琴里「このアフリカンミイデラゴミムシ!」

1918.jpgミイデラゴミムシ一種Pheropsophus sp.。カメルーンにて。

林内のじめじめした場所に夜間現れる。全身黒いが、日本のオオミイデラ程度には黄斑が出る個体も混在していたので、変異の範疇であろう。もちろん、盛大に屁をこく。

1978.jpgカマキリ。カメルーンにて。

日本のハラビロカマキリと変わらないフォルムで、より小型。アフリカ特有の属Sphodromantisかもしれない。 この属には、アリ植物アカシアに特異的に住み着き、アリを専食する種が知られる。その種は、アリが住処とするアカシアの肥大化したトゲそっくりの腹部をしているとされる(ただし、この擬態の話に関しては相当に盛られている疑いがある)。

※別属Miomantisの一種だそうです。kaz様、ご教示ありがとうございます。

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1993.jpg樹上性アトキリゴミムシ。夜間、キノコのはびこった倒木上に現れる。東南アジアにも似た雰囲気のがいる。

カメルーンにて。

1745.jpgコオロギ一種。カメルーンにて。

夕方、宿舎の床のひび割れから顔を出し、にわかに信じがたいほどの大声で鳴き始めた。日本のエンマコオロギよりずっと小さいのに、目覚まし時計のようなやかましさ。それも「ビィィィーーーーー」という、風情もへったくれもない機械音。
このまま居座られたら安眠が妨げられるので、早々に部屋から追い出した。

1766.jpgガガンボ。

1988.jpgケバエ。

カメルーンにて。

1778.jpg大形グンバイ。カメルーンにて。

東南アジアにも似た雰囲気のがいる。昔からこいつを見るたび、クリスマスツリーの飾りを連想していた。しかし、同行のおじちゃんが耳クソと呼ぶのを見て以後、耳クソにしか見えなくなってしまった。

アイギス

1910.jpgオオキノコムシ一種。カメルーンにて。

現地では普通種。倒木の裏などによく付いていた。独特の模様が、アフリカの呪術・儀式用の盾を思わせる。

アフリカの昆虫の模様は、現地の装飾品の柄に極めて似ている。いや、昆虫が装飾品に似ているのではなく、現地の人々が精霊の化身たる自然物をモチーフに装飾品を作ってきたためであろう。

1937.jpgヨコバイ。カメルーンにて。

1977.jpgオオツチグモかジョウゴグモの類。

手のひらサイズの巨大タランチュラ。アフリカの建物の床下には、こんなのが当たり前にいる。カメルーンにて。

1756.jpgキンカメムシ。現地では普通種。

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睡魔に魅入られしキンカメムシ。

カメルーンにて。

1955.jpgヤイトムシ。カメルーンにて。

ウィンクラーこじきの産物。土壌性で、クモに近いがクモとは別の生き物。日本でも南の島嶼に普通。

1961.jpg植物のタネみたいなゴミムシダマシCossyphus sp.。カメルーンにて。

1948.jpgウィンクラーをかけたり、森でリターを漁るとしばしば出た。さほど珍しいものではない。
こういう甲虫を見るとすぐ好蟻性を疑うようになってしまったが、ぜんぜんアリと関係しない。たまたまこういう形になっただけ。

1779.jpgアゴウロコアリ一種Pyramica sp.。カメルーンにて。

ウィンクラーこじきの産物。土壌中からは一番多く出てきたアリのひとつ。3mm程度。

1906.jpgテングサシガメらしき一種。カメルーンにて。

ウィンクラーこじきの産物。4mm程度の小型種で、あだ名はコーンフレーク。

悪魔ブエル

1954.jpg甲虫の幼虫であろうことは予想が付くが、正体不明の者。ウィンクラーこじきの産物で、個体数は多い。

なお、やかんづるはいない模様。

カメルーンにて。

第9使徒

1881.jpg日本のコアカザトウムシに似た雰囲気のそれ。

1880.jpgウィンクラーこじきの産物。体長3mm前後。第四歩脚が異様に強靭だが、外見がこれと同じでその脚が普通に細い個体も同時に見られたため、恐らくそれらは同種の雌雄に思える。ぶっとい方の個体は雄か雌か、わからない。

