2116.jpgヤマカガシ系の何かRhabdophis sp.。タイにて。

夜間、カエルを狙って池に姿を現す。大抵は胴体を水底に隠し、頭だけを水面に浮かべて定位している。
濁った泥水に浮かんだこいつの頭が、遠目には同じ池にいるフチトリもどきゲンゴロウと、色もサイズも瓜二つ。遠目に息継ぎで上がってきたゲンゴロウだと思って、ろくに確認もせず手づかみすると、盗んだ牛車で走り出す他ない事態に。

2079.jpg日本のアオヘリアオゴミムシとオガサワラアオゴミムシをブレンドした雰囲気の、それ。沼地の脇のぬかるみに、夜間現れる(後で確認したら、言うほどオガサワラには似てなかった)。

2110.jpgコキベリアオゴミムシもいたが、日本の千葉みたいな密度では生息しない。ツヤは、いるはずもなかった。

ここのアオゴミにおけるラブルベニア(背中にちょぼちょぼ生えている毛みたいな奴)寄生率は凄まじく、見た個体全てがやられていた。種特異的なもの故、アオヘリオガサワラもどきとコキベリとで、付いてるブツの種は違うであろう。

タイにて。

2084.jpgフチトリもどきゲンゴロウCybister guerini。タイにて。

同所的に分布し、日本の南西諸島にもいるフチトリゲンゴロウC. limbatusとは、外見では体サイズ以外で区別不可能らしい。大型の立派な種で、現地では食用になることもある。
日本のフチトリゲンゴロウは、生息地である南西諸島の湿地や溜池が目に余る乱開発、あるいは植生遷移に伴う自然消滅の憂き目に遭い、激減した。嘆かわしい事に、それにマニアの乱獲がとどめを刺したとも言われる。現在、国内希少野生動植物に指定され、日本では捕獲が厳重に禁じられている。法律を杓子定規に取れば、たまたま網を池に突っ込んで偶然網に入っただけでもお縄になる。とは言え、既に日本の個体群は、もはや現存しているかどうかも微妙な有様。
また、例によって厳重に禁じられているのは採集だけ。開発で生息地を潰すのは事実上合法がまかり通る。採集を禁止しても虫マニアが憤死するだけだが、開発を禁止したら世の大概の人間が憤死するから。

浅い池をスイスイ泳いでいた。素手で取り押さえ、なでくり回してから解放した。日本じゃこんな体験は、もう出来ない。


※指定種を非意図的に偶然捕らえた場合、手はずをきちんと踏めば必ずしも違法とはならないそうです。haino様、ご教示誠にありがとうございます。

シャープ潰・・

2081.jpgツブゲンゴロウの類。オープンランドにある浅い水たまりにものすごく多いが、夜行かないと一匹とてこれを見つけられない。とても色彩が綺麗なのに3mm位しかないため、一部の奇特な虫マニア以外は見向きもしない。

2080.jpg何かの卵をむさぼり食う、日本のシャープツブゲンゴロウLaccophilus sharpiに似た奴。もしくはそのものかもしれない。ゲンゴロウマニアにとってシャープの文言は、硝煙の香。

タイにて。

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2117.jpgヒメアマガエル系の仲間。

同所的に複数の似た種が見られ、外見はどれも似たり寄ったり。でも、鳴き方が全然違う。オアー、オアーと言う奴と、ゲタゲタゲタと言う奴と、キャリ、キャリキャキャキャ・・と言う奴の、少なくとも三タイプいた。

2118.jpgヌマガエル系。どこにでもいる。

タイにて。

御坊茶魔

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2133.jpgザトウムシ。タイにて。そろいも揃って、トゲは何のため。

ポリンキー

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チビミノガ一種。タイにて。

三角錐形の蓑を背負い、よちよち歩く。蓑の長さ3mm。

2103.jpgアミメニシキヘビPython reticulatus。タイにて。

熱帯でニシキヘビに遭遇することなぞ滅多やたらとないが、この遠征時では1週間のうちに2度3度近辺で出没した。夜間、川べりを歩いていたら見つけた。傍に座ったら水から上がってこちらへと近づいてきたが、写真を撮ろうとこちらが動いたらすぐきびすを返して水中に入った。2mくらいある個体だったが、マグロカツオ級の信じがたいスピードであっという間に泳ぎ去ってしまった。

