リリエール

2014.jpgハマダラカAnopheles sp.。カメルーンにて。

睡魔族が一人。魅了スキル、マラリアの使い手としてあまりにも有名。マラリアはアフリカの伝染病の中でも最もありふれたもので、なおかつ最も恐るべきもの。マラリアは世界各地に存在するが、アフリカでは特に死亡率の高い劇症型の熱帯熱マラリアが優勢である。魅了(チャーム)にかかってしまうと、初期のうちに適切な治療が成されねば高確率で死ぬ。
悪いことに、近年マラリアは薬剤耐性を持っていることが多く、かかると治療がしばしば困難になる。また、それを媒介する蚊自体も殺虫剤に耐性を持ってきているようだ。

2017.jpgハマダラカは夜行性で、昼間は葉陰に隠れている。日没後も当面は上のようにじっとして動かない。しかし、夜9時を回る頃から急激に凶暴化し、人間を猛烈に攻撃し出す。

2037.jpg宿舎裏手を流れる大河。こういう開放的な水界は、典型的なハマダラカの発生温床。夜9時以後は、筆舌に尽くしがたい数の蚊が川縁に乱舞する。あまりにも危険すぎて、行けない。

この他、今回はあまり見なかったが皮膚を腐らせるリーシュマニア症の使い手サシチョウバエ、錯乱の後に昏睡して死ぬ恐怖の眠り病を媒介するツェツェバエ、各種熱病を標準装備するマダニなど、様々な睡魔族がジャングルに潜んでいた。
アフリカの吸血生物は、ほぼ例外なく全てが何らかの病気を人間にうつす。そしてその病気の多くが、揃いも揃って人間にやっかいなものばかり。古くから人間が住んでいた大陸ゆえ、人間を食い物にするよう特化した病原菌や寄生虫の種数も段違いに多いのである。
アフリカの調査では、こうしたものたちとの戦いにより体力も精神も消耗していく。

マーテル

2018.jpgメクラアブ(キンメアブ)Chrysops sp.。カメルーンにて。

2019.jpg睡魔族が一人。虹色に輝く大きな瞳で、何も知らない人間に狙いを定めて襲い掛かる。非常に素早い飛翔でこちらの目を掻い潜り、背後から突然短剣を突き刺してくる。その攻撃は、かなりの痛みを伴う。

魅了スキル「ロア糸状虫」の使い手。魅了(チャーム)にかかってしまうと、回虫のような寄生虫を体に植えつけられる。寄生虫はコブとなり、皮膚の下を自在に這い回る。場合によっては目の中に侵入して、視界を回虫が横切る事態になりかねない。致命的ではないようだが、こちらの戦意パラメータが大幅に下がる。

こちらの殺気に敏感で、なおかつこちらの心の間隙に付け入るのが上手い。野外でこちらの身の安全を確保しつつ、生きた個体を撮影するのが極めて難しい。だから、不本意ながら死んだ直後の個体をそれっぽく膝の上で撮影するしかなかった。

リザリス

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背面に4本白線をもつシマカ属。恐らくネッタイシマカAedes aegyptiかその近縁筋。カメルーンにて。

ネッタイシマカは悪名高い睡魔族で、魅了スキル「黄熱」の使い手。黄熱は発症してしまうときわめて死亡率が高く、恐ろしい病気として有名である。しかし、護符・イエローカードの効果発動により、魅了(チャーム)にかかる確率を大幅に引き下げることができる。というより、カメルーンへはイエローカードがないと入国できない規則になっている。

もっとも、彼女らは黄熱だけでなくデング等の雑多な熱病も標準装備しているため、いくらイエローカードの加護があろうとみだりに刺されるわけにはいかない。

スゥーティー

2013.jpg胸部背面に一本白線のあるシマカ属Aedes sp.。カメルーンにて。

日本だったらヒトスジといってしまいそうだが、背面に一本線のあるシマカ属なんて世の中に何種もいる。外見では絶対に種同定できない。日中活動し、特に朝夕は攻撃が激しい。

