塩湖の連中。
2595.jpgカマバエ。日本の奴と大差ない外見の種で、水際で羽化してくるユスリカを捕らえて殺す。かなりの生息密度。

2591.jpgミギワバエ系も。水面の有機物を舐め取っているらしい。

2602.jpg日本のキシベコモリグモとどこが違うのかわからないような奴。尋常でない数がいた。

2590.jpg塩ユスリカ。

塩湖から大量に発生する。たいてい、湖のほとりの草に止まっていて、下手に草を揺らすと一斉にブワーーーッと大群で飛び立つ。そして目やら耳やら口やらに入ってくる。
この潮湖の水中における生態系は、著しく単純である。しかし、岸部周辺では、発生したユスリカを食い物にすべく、想像以上に多くの生物が集まっていた。さらに、温泉の噴き出し口周辺には、熱も塩分ももろともしない珍奇な者たちが集結していたのだった。

2592.jpg得体の知れない双翅の幼虫軍団。吹き出し口にのみ高密度でいた。

びゃあ゛以下略

2588.jpg塩湖のほとりに、灼熱の温泉が湧き出る箇所がある。ここは自由に降りられる観光スポットで、湯を浴びるもゆで卵をつくるも勝手。この湖へ行くゲート手前で鶏卵を買うことができ、ここに持って行ってゆで卵が作れるのだ。塩分を含むため、自然に塩味がついてそのまま食える。温泉があればゆで卵を作るという風習は、万国共通であることを知った。
ただでさえ熱いサバナで、むせ返るような熱蒸気を浴び続けるとさすがに参ってしまうが、卵はうまかった。よほどマスオさんにならってアレを言おうか迷ったが、周りの人々から将来を心配されそうなのでやめた。

2603.jpg熱水の吹き出し口周辺の岩には、びっちりと塩の結晶が析出していた。いかにここの水が塩辛いかを物語る。


2589.jpgフラミンゴを見て温泉でゆで卵を作って、これで終わりかといえば、終わりな訳がない。いかなる環境であろうとも、たとえ死の間隙にあろうとも虫を探すのが俺の仕事だ。

2601.jpgケニア、マリガット滞在中一日だけ、有名なボゴリア湖という場所に物見遊山で出かけた。フラミンゴがアホみたいにたくさんいる湖だ。

2599.jpgここは極めて高濃度の塩分が含まれた塩湖で、水中にはほとんど生物が存在しない。いるのはラン藻類と、塩分耐性の強いユスリカだけと言われている。このラン藻類を餌とするため、夥しい数のフラミンゴが飛来する。タンザニアの方から飛んでくるらしい。遥か数キロ先からも水面がピンクに見えるくらい高密度で集まっている。しかし、これでもまだ少ない時期だというから恐ろしい。
この湖は原則として、車で周回する規則になっている。動物保護のため、ある決められた場所を除いて湖のほとりを勝手に徒歩で歩いてはならない(地元民は誰一人守っていない)。
車で湖のほとりの、許可された距離まで近づくと、まるで雨でも降っているような音がする。こちらを警戒して徒歩で逃げるフラミンゴ達の足音である。

2600.jpg水面や水際には、抜け落ちたフラミンゴの羽毛が沢山浮いていた。転々と死体も転がっていた。これだけ大量にいれば、毎日何羽かは寿命で死ぬだろう。

2598.jpg死体を目当てに、サバナ名物ハゲコウが来ていた。ハゲワシよりも禍々しい雰囲気の怪鳥だ。この鳥は、遥か上空をトンビのように旋回しながら、地表に横たわる動物の死体を探す。この旋回は恐ろしくゆっっっくり、ゆっっっっっっくりなのが嫌らしい。陽炎燃え立ち霞む灼熱のサバナで、ふと見上げた空に2-3羽のハゲコウのスロー旋回を見つけると、本能的に死の恐怖を覚える。