2mというと日本の青大将のでかい奴とどっこいどっこいだが、ニシキヘビとしては恐らく生身の人間が一人で戦って勝てるかどうかギリギリくらいのサイズだろうと思い、手を出さないでおいた。アミメニシキヘビは、現在確認されている現存種としては最も長くなるヘビで、性格は筆舌に尽くし難いほど荒い。過去には人を呑んだり噛み殺した記録がある。しかも、この10年20年位の間で複数。

いろんな意味で、人を食った顔をしている。

2095.jpgタイワンヒメシジミFreyeria putli。タイにて。

東南アジアに広く分布し、荒れ地に多い。翅表は全面小汚い茶色だが、裏面は多少凝った模様がある。日本にはもともと分布しなかったが、10年前くらいから南方で、台風により飛ばされてきたものが不定期に定着と絶滅を繰り返しているらしい。
日本の土を踏んだことのある蝶としては、もっとも小型。翅を閉じれば、小指の爪ほどの大きさもない。

危機黄瓜

2112.jpgインドトサカゲリVanellus goensis。タイにて。

開けた場所によくいるが、対人警戒心が極めて強く近づけない。しかし、なぜか車に乗って近寄るとそんなに逃げない。これはあらゆる種類の鳥に見られる傾向だ。車だけでなく自転車でも、歩いて近寄るよりは断然鳥に近づける。下手をすれば触れそうなくらいまで寄れる。
乗り物は比較的決まった軌道上で型にはまった動きしかしないが、生身の人間は何を仕掛けてくるか鳥には予測がつかないからだろう、と勝手に思っている。

ケリに不用意に近寄ると、けたたましい金切り声でキキキウリ!キキキウリ!と言ってこちらを非難し、飛び去ってしまう。

2096.jpgドクガの交尾。タイにて。

夜間灯火に飛んでくる厄介な伏兵。また、低木枝をたぐってツノゼミを探すとき、しばしば葉裏に止まっていたこれが服の胸ポケットにストライクするため、ダンサーのように踊らされる。

2130.jpgでかいメスクワ。ヒラタ系か。タイにて。

可憐ノーラ・メーザース

2131.jpgアオバハゴロモの類。タイにて。

虫マニアのバイブル「珍虫と奇虫」で、カレンアオバハゴロモの名で紹介されていたものに近い。時に大発生して蝋状物質を大量に分泌し、付近の川の水面を汚らしく汚すと書かれていたが、そこまで高密度でこれがいるさまを一度も見ない。

2125.jpgシリアゲ一種。タイにて。

熱帯でシリアゲを見かけることは非常に稀。タイくらいが今のところ俺の見た南限。

来週から、とても遠い場所にしばらく高飛びすることになった。電波を操れない僻地だというので、ここも当面は放置だろう。

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2121.jpg夜間、ジャングルの立ち枯れに現れるものども。写真にするとそう思わないが、カッコウムシとキノコカスミカメは野外で見るとほぼ瓜二つで、遠目に区別できない。

タイにて。

ヘイリスンルックウォッチャウ

2134.jpgゴマフアブの類。タイにて。

常に頭上をまとわり付いて、どこまでもついてくる。これを一度捕らえて蛍光塗料を塗って放したものを「ナビィ」と呼ぶ。敵の弱点を教えてくれたり、サリアに回線をつないでくれたりする。しかし、ラスボス戦では一切役に立たない。

2135.jpgヨツボシゴミムシの類。タイにて。

ジャングルの地面にいて、一瞬で走り去って消える。

2101.jpgギラファノコギリクワガタProsopocoilus giraffa。タイにて。

昨年度、某テレビ局の取材に同行した際に見た夢。生まれて初めて見るこの生き物が、野生のものであってよかった。日本のホームセンターで投げ売られてるものだったら、死んでも死に切れない。東南アジアは大型のカブトクワガタの宝庫と日本では思われているが、実際にそんなカブトクワガタに野外で遭遇する機会などほとんどない。

