2246.jpgハリナシバチ。フレンチギアナにて。

宿舎そばに伐採地があり、切り倒された木材が散乱している。切り口からはヤニが大量に出ており、巣材としてこれを集めるため無数のハリナシバチが来ていた。強い粘着性を持つヤニに対してある程度耐性を持つハチだが、それでも間違って体をトラップされてしまい、張り付いたまま死ぬ者も少なくない。

2209.jpg飛び立つ瞬間、偶然シャッターを切ったため、まるで歌舞伎役者が見得を切るようになった。

バティス・キマイラ

2245.jpgクサカゲロウの幼虫。様々な生物の残骸、ゴミを大量に背負う百面相。日本の仲間では考えにくい習性だが、なぜか洞窟風の薄暗い岩陰の地面に複数いた。

フレンチギアナにて。

2213.jpg樹上性ゴミムシ。葉から葉へポンポン飛んでいってしまう。役割的に、東南アジアのメダカハンミョウのそれに近い。

Calophaenaの一種だそうです。本属のゴミムシはショウガ科植物の葉上に特異的に生息し、植物から防御物質を得て身を守るという珍奇な生態を持つことが知られています。ご教示下さった方、誠にありがとうございます。


フレンチギアナにて。

魔唆狩拳

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2256.jpgカマキリモドキ。フレンチギアナにて。

修羅念土闘衣

2225.jpgカクレウロコアリBasiceros sp.。

世界一不潔なアリとして名高いカクレウロコアリ属は、中南米固有。じめじめした森床に営巣し、小型陸貝を餌にするらしい。
体表には細かい毛が生えているため、泥や粘土がこびりつきやすい。しかも、危険を感じるとその場でピタッと立ち止まり、5分近く硬直し続ける。知らないと勿論、知ってても発見は至難。
特に巣は、土くれのような多くのワーカー共が、目立つ白い幼虫や卵の塊の上に覆い被さり、じっと動かないので、非常に見つけづらい。生息地では普通らしいが、そんな理由により俺は今までそう何度もこいつらを発見できていない。まさに土使い。

幽遊白書の、割とすぐ死んでいなくなるザコ敵の必殺技にありがちな、やたら凝った当て字のネーミングセンスには、心躍るものがある。

2211.jpgセスジムシ。湿った倒木の裏に生息し、粘菌を餌にするらしい。世界中、実にどこにでもいる分類群。フレンチギアナにて。

ルプートアの鳥娘

2220.jpg宿舎に張ってあった、怪鳥ハルピュアの解説文。顔が人間の女で、胴体が鳥の巨大な怪物が出るらしい。性格は獰猛で、たぶん人の子くらいはさらって食う。

2278.jpgサワガニ。フレンチギアナにて。

筆舌に尽くしがたいほどに攻撃的。逃げ切れない場所で人間に出会うと、ハサミを上げて精一杯威嚇する。頭上に手をかざしただけでも激しく怒り狂い、ハサミを四方八方にぶん回すので、手づかみできない。
しかし、攻撃的なのは臆病の裏返しでもある。

巨獣特捜ジャスピオン

2273.jpg突如現れた、奇怪なる獣。一昔前の特撮モノにありがちの雰囲気。


















2274.jpg実際には、灯火に来たコレを正面から見た姿に過ぎない。南米産イラガPerola sp.。

フレンチギアナにて。

2279.jpgヨコバイ。フレンチギアナにて。

ツノゼミの陰に隠れがちだが、南米のヨコバイはものすごく美しい。ヨコバイだけで写真集が作れるレベル。

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シタバチ。フレンチギアナにて。

南米を象徴する美麗なハチの仲間で、緑や青のメタリックな色彩をしている。種ごとに特定の揮発成分に誘引される性質があり、これはバニラエッセンスに飛来した。

2240.jpgダニザトウムシ。フレンチギアナにて。

触ったら脚を縮めて、頑なに動こうとしなかった。観察している間、どんなに長く見つめていても微塵も動かなかった。なのに、ほんの1分ほど席を外したら、その間にどこかへ消えた。