2016.jpg別の仲間。シマカ属と思ったが、どうやらヌマカ属Mansonia sp.らしい。全身がさざ波風の白い斑入りで美しい。夜行性で、日没後に群れを成し猛烈に刺しに来る。

睡魔族の仲間たち。デング熱やチクングニア熱などの魅了スキルで、人間を責める。デング熱は、熱帯諸国ではただのカゼくらいにしか思われていない節があるが、一定確率で劇症型のデング出血熱へ移行する。劇症型の死亡率はかなり高く、処置が適切でなければ普通に死ぬ。俺もかつて東南アジアで、この睡魔族の魅了(チャーム)にかかり、危うく永遠に眠るところだった。

彼らの魅了を解除する特効薬はなく、ワクチンなどの無効化アイテムもないため、刺されないようにする他ない訳である。あらかじめ武器屋で、虫除け薬などのアクセサリを購入しておくことが大事だが、身に着ける防具をきちんと選ぶだけでも攻撃を最小限に防げる。
ジーパンなどは生地の縫い目が広く、奴らの針が容易に貫通して攻撃をもろに受けてしまう。しかし、日本の某激安衣料品販売店で購入できるチノパンは、生地の柔らかさの割りに縫い目がぎっちり締まっており、奴らの針を弾き返すことができる。今回、これを装備して行ったおかげで、ほとんど大型の蚊には刺されずに済んだ。
ただし、睡魔族の王ツェツェバエの攻撃は、このアーマーで防げない。

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2012.jpg躍起になって針を突き通そうとするが、逆に針がへし曲がってしまった。刺せるものなら刺してみろ!

サッキュバス

2015.jpgブユ。カメルーンにて。

睡魔族が一人。人を激しく攻撃し、皮膚を噛み切って出血させる。その際、血液凝固を妨げる成分を注入し、これがアレルギー反応を起こす。蚊に刺された時と比べて、ブユは痒みが強い上に患部の予後は悪い。これは吸血方法の違いにより、毒成分の大部分をこちらの皮下に残していくことが関係しているだろう。

アフリカのブユは吸血に加えて、魅了スキル「オンコセルカ」により、人間を黄泉へと誘う。オンコセルカは、糸状虫と呼ばれる小さな寄生虫により引き起こされる病で、ブユにより媒介されるアフリカの風土病である。魅了(チャーム)にかかってしまうと、寄生虫が血管を通じて体中に広がり、様々な病変を引き起こす。場合によっては眼へと移動し、その際網膜を傷つけられて失明する恐れがある。
オンコセルカ自体はアフリカの広域にわたり発生しているが、特にブユが好んで生息する大型河川流域周辺で多い。そのため、別名を河川盲目症ともいう。

今回、ブユにはかなり気をつけたつもりだったが、それでも2-3匹には刺されてしまった。

グレーターデーモン

1760.jpgフタスジイエバエMusca sorbens

背面に太い黒線が2本走るのが特徴で、カメルーンではどこにでも出現する。人や家畜の周りを執拗に飛び回っては止まり、化膿した傷口や汗、目脂を舐めようとしてくる。直接こちらのHPには打撃を与えてこないが、戦意パラメータに悪影響を及ぼす敵。
とにかく数が多く、しつこい。いくら掃ってもすぐまとわり付いてくる。こちらの敵意を敏感に察知し、叩こうと身構えるとすぐ遁走してしまう。こちらがあきらめると、すぐ戻ってくる。様々な動物の目脂をはしごしているため、恐らく眼病を媒介する可能性はある。
「どうぶつ奇想天外」などテレビの自然番組でアフリカの特集が組まれると、よくライオンやシマウマの顔に沢山のハエがたかっているシーンが出る。その正体はこれ。

1771.jpgサシバエStomoxys sp.。

イエバエと似たような風貌だが、針状の口で動物を刺して吸血する。アジア界隈では、基本的に家畜を攻撃するものであって、人は家畜の傍にでもいない限りは攻撃しないことが多い。でも、アフリカのサシバエは単体でいる人を襲う。今回、生まれて初めてサシバエの攻撃を受けた。