とにかくでかい。

2072.jpg奄美、湯湾岳の麓で行われていた、大規模な採石工事。自然保護区になっている山のエリアのほんのすぐ真下で、これだけ大規模な森林破壊が行われている。半年前にも同じ場所に来ているが、その時に比べて大幅に伐採エリアが広がっていた。

この島の住人の多くは、開発業を生業としているそうだ。島という立地上、産業も限られる。雇用を生み出すため、森を切り開いて林道やダムを作る方向に走るのは必然であろう。生活のためにやらざるを得ないのだから、余所者がそれに対してどうこう言うのは筋が違う。
理屈としては分かっている。しかし他方、近年奄美大島では条例により、昆虫を含む小動物の採集者を締め出す動きが急速に進んでいる。自然を守れ、虫を捕るなと追い出された後、その虫の住む森が根こそぎズタズタにされ、重機でならされていく様を、追い出された側はどう思いながら見ていろというのだろうか。

ここに限った話でなく、最近こういうのが各地であまりにも多すぎる。本当に虫を守りたければ開発をやめればいいのだが、それはやめることはできないしやめるつもりもない。その免罪符に、虫マニアを手堅く自然破壊の仮想敵に仕立て上げ、叩いているとしか解釈できない。
その片鱗は、少し前に環境省が作った「希少種乱獲するなポスター」にも現れている(http://www.env.go.jp/nature/yasei/rd_p/)。採集行為が、開発に次ぎ生き物を絶滅に追いやる第二の要因だとして大々的に報じている。それ自体は事実なのだろうし否定するつもりもない。しかし、ならばなぜ「開発は生き物を絶滅に追いやる第一の要因なのでやめよう」ポスターは作らないんだろうか。なぜ第一の要因を棚に上げて、わざわざ第二の要因をこうまでして叩きたいんだろうか。
もはや虫マニアを叩く行為自体が自然保護活動になっている。

今まで、いろんな場所へ虫探しをしに行って、各地で数え切れないほどの「自然保護のため、虫を捕ってはいけません」看板を見てきた。率直に言って、それら地域のうち8割方は、看板だけ立てて何もしてない。でも、立てた側はそれでいいのだ。虫マニアをその土地から消しさえすれば、すなわち自然が保護されたと思っているのだから。
「自然保護のため、虫を捕ってはいけません」と言えば、他に何もしてなくても、自然を愛し、頑張って保護しているように、対外的には見せられる。そう言われた方も、この人はすごく自然を愛して頑張って守ってるんだと思えてしまう。実に素晴らしい、素敵な言葉である。

あの削られている斜面の重機のキャタピラのすぐ手前にもしアマミナガゴミムシがいたとしても、拾っちゃだめなのだろうか。マニアが拾って標本にするため殺すのは悪逆非道で違法でだめだが、重機で踏みつぶすのならいいのですか、そうですか。

2076.jpgアマミサソリモドキTypopeltis stimpsonii。奄美にて。

外見から想像するほどには、サソリに近縁ではない。ムチのような尾から、強烈な酢酸臭をともなう液体を飛ばすと言われるが、今まで一度もこれをいじって出されたことがない。
元々南方の島にしかいなかったが、近年では苗木の土などに紛れて本土の各地にもかなり侵入しているらしい。

去年のアルバムから。
2074.jpg土壌性アザミウマ。奄美にて。

エレンミラメーザース

去年のアルバムから。
2061.jpgリュウキュウムナビロツヤドロムシElmomorphus brevicornis amamiensis。奄美にて。
※最近、独立種E. amamiensisとなったようです。ご教示頂いた方、ありがとうございます。

河川の岸辺に生息する。陸上植物の根が水中で洗われている所にしがみついている事が多い。背面はブロンドの美しい毛で覆われている。

現地に生息する、とある精霊を攻略する際に必ず立ちはだかり、妨害してくる者。もちろん、この時もこいつのせいで精霊は攻略できなかった。

奄美ギー

2073.jpgシンイチ…『悪魔』というのを本で調べたが…一番それに近い生物は、やはり人間だと思うぞ。

去年のアルバムから。
2077.jpgヒメシルビアシジミZizina otis。奄美にて。

極小種で、民家周辺の芝生などに掃いて捨てるほどいる。風に舞う紙クズのように、大量にチラチラと低空を這うように飛ぶ。ド普通種のため、蝶マニアも跨いで通る駄蝶と見なされている。
しかし、薄曇りの朝に翅を全開したオスの、この南国の海を思わす深い蒼は、あらゆる南西諸島の蝶が持ちうる中で一番上品かつ気高い色である。あの昆虫並の小ささのキクイタダキが鳥の王として、ルクセンブルクの国鳥になった理由が何となく分かる。

