2015/09/05|Category:膜

ヤドリマルハナバチBombus norvegicus。長野にて。
ユーラシアに広く分布するが、日本では本州中部の亜高山帯に局所的に発生するのみ。九州でも胡散臭い記録がある。日本産マルハナバチ中1、2を争う珍種で、生きた姿を見るのがとても難しい。ただし、産地での個体数は必ずしも少なくない。体毛は長いが、生え方がかなり粗いため黒い地肌が露出して見えるのが特徴。新鮮な個体でもややハゲ気味のみすぼらしい姿。
海外ではヒメマルハナバチの巣を乗っ取る習性が知られている。日本でもヒメマルと常に同所的に生息するため、同じ習性を持つのは疑うべくもないが、今まで国内で実際に見た者は多分いない。薄い体毛越しに見える、光沢の強い体表はとても固い。乗っ取り時の戦闘の際に、鎧となる。
垂直水平ともに、分布がとにかく狭い。加えて、社会寄生という特殊かつ不安定な生態もあいまって、わずかな環境の人為改変により容易に滅亡しうる。長野県レッドデータブックでは絶滅危惧種に指定されているが、なぜか環境省版にはいまだ載らない。ヤドリホオナガスズメバチは載ってるのに。