2605.jpgヘリカメムシ。ケニアにて。

アカシアの枝で、卵塊を保護していた。ヘリカメでこういう事する奴は他にいただろうか。

2606.jpg外見は異なるが、何となくシオカラトンボに近そうな奴。ケニアにて。

2557.jpgカマキリモドキ。ケニアにて。

サバナでは夜間、灯火におびただしい数のカマキリモドキが飛来した。今まで世界中で灯火採集をやってきた(本当は自分でやったのではなく他人のこじきだが)が、ここ以上にコレが多い場所はなかった。ただし、飛来するのは1cmちょっとしかないヒメカゲロウ並のしょぼい種ばかり。
次々に飛来しては、手近にいる蚊やら蛾やらをバシバシ捕って勝手に食っている。

2568.jpgヒヨケムシ。ケニアにて。

ヒヨケムシ目はクモの親戚筋で、主にアフリカや中東の砂漠地帯に分布する。夜行性で、日中は砂の中に巧みに隠れており、日没と共に砂の上を素晴らしいスピードで疾走する。顔に付いた一対の強靱なハサミで、出会った小動物を瞬時に生きたままズタズタに切り刻み、食らいつくす。
この仲間はペットとして人気があり、日本では盛んに売買されている。脚が8本で外見はクモだが、腹部はぶにょぶにょしている上に毛深く、毛虫そのもの。言わば、毛虫とクモの合体生物。好きな人にも嫌いな人にもたまらない仕様となっている。

今までナマで生きたものを見た事がなかった、最後のクモガタ。これをもって、世界に現存する全クモガタ目を征服した。

かんぽの+

2569.jpgサバナのオオアリCamponotus sp.。ケニアにて。

猫背。オオアリの属名はラテン語で「弧を描く背」を意味する、と記憶している、

このアリは、今回の調査地のうちあるエリアに限って出現した。そしてそこで夜間灯火をたいた時、非常に特異なヒゲブトオサムシが飛来したが、それもその場所でしか得られなかった。まさか。

2578.jpg
2574.jpgコイチャコガネ。アフリカにもたくさんいる。ケニアにて。

5月5日の

2572.jpg
2571.jpgサバナの木の上に引っかかっている、不自然な丸太。最初これが何なのかよく分からなかったが、近くまで寄って養蜂ミツバチの巣箱であることを知った。丸太をくりぬいて、内部に住まわせている。いわゆるアフリカミツバチApis mellifera scutellataのようだ。攻撃性が未知数のため、ちょっかいは出さないでおいた。

最初これを見たとき、大木の枝の又部分に丸太を渡してあったため、これは原住民が思い出作りのために幼木の又に丸太を乗せ、それが大きく育った様を数十年後に見て当時を懐かしむ風習なのかと思った。
「ほら、あの時手の届く所に置いた丸太が、今はあんな高い所に上がったぞ」みたいな。考えたら、木の枝の又に丸太を乗せたところで上に上がりはしないか。

2583.jpg木に止まる鳥。中央よりにいるのが鵜、端にいるのはハダダ・アイビス(朱鷺)。

ハダダはケニアには街中から田舎まで、至る所で見る奴。こいつの特徴は、何と言ってもそのクソやかましい声である。名のハダダは鳴き声に由来するらしいが、実際にはそんな鳴き方などしない。芸当もへったくれもなく、
「ア゛ッーーーーーーーーーー!!
ア゛ッーーーーーーーーーー!!」
と叫びまくる。ギャグアニメに出てくる怪鳥の声そのもの。マンションで、文鳥の代わりに飼うような鳥ではない。

ケニアで一番好きな鳥になった。

2582.jpgミイデラゴミムシ。ケニアにて。

カメルーンではもっと色の濃い奴しかいなかったが、ケニアでは明るい色彩の奴ばかりだったのが意外。明らかに黒っぽいタイプのミイデラに擬態しているとしか思えないアトキリゴミムシとかいたのに。

だちゅう

2584.jpgケニアにて。

2586.jpgいかにも日本のカワラバッタに近縁そうな砂漠のバッタ。ケニアにて。

灼熱の日差しに参って木陰で休んだ時、ふとこのバッタが陰に入ってきているのを見つけた。「お前は砂漠に適応した生物のくせに、日陰で休むとは甘えにも程がある。アリを見習え」と説教してから、木の枝を使って日向へとバッタを押し出した。直射日光にさらされたバッタはすぐさま爪先立ちとなり、少しでも地面から体を浮かせて地面の熱を避ける体制をとった。そして、脚を交互に左右に上げ下げする行動をとり始めた。
ほら、やはり熱いところでも平気な術をもっているではないか。そう思ってさらに日向にバッタを押し出したら、さすがに慌てふためいてどこかへ飛び去った。砂漠の虫も炎天下にはあまりいたくないことが分かった。