ダニザトウムシ科Sironidaeは世界的に見てかなり局所的な分布を示すとされる仲間だが、何だかんだでいろんな国で見ている。

2215.jpgメダマハネアリGigantiops destructor。フレンチギアナにて。

南米特有のカマキリ面アリ。俊敏な動きでピョンピョン跳ねて移動し、小さな虫を捕らえて噛み殺す。視力が異常に発達しており、人間の接近には敏感に反応する。見通しの良い葉上に止まっているとき、3mくらい離れたところから手を振ってやってもこちらに向き直るほど。
南米のアリの中では、一番好きな奴。

2239.jpgジンガサハムシの類。フレンチギアナにて。

2244.jpgアリグモ。フレンチギアナにて。

日本のものと同属かは知らない。遠目に見た姿が、同所的にいるハリアリに酷似する。ハリアリは長めのキバが前方に突き出ているが、まるでそれを真似るかのようにこのクモは口元の触肢を前方に突き出している。常時突き出しているアリグモは初めて見た。

大雨の 桶狭間

2277.jpg現地到着後は、車でジャングル内の宿へと急行する。ここの素晴らしい所は、空港からジャングルがとても近いこと。基本的に、海外において空港の至近にジャングルがある国などそうそうない。同じ南米のエクアドルやペルーなど、現地空港に着いてからの移動で丸一日かかってしまうため、とても疲弊する。ずっと車に乗りっぱなしなので、膀胱とも闘わねばならない。
上の写真は偶然晴れているときに撮ったが、この国においてこういう時間は長続きしない。

2269.jpgフレンチギアナは、ひたすら毎日雨ばっかり。雨季(といってもまだハシリ)に行ったため、止み間のわずかな時間にさっとジャングルに出かけてすぐ帰ってこないといけない。思ったように虫探しができず、ストレスフルな日々を過ごすことになる。
しかし、だからと言って乾季に行けばいいかといえば、それでは虫が全くいない。熱帯において虫を少しでも多く得ようと思ったら、必ず雨季(あるいは乾期から雨期への移行期間)に出かけねばならないのだ。ただし、地域によっては雨季になると道路が冠水して移動自体できなくなる。いつ、どのタイミングで行くかを判断するのは、なかなか難しい。

今回、外へ出られない時の時間つぶしのためノートパソコンを持っていったまではよかったが、電源コードを忘れたため大して使い物にならなかった。

2268.jpg雨が止んだら、出撃体勢に入る。心の奥底に眠るBattle Goddessが、目を覚ます。

西洋の空港。
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先日、南米フレンチギアナに行った。今までで最も遠い場所への遠征だった。とにかく飛行機に乗ってる時間も長いし、乗り継ぎがすこぶるよくないため、なお道のりは遠く感じる。

飛行機の中では、ひたすら映画を見る以外に時間を潰す手段がない。何回ジュラシックワールドを周回したか分からない。世間であれだけ騒いでたマッドマックスを、ようやくこの時見た。
アントマンも見た。一部で言われるように、劇中アリの種名に関して若干違和感があったものの、十分楽しめた。ヒーロー物の最後はやはりああでないと。




万由里ジャジメントはどうしてラインナップに入ってないんだよエールフランスさんよ

恋は盲目

2196.jpg美しき至高の地下性生物。

九州の限られた地域の地下空隙に固有。この手の生物としては極めて異例なことだが、その地域には同所的に2種のこれが共存する。極めて微小かつ敏速で、まともに生きた姿を写した者はほとんどいない。

メクラチビゴミムシでネット検索すると、「これの命名した奴は、この虫に何か恨みでもあったのか」とか、「どういう神経したらそんな名前つけようとか思えるんだ」的な内容のコメントが非常に多い。というより、それ以外の議論が見当たらない。
生物の和名は、その分類群の基準となる元の生物の名に形容詞をミルフィーユ状に重ねてつけるため、結果としてそういう名前にならざるを得なかったに過ぎない。間違っても命名者がこの虫を見ていきなり「よし、何か今すげームカついてるからこいつの名はメクラクソチビハゲチャビン・・にしよう」などと思いつきでつけたのではないことは、もっと世間が理解していいと思う。
それにしても、まあひどい名であることは否定しないが。

