オッドマックス 湿りのデスロード

2221.jpgフレンチギアナの宿舎の壁に張ってあった、周辺地域の見所の説明書き。なんと、洞窟があるという。

洞窟には多くのコウモリがいるほか、大型のウデムシ、さらに暗黒の洞窟生活に特化したストレンジでオッドなスペシメン野郎共がいるらしい。考えたら、海外で本格的な洞窟に入ったことがないため、これはぜひ行かねばならないということになった。

洞窟は、ジャングルの深いヤブをこぎながら30分以上歩いた先にある。常に雨で湿っているヤブをこぎながら進まねばならず、行けば絶対に全身ビシャビシャのずぶぬれになる。雨ばかりの場所なので、一度濡らした服は乾かない。少しでも荷物を軽くすべく、着替えを2着くらいしか持ってきてない身としては、濡れることが分かっているこの洞窟への行程は死道以外の何物でもない。
しかし、この洞窟の魔性、そしてオッドなスペシメン野郎共に取り憑かれてしまった俺は、一度ならず二度もこの死道を通って洞窟に足を運ぶこととなる。

オギャー

2312.jpgカギムシの顔。

半開きの眼のような部分は眼ではなく、獲物を捕らえる粘液を飛ばす分泌器官である。口は輪切りにしたパイナポーのような奇怪な形状をしており、普通の昆虫などとはかなり異質に見える。

かつて深夜に放送されていた残虐アニメ「ブルージェンダー」は、荒廃した近未来の地球を舞台に凶暴な巨大昆虫BLUEと人類の殺し合いを描いた作品。作中、あきらかにこれをモチーフにして作ったであろうBLUE(ダブルボート型という識別名)が出てきたのを覚えている。もっとも、あれはツノの先端から粘液を発射する仕組みだったが。
OPの「さー解ーき放てー」の所でコンクリの壁を破って突撃してくるが、すぐアーマーシュライクの砲撃で穴だらけにされる奴。分かる人だけ分かればいい話。

当時アニメ雑誌に特集されていたBLUEの設定資料を保管していたはずだが、もはや行方がわからない。考えたら、BLUEの存在が最初に確認された舞台設定の年は来年ではないか。そして、人類とBLUEの最終決戦の地が、ギアナ高地だった。

久々にホーチャンの歌聞くか・・・

異世界ハルケギニア

2310.jpgカギムシ。フレンチギアナにて。

世界各地の熱帯に局所的に生息する、よくわからない生物。どこの産地でも非常に稀で、野外から見つけ出すのは破滅的に至難。南米は比較的打率の高い地域というが、それでも今まで発見できたためしがなかった。今回、人生初めてこれを見つけ出すことに成功した。

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全身ビロード状の質感で柔らかい。ナメクジにも見えるが、ちゃんとツメを伴う脚がある。有爪動物という、現世で他に似たものの見当たらない特殊な分類群に属する。相当古い年代に地球上に現れた分類群で、かつては種数も多かったらしいことが化石により判明している。節足動物と環形動物の中間に位置する生物と長らく言われていたが、今では両者の類縁性は否定されているらしい。結局、今はどういう位置づけに落ち着いているのだろうか。

顔の下から粘液を発射し、他の小動物を捕らえて食う。

2233.jpg南米特有のカメムシArocera apta。フレンチギアナにて。

体長は2cmない。一部の本でナンベイジンメンカメムシの名で紹介されている奴。東南アジアのジンメンカメムシCatacanthus incarnatusに通じる雰囲気はあるが、残念ながら言うほど人面には見えない。

ジンメンカメムシといえば、最近とある図鑑にジンメンカメムシがオオアカカメムシという、聞いたこともないばかりか何のひねりも面白みの欠片もない名で載っているのを見た。まーた頭の硬いお偉方が、すでに一般に馴染みやすい名が広まっている生き物に今更無味乾燥な名を新しく付け直したのかと思ったが、実はオオアカカメムシの方がずっと先に付いていた名だったらしい。