1750.jpgダニザトウムシ。体長3mm。ダニそっくりだが、はっきりした体節と上半身の突起(臭腺丘)は、紛れもなくザトウムシである証。ダニザトウムシ科は、世界的に見ても極めて変則的な分布を示す。

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1748.jpg変わった形のザトウムシ。2mmちょっとしかない。それでも、決して適当な造りをしていないのがすごい。

カメルーンにて。

1950.jpg原始的な雰囲気のクモ。カメルーンにて。

ウィンクラーこじきの産物で、かなり多く抽出された。イボブトグモの仲間Nemesidaeのような気がする。採り方が採り方なので、営巣形態を確認していない。容器にでも入れてしばらく飼育すればよかったのだが、そこまで気が回らなかった。

1890.jpgカワリゲアリCalyptomyrmex sp.。

ウィンクラーこじきの産物。土壌中に見られ、かわった毛が生えている。見たまんまの名。本属はアフリカから東南アジアにかけて広く分布する。

カメルーンにて。

悪魔のエキス

1935.jpg奇怪なダンゴムシ。カメルーンにて。

2032.jpgウィンクラーこじきの産物。土壌中に決して稀ではなかった。東南アジアでは、これに姿形の似た全身青白い種がいて、例外なくアリの巣内のゴミため部屋から得られる。今回のこいつらがそうした生態を持つかは分からない。
初代ファミコン版レッドアリーマーⅡに、これに似たダゴンという怪物が出てくるため、この手のゴツゴツしたダンゴムシはダゴンムシと呼んでいる。

ダゴンの鱗と、イマウスの山にあるアケロンの水を研究所のあいつに渡すと、秘密のアイテムを調合してくれる。魔界村シリーズを嗜んだ者にだけ通じるネタ。

1908.jpg土壌性ゾウムシ。カメルーンにて。

3mm程度。ウィンクラーでは大量に抽出された。


実は今日から、行ったことのない国へしばらく命がけの遠足。

1971.jpgアリヅカムシ。カメルーンにて。

ウィンクラーで落ちた、比較的大型で立派な種。おそらくアリと関係しない。

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ウィンクラー装置。カメルーンで同行者が使った。

土壌動物を効率よく採集する魔性の武具。白い筒状の布を広げると、内部に網網の子袋が複数ぶら下がっている。これに、森から取ってきた土やら落ち葉やらを詰め込み、あとは風通しのよい場所にぶら下げるだけ。次第に子袋の土が乾燥してきて、それを嫌がった小動物が下へ下へと避難し、やがて子袋から落ちる。それを、下で容器に受けて捕らえる。
昔はこういう小動物採集にはツルグレン装置というのを使ったが、ウィンクラーは持ち運びが楽なのと、上から電球で乾燥させる必要がない手軽さから、近年野外調査では好まれる。

ウィンクラーは、たいていの場合ある特定分類群の土壌生物を捕りたい研究者が使う。下の受け皿には、土壌中に隠れていたあらゆる小動物が落ちてうごめいているが、しばしば研究者はその中から自分にとって必要な生物だけをえり分けて採集し、それ以外はその辺に捨ててしまう。
今回、甲虫の専門家と同行した関係で、甲虫(の中でも特定分類群)だけ抜き取ったあとの有象無象たちがそのまま宿の庭にうっちゃられていく様が、どうにも見ていて忍びなく、途中からそれらを引き取ってしゃぶることにした。せっかく、他にも珍奇な姿かたちのアリ、ザトウムシがわらわら入っているのに、もったいない。
今回の過酷な旅で、滞在中一番俺の心を潤したオアシスの一つが、このウィンクラーこじきであった。