2263.jpgコマダラウスバカゲロウDendroleon jesoensisの幼虫。長野にて。

すり鉢状の巣を作らないアリジゴクで、苔むした日陰の石垣ではおなじみ。一年中、さまざまな成長段階の個体が同所的に混在しているのを見る。体表面には地衣類がびっちり着いているが、自然に着いたのか自分で着けたのかは不明。

2262.jpgよほどここが越冬には居心地良いのだろうか。今回、一箇所にものすごい数が集中して着いているのを見た。フレーム外にもまだ多数いる。

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剪定された梅の木。長野にて。

オオミスジの越冬幼虫が例年見つかる田園脇の梅の木を訪れたが、一目見てこれはダメだなと思った。この木は長らく毎年剪定されずに放置されてて都合良かったのだが。

松本市街近郊には梅の木があちこちに植わっており、オオミスジが発生する。夏に孵化した幼虫は、枝先の葉に座を作って過ごしているが、秋になると越冬のため葉から細枝を伝い、太枝の方へと移動する。太枝表面のシワの間、あるいは太枝から細枝が分岐する付け根などに定位し、そこで越冬する。
しかし、この地域に植わっている大半の梅の木は、9月末から10月頭くらいにかけて徹底的な枝打ちがなされる。この時期幼虫らはまだ葉先にいるため、全員枝とともに刈り落とされてしまう。だから、秋に枝打ちされた木では、冬に一匹も越冬幼虫が見つからない。

この地域では、大半のオオミスジの幼虫が越冬前に死ぬことになる。しかし、それでも毎年夏には必ず成虫が多かれ少なかれ舞っているのを見るので、うまいこと枝打ちを免れる梅の木が毎年何本かはあって、それに運良く産卵された者だけが生き残っているのだろう。今回、残念ながら枝打ちされていない木を探し出せなかったため、越冬幼虫も見つけられず。
せめてあともう2週間くらい枝打ち期間を遅らせてくれれば、もっと多くのチョウの幼虫が生き残れるだろうに、といつも思う。しかし、まあ農家も仕事だ。害虫をわざわざ生かすために農作業を遅らすなど、常識への挑戦以外の何物でもない。

美しいチョウの舞う暮らしよい町を作るというのは、言うほど簡単ではない。

2265.jpgオオムラサキSasakia charondaとゴマダラチョウHestina persimilisの越冬幼虫。長野にて。

手隙の間に裏山へ寄ってみたはいいが、行った時期が時期だったため、大して探せる虫がいなかった。クモガタガガンボには遅いし、かと言って春フユシャクには早い。岳都の裏山は、季節の移り変わる時期は一時的に虫の影が薄くなり、行ってもあまり収穫が望めない。特にこの時期は、越冬幼虫探しくらいしかすることがない。

しかし、岳都は本当にすごい場所だ。ちょっと街から外れて落ち葉を蹴飛ばすだけで、いくらでもオオムラサキの幼虫が出てくる。今の居住区でこれを見ようと思ったら、一泊するような旅に出る必要がある。夏の日に山道を原付で走っただけで、路上に吸水に群がっていたオオムラサキやコムラサキが一斉に飛び立ち、紙吹雪のように舞う光景が見られるのも、そのうちの一匹が眼球を直撃してハンドル操作を誤り、転倒して死に損なう素敵な体験ができるのも、あの僻地ならでは。

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ミスジチョウNeptis philyraの越冬幼虫も、いつものあのモミジの木に健在だった。しかし、今年は少なかった。

2261.jpgカネコトタテグモAntrodiaetus roretziの巣。長野にて。

薄暗く湿潤な山道の斜面などに、横穴を掘って住む。入口には、観音開きの二枚扉を取り付けて擬装するため、知った上で探さねばまず見つけられない。
発見の至難さから、潜在的にはまだ発見されていない産地が各地に存在すると思われる。しかし、自然度の高い場所に好んで生息する種のため、気付かれず既に開発で壊滅した産地もまた潜在的に多いであろう。環境省の絶滅危惧種だが、特に気遣われることはない。