2320.jpgアマガエル。フレンチギアナにて。

もう少しストロボを工夫して撮りたかったところだが、何せカエルが表に出てくるときは土砂降りのときと相場が決まっている。そして、この国の土砂降りは日本でいうそれとは規模が規格外である。雨天下でカメラやディフューザをぬらさず、納得いく写真を撮るのは難しい。

2326.jpg日本のゴマダラチビゲンゴロウを、日本のキベリマメゲンゴロウくらいにしたような奴。ジャングル内の水たまりにいる。

フレンチギアナにて。

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2327.jpg緑の蛾。フレンチギアナにて。

チョウでこういう全体が抹茶みたいな緑の奴は、なかなかいない。

2241.jpgカニムシ。洞窟で見た訳ではないが、眼が完全に退化した種。

2280.jpgササラダニ。

フレンチギアナにて。

最弱無敗

2212.jpgゾウムシ。フレンチギアナにて。

ジャガイモと爪楊枝と竹串だけで再現できそうな形をしている。子供の悪ふざけで作られたような、あまりにも適当でいい加減なデザインに見える。しかし、この姿は遥か古より続く厳しい生存競争の中で磨かれた、現状こいつにとっての究極形態。今まで滅びず生き残ってきた、強きものの雄姿だ。

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2317.jpg美麗な蛾。上はヒトリガだが、下は何だ。

2321.jpgヤガかシャチホコのどっちか。

折れ枝に似せているばかりか、菌類に冒されて朽ちた雰囲気まで再現している。ように人間の眼には見える。

フレンチギアナにて。

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2324.jpgカイコ。フレンチギアナにて。

2272.jpgアジアのニトベシロアリに似たシロアリ。1cm弱ある大形種。兵隊はへちゃむくれな顎を持ち、敵襲の際には巣の出入り口に陣取る。この顎で、侵入を試みる敵をはじき飛ばす。

2319.jpgメダマヤママユ。フレンチギアナにて。

脅かすと翅を広げて、目玉模様を見せつける。南米にはこの手のヤママユの種数がすさまじく多く、種毎に目玉の雰囲気がぜんぜん違う。また、脅しても反応が鈍い種もいる。

空中艦フラクシナス

テナガカミキリと言えば、やはりコレを見ない奴は男じゃない。
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2217.jpg便乗する乗組員Cordylochernes scorpioides。テナガカミキリの、普段翅に覆い隠された腹部背面には高率で取り付いているので、あまりに有名。基本的に移動手段としてカミキリを使うため、カミキリには害をなさないと言われる。時に、同じくカミキリに取り付くダニを食うとも言われる。
体長およそ6-7mmと、この仲間の生物としては破格の巨大種。日本で洞窟や地下のネズミの巣から出るヤツとほぼサイズも見た目も同じに見える。

2218.jpg一番多くしがみつかれていたオス。実に6匹もいた。それぞれ川越、幹本、中津川、箕輪、椎崎、神無月と名付けた。
どの個体も腹節のわずかなヒラヒラを、片手で掴んでいるだけだが、それでも飛行中は強力な羽ばたきの爆風に飛ばされない。たいしたものだ。


上で触れたが、カニムシは虫だけでなく、小型哺乳動物など様々な生物の体に便乗する。種によって、しがみ付く相手の生物分類群にゆるい特異性があるように思える。昔、マレーシアのジャングルで倒れた竹を踏み割った際、中から体長1cm位の真っ赤な超巨大ヤドリカニムシを出したことがあった。毎年のようにさんざ通った場所だが、そいつを見たのはその一回きりだけ。現地には地下性の大きなタケネズミや巨大オニネズミが生息するため、本来はそれらの巣や体にでも寄生しているに違いない。
あいつはこれまでの人生で見たカニムシの中でも最大サイズで、これを越すサイズのものを未だ国内外のどこからも見つけていない。写真だけ撮ってそのまま逃がしてしまったが、今思うともったいないことをした。