがとんでもない食わせ物だ。最寄の産地まで、家から電車を10回乗り継いで片道5時間もかかる。

1692.jpgヒサマツメクラチビゴミムシIyotrechus hisamatsui

2009年に四国から記載された、新属新種のすさまじい生物。メクラチビゴミムシで新種などザラだが、属レベルで新しいものが国内で見つかるのは極めて異例。正攻法ではまず姿を見ることすら不可能なため、発見が遅れたようである。この個体も、さる方のご厚意無しには決して拝めなかった。

とてつもなく巨大で、かつ凶暴。動作が止まる瞬間がないため、撮影は至難。これ一枚撮るのに二時間かかった。


1697.jpgタテヅメザトウムシかニセタテヅメザトウムシのどっちか。四国にて。

この仲間は標高の高い場所に生息している。

1693.jpgヒサゴチビゴミムシIga formicina。四国にて。

四国の亜高山帯以上の山岳地帯に固有。メクラチビゴミムシの親戚筋だが、眼はある。翅は退化して飛べない。沢沿いの湿った地中浅くにいて、日没後は積極的に地表を徘徊する。磨いたようにスベスベで、余計なものを削ぎ落としたようなフォルムは、カッコ良く可愛い。チビゴミ界きっての萌え担当。

かつては国の絶滅危惧種にリストアップされていたはずだが、後に四国の山に決して稀でない事がわかり、今は外されている。全ての希少昆虫達が、そうなって欲しい。いや、そうなるべく我々が動かねばならない。

1694.jpgヒサゴゴミムシダマシ一種Misolampidius sp.。四国にて。

高標高地に生息する、飛べない甲虫。各地で種が分かれている。

1695.jpgたぶんナガキノカワゴミムシLeistus prolongatus。四国にて。

亜高山帯以上の山岳地帯にいて、夜間倒木上に現れる。体のくびれ方が凄まじく、いかにも飛べなさそうな体型。高標高に特異的に住む甲虫は、たいてい撫で肩で飛翔筋が退化する。

飛べないホタルという感動映画があるが、飛べないゴミムシという映画を作ったらどうだろう。多分、ヤクザかヤンキー同士の抗争を描いた内容になりそう。

1699.jpgスベザトウムシ一種Leiobunum sp.。四国にて。

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日本各地の山間部に見られるザトウムシの仲間で、移動能力が低いため山塊ごとに種が分かれる傾向にある。おおむねオスは全身オレンジの種が多いようだ。どれも外見は互いに酷似し、同定には解剖が必須。

長野県の白馬岳、標高1200mから1600mの範囲に広がるブナ林に住むこれの一種は精霊。でかくて目立つはずなのに、かれこれ50年近く誰も発見できない。

1696.jpgシワクシケアリMyrmica kotokui。四国にて。

死にかけた仲間に駆け寄り、勇気づける。ように見えてそのじつ、餌として持ち帰るつもりでいる。死んだ仲間は仲間ではなくただの肉塊、がアリの世界。
北方系の種たるシワクシケアリは、四国においては結構本気で探さないと見つけられない。

1691.jpgサワガニGeothelphusa dehaani。四国にて。

カニは原則として、幼生期は微少なプランクトンとして海中で過ごさねばならない。陸で暮らすカニの種は多いが、産卵時は必ず海へ戻って卵を放たねばならない関係上、海辺からあまりに離れて暮らすわけにはいかない。
しかし、サワガニの仲間はイクラのように粒の大きい卵を少数産む。卵の中でプランクトンの時期を終え、カニの姿になってから外へ生まれるため、海からの呪縛から解放され、内陸まで進出することが出来た。オーストラリアには、一番近い海岸線から車でノンストップで飛ばして数日かかる内陸部の砂漠に住むサワガニさえいるらしい。

「涙は人間が作り出せる一番小さな海だ」と誰かが言ったが、サワガニは海を数十個の小さなカプセルに封じ込めて持ち歩く。

Bring rum

1690.jpgウシガエルLithobates catesbeianus。今や始末に負えない外来種。四国にて。

空のラム酒樽の中に頭を突っ込んで、低い声でゆっくりラムと言うと、中で反響してウシガエルの声そのものになるらしい。試したいのだが、そもそもラム酒樽が身近にない。

1689.jpgハンミョウCicindela japonica。暑すぎるのでつま先立ち。

国土交通省のゆるキャラ「こっちだヨウ平」は、ハンミョウ。別名・道教えとも呼ばれることから、道路のキャラクターになった。しかし、そうやってお上が日本中の地面をコンクリで埋め立て、道路を造りまくったせいでハンミョウ類が軒並み減っているわけだが。

四国にて。

ぬばたまの

1688.jpgウバタマムシChalcophora japonica。四国にて。

初見ならば、誰もがこれをタマムシのメスと思いこむ。