ギドウカブリ

2585.jpg夜間、キノコシロアリOdontotermes sp.の形成した採餌用シェルター(蟻道)に首を突っ込み、シロアリを食い漁るゴミムシCypholoba sp.。ケニアにて。

この仲間は、アリやシロアリを専門に襲うらしい。まあ、地表でまとまって手に入る餌動物がアリかシロアリしかいない環境なので、そうなるのは必然か。
もともと穴が開いているところに首を突っ込むのではない。周りの土の地面と蟻道とをちゃんと区別できており、何も傷のついていない蟻道上まで歩いてきて、突然長い首をズボッと刺し入れる。その体制で数秒間内部を物色し、後ずさりして出てくると、既に数匹の哀れな贄がまとめて彼奴の大あざとの狭間に息絶えている。
周囲のシロアリどもに気取られて反撃されるか逃げられるのを警戒してか、食事は蟻道から少し離れたところまで歩いてから行う。全部食い終わると、また蟻道上まで戻ってきて同じ行為を繰り返す。

ストロボの設定を間違ってしまい、せっかくの貴重な捕食シーンを暗く撮ってしまった。その後数回この捕食シーンを見るには見たのだが、撮影しなおせなかった。何故かはこのへんの事情からお察し下さい。

2544.jpgゴツゴツしたヒシバッタらしき者。2cm弱あった。ケニアにて。

2514.jpg日本のヤマトオサムシダマシを思わせるゴミダマ。多い。ケニアにて。

2516.jpgダルマガムシにしか見えないが正体不明の者。夜間、川縁の灯火に多数飛来する。

ケニアにて。

2517.jpgレインボーアガマAgama agama。アフリカではおなじみ。ケニアにて。

英雄譚

2608.jpgオオキノコシロアリMacrotermes sp.。ケニアにて。

地下でキノコを栽培して餌にする、大型種。アジアにもいるが、アフリカにいるものはことさらに巨大。複数種いるようで、今回見たのが何かはわからない。

兵隊カーストに二形あり、でかいほうは2cm弱もある。巣を破壊されたり、夜間採餌用の行列が巣外へ繰り出されると、表に姿を現して警護にあたる。
こいつの攻撃は苛烈かつ容赦ない。危険を感じると、大きく硬い頭を高速で地面に複数回叩きつけて威嚇する。一匹やると、両隣の個体も触発されてやり始め、やがて波状にそれが広がっていき、ザザァーーッという大きな音になる。
それで敵が引かない場合は、武力介入が始まる。敵に向かってものすごいスピードで、一回だけ頭を前方に突き出す。その際、鋭利なキバを一回だけ閉じて噛み付く。瞬間的に、一度の攻撃の中で突き刺しと噛み付きを同時に繰り出す。そのため、もろに噛まれた場合はもちろん、キバが掠っただけでもこちらの指の皮がスパッと裂かれ、噴水の如く鮮血が散る。軍手や衣服の生地を裂くことすら造作もない。別名・一刀修羅。

2609.jpgたった一匹にやられてさえ大ダメージは免れないのに、こんなのが一つの巣に無限にいるのだからたまらない。しかし、大型動物に対しては遺憾無く効果を発揮するこの一刀修羅も、肉食のアリの集団に対しては比較的無力。

2607.jpg
アフリカのオオキノコシロアリは、虫そのもののみならず巣のサイズも巨大だ。赤土を唾液で固めて、塔のような蟻塚を形成する。オオキノコシロアリの仲間は、程度の差はあれ蟻塚を作る種が多いが、アフリカの奴は高さ3m以上にもなる煙突を塚から伸ばす。

2610.jpgある日の夜、たまたま低い煙突の塚を見つけ、何の気なしに煙突すれすれに手をかざしてみた。途端、異様に熱く湿った風を感じて反射的に手を引っ込めてしまった。最初、日中強い日差しにさらされて巣内にこもった熱気が出て行っているのかと思ったが、多分違う。巣内でシロアリが活動する上で発生する代謝熱が放出されているのだろう。まさに生命そのものに手を触れているのだ。