レッサーデーモン

1744.jpgヌカカ。カメルーンにて。

今回、もっとも我々を苦しめた魔族。ものすごく小さくて、1mmあるかないかくらいのサイズ。容易に服の隙間や頭髪の中に入り込み、容赦なく刺してくる。正確には蚊のように刺すのではなく、皮膚を噛み切って出血させ、それを舐めるようである。この際に注入される血液凝固を防ぐ成分が、アレルギー反応の原因となる。患部はやがて猛烈な痒みを伴い、水脹れになる。
極小サイズのくせに、やられた瞬間チクッと鋭い痛みを感じる。人がこれを感じた時点では、まだヌカカは吸血を開始していない。しかし、毒成分を入れられているため。水脹れコースは堅い。

虫除けはちゃんとやっていたのに、なぜか滞在中俺だけが徹底的に集中狙いされ、発狂寸前になった。顔も手もボコボコにやられ、これが夜になると熱を持って激烈に痒くなり、眠れない。夜中突然起き上がり、何か訳の分からぬことを叫びつつ下へ飛び降り、闇の中へ駆け出して二度と戻らないレベルの痒さ。
俺はヌカカにアレルギーを持っているため、刺されすぎると患部のいくつかがかぶれ、水脹れが患部周囲に飛び火して広がり、なおさら激烈に痒くなる。そこへ強力な虫除け薬を毎日ベタベタ重ね塗りするわけだから、治るはずがない。しかし、虫除けを塗らずにジャングルへ行くわけにも行かない。八方塞。

2033.jpgノイヌCanis lupus familiaris。カメルーンにて。

ノイヌはフィールドワーカー永遠の敵。地球上いかなる場所でも、絶対に避けられない。人間の肉体を物理的に粉砕できる、最も身近な猛獣であるとともに、様々な致死性病原体の運び屋でもある。夜間は特に攻撃的になり、徒党を組んで襲ってくる事が多い。アフリカはどこでも狂犬病リスクが高く危険だが、特にカメルーンは年間の狂犬病発症件数が群を抜いて高いらしい。
今回泊まったある村では、夜中に異様に長い特徴的な遠吠えをするノイヌが居着いていた。海外においてこういう少しでも様子が普通でない犬は、全て狂犬病もしくはそれに類する病気と疑っていい。

2005.jpg見るからにやばそうな病犬もうろついていた。両耳に巨大な腫瘍ができて血の滴る個体。この日カメルーンの建国記念日で村人達が浮かれていたため、てっきり犬もおめかししてもらい、耳にバラの花飾りでも付けられているのかと遠目に思ったが、近くまで寄って来られて全然違うことに気付いた。諸手を挙げてそこから逃げた。

2028.jpgホソチョウの類。カメルーンにて。

2030.jpgレインボーアガマAgama agama。カメルーンにて。

30cm程になる中型トカゲで、オスは赤と青の美しい色。メスは褐色に少し緑が混ざった感じ。その時の興奮度や気分によって、多少体色が変わる。
カメルーンでは、ノイヌを除けば最も普通に見られる四つ足。都市部から田舎まであらゆる環境に見られ、適応力が強い。その適応力の秘訣が、悪食さだ。この手のトカゲは大抵肉食で、口に入るサイズの生きたものしか食わないものだが、彼らは死んだもの、植物質のものもよく食べる。人の作りし生ゴミさえもだ。

オープンガーデン式レストランに行くと、床のそこいらにこのトカゲどもが何匹でも横たわっている。人の食べこぼしを狙っているのだ。フライドポテトや米粒を落とすと、人目もはばからず走り寄り、奪っていく。ひどい時には、貧しい村落で出荷前に地面にゴザしいて干してあるカカオ豆まで盗んでいくのを見た。
生態的には、ほぼドブネズミと同じニッチを占めているようだった。代わりに、カメルーンで民家周辺にドブネズミやヤモリの姿を見ることは、ほとんどなかった。