1753.jpgかっこいいカマキリ。カメルーンにて。

アフリカに、ニセハナマオウカマキリという名で呼ばれるカマキリがいる。恐らく、「花に似せた姿の魔王じみたカマキリ」という意味でその名がついたのだろうけど、この名だと「ハナマオウカマキリ」という和名のカマキリが別にいて、それに酷似した種という意味に取れてしまう。実際、俺は当初そう思っていて、後からどうやらそうでないことに気づいた。
普段ムシの名前に過剰に触れていると、文頭に「ニセ」が付く言葉は、以降の文で示されている事柄のモドキ版のように思えてしまう。ニセ電話詐欺とか、電話詐欺に酷似した別種なのだろうか、とか。

まったくどうでもいい話だが。

裏切りの悪漢者

1911.jpgルリモンハナバチ一種Thyreus sp.。カメルーンにて。

日本の奴より一回り大型。あてどなく花から花へ渡り歩く様は見ても、実際に仕事をするさまはそうそう見られない。

ルリモンハナバチ属は、同じコシブトハナバチ科の単独営巣性ハチ類の巣を乗っ取ることに特殊化した、社会寄生種からなる面々。これに乗っ取られた寄主の巣部屋では、花蜜は横取りされ、寄主の卵や幼虫は潰される。人間にとっては幸せの青い蜂、寄主の蜂にとっては存在すら忌まわしい疫病神。

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2002.jpgコケシジミ。カメルーンにて。

コケシジミ亜科はアフリカ特有の仲間(東南アジアのホウセキシジミ亜科を含める説もある)。とにかく奇妙で、他に類を見ないような不気味さを醸したシジミ。幼虫はその名の通り、地衣類を餌にしているらしいのだが、ビックリするほど毛虫の姿をしており、しかも一カ所に多数が群生するという。外見は毒毛虫そのもので、とてもシジミチョウの幼虫には見えないらしい。アリとも関係しない。

幼虫だけでなく、成虫の振る舞いも奇怪だ。まるでトンボのように、細い枝の先端近くに止まってテリトリーを監視する。また、止まっている時はタテハチョウのように翅を繰り返しゆっくり開いたり閉じたりする。普通のシジミでそんな動きをするものを、他に見たことがない。しかも枝先で翅を開く際、翅をほぼ180度真下にべったり打ち下ろす(いわゆるオチョコの状態になる)。
コケシジミの仲間は種により外形が著しく多様で、姿形だけ見たのでは何の仲間か分からない場合が多い。しかし、その特異な仕草により、生きている姿を見れば一目でこの仲間の蝶であろうという予測は付く。

1889.jpgノコギリクワガタ的なやつ。カメルーンにて。

小さい。

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1970.jpg大型のバッタ。有毒で、手づかみすると胸部側面からブクブク泡を吹き出す。泡は、まだ青い草のタネを潰したような、苦々しい臭気を伴う。この手のバッタは、サスライアリには好まれない。

1776.jpgそれと似た雰囲気の大型バッタがいたが、これは掴んでも泡を出さなかった。面白いことに、泡は出さねども胸部側面に白い部分がある。この地域に住む鳥など「視覚に頼る捕食者」は、おそらく胸部に白い部分があるバッタを不味い泡を出している状態と学習しており、このバッタはその裏をかいているのかもしれない。

カメルーンにて。

1892.jpg妙なウンカ。カメルーンにて。

腐海の大魔導師

1755.jpgゲホウグモ一種。カメルーンにて。

1754.jpg造網性で、夜間に円網を張ってその中心に陣取る。日中は付近の適当な枝などに止まって休んでいる。夜間は見つけやすいが、日中の発見は非常に難しい。
ゲホウグモの仲間は、どの種も腹部の形が異様。この姿で脚を縮めて枝に止まられていると、絶対にクモとは気づかない。なお、外法とは古い呼び方でいう妖術使いの類のこと。そういう奴らが呪術に使う、あやしい仮面を思わせる姿だというのが、名の所縁。

1936.jpg飛べなさそうなカミキリ。いかつい雰囲気だが、1cm程度しかない。カメルーンにて。