今は亡き某出版社が、かつて南西諸島の島々の「蝶採集マップ」というものを出していた。この島のここの山にこの時期行けば、この種の蝶がいる、というのを事細かに記した本で、昔の蝶マニア達のバイブルと言っても差し支えない代物だった。しかし、このマップは比較的早くのうちに絶版になった。乱獲を助長するとか、自然破壊の元凶だとか世間から猛烈に叩かれ、増刷することなく事実上発禁になったためだとも伝え聞いている。
その一方で、いま日本中のどこの釣具屋でも、ピンポイントでここの防波堤にこれこれこういう魚が釣れるみたいなマップは10も20も置いてある。内容としては、蝶採集マップの蝶を魚に挿げ替えただけのものだが、あれはいいのか。

去年のアルバムから。
2075.jpgクマスズムシSclerogryllus puctatus。奄美にて。

オスは、歯医者が歯を削るときのような超高音のキィィィィィンという音を混ぜて鳴く。南方ではまったく珍しくないが、入り組んだところにいるため姿を見づらい。

2176.jpgムラサキシジミNarathura japonica。静岡にて。

正月の最中、あまりにも変に気候が暖かかったせいで冬眠から覚めてしまった個体。翅表は美しいが、めったやたらに開いて止まらない。「能ある鷹は・・」を地で行く典型。

2143.jpgオオフタホシマグソコガネAphodius elegans。九州にて。

大形の糞転がし。生息には牛の存在が必須のように思える。北方の虫かと思いきや、驚くほど南方の島にまで分布している。もう少し綺麗に撮れば良かったのだが、優先すべき別の標的がいたのである。

2175.jpgたぶんホソガタチビシデムシCatops nipponensis。熊本にて。

日本産チビシデムシの仲間は基本的に短足の種ばかりだが、長いものもいる。足長チビシデムシは日本各地に数種おり、好洞窟性のものばかり。この個体は地下浅層の空隙から出た。

コレが出るならば、余裕でアレも出て良さそうなものなのに・・何故出ないのか。

2136.jpgアシナガメクラチビゴミムシNipponaphaenops erraticus

2137.jpg日本随一の、究極のメクラチビゴミムシ。四国カルストの深い縦穴の底にだけ住む。一属一種で、同じ仲間が他に一つもいない。恐らく、ツヤメクラチビゴミムシ属の何かから独自に分かれたものと推測される。

湿気で背面の気門を塞がぬようヒョウタン型にくびれて盛り上がった体形、縦穴の壁面を這うために発達したクモのように長い脚をもつ。ここまで特殊化した体型のものは国内にほとんどおらず、超洞窟種と呼ばれている。しかし、海外の洞窟にはこれよりさらにヤバイ姿の超洞窟種がいくらでもいる。
地下流水に磨かれた、真っ白でなめらかな石灰岩の上を這い回るこの虫の姿は、まさに紙の上に滴り落ちたひとしずくの血液。

こいつほどではないが、地下生活への特殊化著しい日本産種としては、九州のある洞窟にのみ住むキバナガメクラチビゴミムシが知られる。様々な理由により捕獲が至難なことで有名だが、どうにか向こう1年以内に仕留めようと画策している。生きた姿をまだ誰も撮影したことがない。

2140.jpgイラズメクラチビゴミムシIshikawatrechus cerberus

四国の限られた石灰岩地帯の地下に生息。この手の仲間としては珍しく、石下だけでなく洞窟の壁面を歩いているさまが見つかる。本種を含むツヤメクラチビゴミムシ属は四国固有で、種数が多い。
どういうわけか、 Ishikawatrechusはツヤメクラチビゴミムシ属で、イシカワメクラチビゴミムシ属はRyugadous。非常に混同しやすい。