長野県内でも、本種の記録は非常に少ない。そんな中、俺が大昔に見つけた秘密の産地がある。既知産地かどうかは知らないが、多分公式に存在が明かされていない個体群であろうと思う。ある薄暗い山際の、土砂が詰まった石垣の隙間に営巣している。15年前、最初に長野に来た年に見つけたそこは、かなりの高密度でカネコトタテグモが見られる場所だった。しかし、2011年あたりに周囲の山林が大規模に間伐された辺りから、石垣に直射日光が当たるようになり、それ以後全く発見できなくなってしまった。

先日、無駄だと思いつつもその場所に行き、戯れに探してみた。驚いたことに、何匹か幼体の巣を発見できた。日が当たらない、石垣の隙間のかなり奥の方に営巣し、かろうじて命脈を保っていたらしい。全滅を免れていたことが分かり、ひとまず安心した。しかし、ここが彼らにとって今だ劣悪な状況下にあることには変わりなく、今後注意しておいたほうが良さそうだ。

この手のクモ類は、猫の額ほどの面積のエリアに多数個体が集中して定住する。しかも移動分散能力が桁外れに低いため、おそらく同じ血筋の親子孫がずっとそのエリアから出ることなく代替わりしているのだと思う。よく近交のしすぎで個体群が潰れてしまわないものだと思う。

2267.jpg先日、偉い人の招きにより一時的に古巣へと戻った。電車を乗り継ぎ、岳都に着いたのは夕方。毎度の事ながら、駅を出た途端に迎えてくれたのは大量のムクドリの声だった。

岳都の駅前の街路樹には、毎日夕方になるとおびただしい数のムクドリが集結する。騒音とフン害をもたらすこれらを追い出すため、駅周辺では定期的にムクドリの悲鳴を大音量にてスピーカーで流している。あまり効果があるようには見えないが・・。

長野県内では果樹園の多いエリアを中心に、頻繁にムクドリの悲鳴をスピーカーで流す光景を見る。いつも思うのだが、あの悲鳴はいったいどういう経緯で捕まえたムクドリに、どんな責めを与えて吐かせてるのだろうか。よほどの事をしないと、あんな声は出ないように思う。

2174.jpgヒロシマツノマユブユSimulium aureohirtum。与那国にて。広域分布のド普通種。

この遠征時、絶望をもたらした者。このことに関しては他に知る者がいないため、「知ってしまった者」の責任として何らかの公的な文章にて報告せねばならない。

端的に言えば、また一種この国から昆虫が絶滅した可能性が高いということである。あの場所にこいつしかいない以上、自動的にあの島内、および国内のどこにもそれがいないことがほぼ確実となった。何せ、ド普通種のこいつさえまともに生息できる場所がほとんど残っていない有様である。



ヒント・流水、グッピー、傾斜

2172.jpgムラマツカノコSyntomoides imaon。与那国にて。

東南アジアに分布し、本来日本にはいなかった種。近年、与那国に侵入し、少しずつ分布が周辺の島へと広がりつつある。

2170.jpgウリミバエBactrocera cucurbitae。与那国にて。

悪名高い農業害虫で、かつて沖縄で猛威をふるった。不妊虫の放虫により根絶されたが、再び侵入された時に備えて島内の随所で放虫が継続して行われている。
最近、奄美のほうでこれに近いミカンコミバエが侵入し、現地では非常に問題視されている。しかし、その深刻さとは裏腹に、なぜか不思議なほど全国版ニュースで取りざたされない。
内地の人間にとって、遠い島で起きている事などどうでもいい事らしい。

2171.jpg害虫なのはさしおいて、しかし本当に美しい虫ではある。

2173.jpgキバナガウロコアリStrumigenys stenorhina。与那国にて。

八重山諸島にのみ分布し、林縁の石下に珍しくない。日本産ウロッキーの中では名の通りキバ(というより顔自体)が長くてカッチョイイ。しかし、それでも南米のアゴナガウロコアリ(タスキバアリ)Acanthognathusには、遠く及ばない。