この一ヶ月以上の間、ひたすらカメルーンの写真ばかり出してきた。驚くべきことに、まだ全然終わらない。

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2010.jpgアシブトコバチの求愛、成婚、そして破局。カメルーンにて。

1761.jpg萱島蜘蛛。カメルーンにて。

1957.jpgまさかアフリカでも出会うとは。建物の壁のヒビなどに、汚らしい巣をかける。外見は、東南アジアにいるものと変わらない。

1762.jpg夜間灯火にきたシロアリの脱翅生殖虫を捕らえた。

九州某所にいるとされる精霊ハラナガカヤシマグモが、筆舌に尽くし難いレベルで再発見できずにいる。去年以後、もう何回あそこに足を運んだか。台湾、マレー、そしてアフリカでこの仲間を探すサーチイメージは十分養ったはずなのに、あの地域界隈でそのイメージがピンとくる箇所がどこにもない。
あの地域自体、この属の分布中心からあまりにもかけ離れた異質な場所だ。実はサンプルのラベル付け違いとかで間違って他所の国で得た採集者不詳の個体を記載したとか、そういう可能性すら疑い始めている。記載文に出ている、模式産地に関する情報があまりに漠然としていて詳細が不明なのも、疑念に拍車をかけている。

もしそうだとしたら、奴は本当に実態のない精霊になってしまう。

1927.jpgカラフルなバッタ。1cm強で幼虫じみた雰囲気だが、交尾しているので成虫。

たぶん有毒。そもそも植物の二次代謝産物をふんだんに摂取しているであろうバッタが、体内に毒を蓄えているのは不思議でもなんでもない。

カメルーンにて。

Qベー

1959.jpgツユムシ。カメルーンにて。

こういう何の変哲もないようなキリギリスが、幼虫期にアリやら何やら得体の知れないものに擬態してたりする。わけがわからないよ。

1979.jpgマツムシモドキ。日本にいるものと変わり映えしない風貌。発音器官がないので鳴かないが、体を葉に打ち付けて音を出すらしい。

1980.jpg見慣れないコオロギ。カネタタキのように小さい翅を立てて、かなり大きな音を出す。

1947.jpg恐らくスズムシの仲間。灯火に来た。

カメルーンにて。

ベルゼビュート宮殿

1907.jpg美麗なハエ。背面剛毛の生え方をみるに、キンバエではなくミドリイエバエであろう。自然光下では、もっと綺麗だった。

1939.jpgヒロクチバエ。大型で青いメタリックな翅を持つ、立派な蝿の王。

なおどちらも人糞に集る模様。

カメルーンにて。

1944.jpg徘徊グモ。カメルーンにて。

宿舎壁面に、夜間出現する。アシダカ軍曹かと思ったが、どうやらアワセグモSelenopidaeらしい。

1943.jpg横から見ると、紙のように平べったい。でも、ヒトエグモはもっと薄い。

1893.jpgベニボタル擬態カミキリ。撮影しなかったが、これと明らかに別分類群でこの色調のカミキリもいた。有毒なベニボの柄は、他の様々な甲虫にパクられる。その傾向は、ベニボが分布する世界中あらゆる地域で認められる。

1987.jpgナガカメムシにすら、ベニボ柄の奴がいた。
※カスミカメムシだったようです。ご指摘くださった方、ありがとうございます。

カメルーンにて。

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1986.jpgベニボタル。カメルーンにて。

カメルーンはベニボの種多様性がすさまじい。道を歩けば、次々に違う種にぶつかる。体内に毒を持つ彼らは、派手な色彩で敵を威圧する。
アフリカのベニボは、日本のものと違って深紅の種がいない。中南米のそれ同様、みなオレンジと黒。

1976.jpgハムシ。ジャングルには無数にいる。

1981.jpgツツハムシ系の産卵。メスは生み出した卵を後脚で受け取り、それの表面に自分のウンコを塗りつけてカモフラージュし、下に落とす。

1992.jpgジンガサハムシ系。

カメルーンにて。

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1949.jpg灯火に飛来した蛾。カメルーンにて。