ラヴァーズ

2570.jpg巨大マダニ。ケニアにて。

恐らく周囲で放牧されている牛やロバに付いていたであろうもの。飽血してから少し時間が経ち、萎みかけだがそれでも2cm以上ある。サバナの石の下に出来た、小さな空隙に収まっていた。

最初見つけた時、何なのかわからなかった。一見、歯のようにも見えたため、こっちの原住民が子孫繁栄やら願って、石の下に抜けた葉を隠す風習でもあるのかと思った。それにしたって、えらいでかい歯だなとは思ったが…
見つけたのは俺だが、たまたま近くにいた同行者がすぐさま横から掠め取り、写メを即時ツイッタで全世界に拡散してしまった。

マダニは、アフリカを代表する睡魔族が一人。家畜のみならず人も攻撃し、魅了スキルとして幾つかの深刻な熱病を行使する。アフリカのマダニが持つ一番恐ろしい病は、クリミアコンゴ出血熱。魅了にかかると、高い確率で命を落とす。予防法は、マダニに刺されないことのみ。

人攫いの睡魔

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イエカ。ケニアにて。

朝方、宿の壁にいた。飽血しているため、昨夜誰かから夢枕に精を吸い取ったのだろう。

東南アジアの都市部では、割とイエカには油断して刺されてしまうのだが、アフリカではそうはいかない。西ナイル脳炎や象皮病といった、恐るべき魅了スキルを持っている可能性が否定出来ないから。今回、夜に蚊に刺されないよう、細心の注意を払った。

東南アジアでも、豚を沢山飼っているような田舎では日本脳炎のリスクが極めて高く、イエカの恐ろしさを過小評価すべきではない。マラリアなど、大概の蚊媒介性伝染病が駆逐されている日本国内でさえ、今だ日本脳炎は存在するのだ。

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地味きわまるシロチョウ。ケニアにて。

タスカーで助かる

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ケニアを代表するビール。炎天下での過酷な調査を終えたら、夜はいつもこれを皆で空けた。実のところ、今までビールというものをそんなに旨いと思って飲んだことはなかったが、今回純粋に旨いと思った。

グラスにビールをいきなりダバダバ注いだら、傍にいた偉い人が「本当にお前は莫迦だな。注ぐときグラス傾けなきゃ泡だらけになるだろうが」と講釈を垂れてきた。むかついたので、以後ビールを注ぐときはこれでもかと言うほど泡だらけにしてから飲んでやった。
モルツは泡まで旨いのだ。

2577.jpgイトグモらしきクモ。ケニアにて。

サバナのガレ場で石起こしすると、たまに出る。いかにも砂漠のクモらしき外観。見た目はなよなよした軟弱生物だが、油断ならない。怒らせないよう、岩をそっ閉じ。

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2534.jpg砂漠のゴミダマ。ケニアにて。

この丸いのと長めの奴は、大抵セットで同じ石下にいる。

2536.jpg超巨大ゴミムシ。ケニアにて。

日本のオオオサムシよりもでかい、いかにもアフリカの乾燥地にいるようなゴミムシ。日中派手にぶっ壊したオオキノコシロアリの塚周辺に、夜行ったらいた。捕まえるときには細心の注意を払った。砂漠にいるこういう黒白模様の巨大ゴミムシには、下手に刺激を与えると強力な毒液を敵の顔面めがけて1m近くも飛ばす奴がおり、とても危険だから。

スカラ座

2581.jpg偽糞転がしGymnopleurus sp.。ケニアにて。

一見、スカラベに似ているが全然違う分類群のもの。しかし、スカラベ同様に逆立ち糞転がし行動をちゃんとやる。この仲間は種により、青や緑の金属的な色彩をしていて美しい。

2558.jpgスカラベ。たぶんScarabaeusの何か。

Scarabaeusの面々はファーブル昆虫記にも登場した、古代エジプトで太陽神ケプリの化身としても崇められた、本家本元正真正銘の糞転がし。この種は夜行性で、日中は砂中に隠れている。また、日没後すぐさま活動を開始し、すぐさま周辺の牛糞を調達して地中に隠れてしまう。そのため、ちゃんと転がしている姿はあまり見られなかった。