2740.jpg
アオヤガラFistularia commersonii。奄美にて。

人が釣ったやつ。間抜け面してるのに、信じがたいほど獰猛で攻撃的。弱小な魚を執拗に追い回し、一瞬で吸いこんで丸呑みにする。

2732.jpgオオクチユゴイKuhlia rupestris。奄美にて。

南西諸島の河口ではお馴染み。俺が釣ったのではない。

2764.jpgツヤオオズアリPheidole megacephala。奄美にて。

海岸など乾燥した荒地にはきわめて普通に見られる。コロニーサイズが巨大で、なおかつ繁殖力が強いなどの理由から、本来いなかった場所に持ち込まれて定着すると土着生態系に悪影響をなすことが懸念される。そんなわけで世界的には挙動が警戒されている生物だが、少なくとも日本では本種が何か生態系に問題を起こしている雰囲気はない。
日本のこれの巣内には強力な捕食寄生性のダニが高頻度で寄生しているため、常軌を逸した増殖は抑えられているらしい。「アリの巣の生きもの図鑑」(東海大学出版部)には、そのダニの目くるめく生態が掲載されている。

これに限った話ではないが、オオズアリの仲間は野外で生きたまま撮影するのが結構難しい。素早く動くのに加えてサイズが小さいこと、形態が立体的過ぎることが原因。特に大型働きアリの場合、側面から撮影する際に胴体にピントを合わすと眼にピントが合わない。眼にピントを合わすと胴体にピントが合わない。
しかも、オオズアリ類の大型働きアリは警戒心が強く、特にこのツヤオオズの場合夜間でないと表に出てこないのである。しばしばオオズアリの大型働きアリは「兵隊アリ」と呼ばれることもあり、外敵との戦いに特化した勇猛なカーストのように思われている。しかし実際はとんでもなくチキンであり、よほど巣内をもみくちゃに破壊しない限りはまず人間に向かってこない。彼らの仕事は戦いではなく、行列を塞ぐ障害物をどかすブルドーザーとしての役割が大きい。これは同じく大型働きアリが巨大・巨頭化する東南アジアのヨコヅナアリでも言えることである。
真に大型働きアリが「兵隊」としての役務のみに特化しているのは、中南米のグンタイアリくらいしかいない。だから、近年のアリに関する論文において、大多数種のアリ種でみられる大型のワーカーの事はソルジャーではなくメジャーと呼ぶようになっている。「兵隊アリ」という言葉は、今や限りなく死語に近い。

2731.jpgミナミクロダイAcanthopagrus sivicolus。奄美にて。

人が釣ったやつ。見るからにフィッシュイーターではない見てくれなのに、ルアーを投げるとすぐにかかってくるらしいことを知った。食う目的ではなく、単に好奇心が強くてヒカリモノを追いかける習性があるようだ。

2730.jpgハクセンシオマネキUca lactea。奄美にて。

お辞儀中。湿った地面から水分を補給するため、腹面を地面に付けている。

あまりの存在のどうでもよさに、公共機関に配ったら即刻ビンに詰めて海に捨てられそうな「守りたい日本の絶滅危惧種ポスター岩礁礫浜編」。2773.jpg
申し訳ないが「環境省以下略

2645.jpg
降臨した標的。

あまりにも素早く、警戒心が強い。カメラを近づけるという動作が困難。しかも樹幹の高い所にしか来ず、そもそも手が届かない。仕上げにアリに対して行動をなす前触れが一切なく、0.5秒も立たずにそれを終えて視界から消えるので、撮影は究極に至難を極める。正直、ピントを合わせられただけでも及第点といえる。

これが何者かについては、まだ明かせない。どこか別の所でその姿を眼前にさらすであろう。

2635.jpg胸赤ツヤハダアリLiometopum microcephalum。ギムレーにて。

2636.jpgツヤハダアリ属はカタアリ亜科の一群で、ヨーロッパやユーラシア大陸、北米に分布する北方系の面々。日本には全く存在しない。樹幹の腐朽部などに大規模なコロニーを形成し、長大な採餌行列を伸ばす。チェコでは、オーストリア国境に近い最南部の森に行かないと見ることができないが、そこでは比較的普通に見られる。

2772.jpgかなり攻撃的で、行列に立ち入る他の生物には何にでも襲い掛かる。生態的にはクサアリに似るが、見た目はアカヤマアリの小さい個体の雰囲気がある。カタアリの例に漏れず、掴むとへんな薬品臭が漂う。カタアリの仲間は、体内にアリとしてはかなり異質な化学物質を蓄えているため、種によりすごくいい匂いかすごく嫌な臭いを出す。

実は、今回の最大の標的はこのアリと密接に関わる。それに会うためには、晴天高温時にこのアリの巣の前で張る以外にない。日差しが出た午後、かすかな羽音を立ててそれは降臨する。

気色悪リィ

2727.jpgキショクアリFormicoxenus nitidulusチェコギムレーにて。

この属は他種のアリの巣内に勝手に住み着く、寄食の習性を持つ仲間。高率で、塚作り赤ヤマアリの塚に見られる。日本のトフシアリによく似たニッチを占めている連中だ。外見もトフシアリっぽいが、何だか変に動きがヌルヌルしてるし、体はいやらしく艶めくし、見ていて異様な気分になるアリ。

この属のアリは日本には存在しない。

2768.jpgヨーロッパアカヤマアリFormica rufa。ギムレーにて。

ヨーロッパを象徴するアリの一つで、枯れ草を集めて大きな蟻塚を形成する。日本では衰亡著しい塚作り赤ヤマアリだが、こっちではまだそれなりに普通におり、住宅街そばの公園でも高さ1mくらいの塚が見られる。

日本のエゾアカヤマアリなんかよりも大柄で、体格もガッチリしている。しかも戦闘力が53万あるため、丸腰で塚にちょっかいを出せば数百数千の戦闘員から激しい攻撃を受けて伸される。しかし、これの塚の中心部にはかなりいい宝が隠されているので、負けると分かっていても喧嘩を売らねばならない。

くっ殺

2643.jpgヨーロッパクロクサアリをはべらすクチナガオオアブラムシStomaphis sp.。ギムレーにて。

日本にもいるクチナガだが、ヨーロッパだと日本では付かないような樹種にも見られる。今回、カエデ、ポプラ、ハンノキ(?)、ナラ(オークウッド)の仲間から見つけることができ、それらすべてがヨーロッパクロクサアリの庇護下にあった。

この種はオークウッドの巨木の根元に付いていたものである。向こうのクチナガ全般に言えることだが、日本のヤノクチナガ、アカメガシワクチナガなどとは異なり平滑な樹幹表面にほとんどおらず、深いシワや溝の奥に挟まるように定位しているため、無傷で採集することが極めて至難。

2771.jpgオークウッドの巨木の根元、略してオークの巨・・

2633.jpgカドフシアリMyrmecina sp.。ギムレーにて。

アジアの温暖地域にしかいないつもりでいたが、ヨーロッパにもいるのか。土壌性で、開けた場所を基本的に出歩かない陰気なアリ。ササラダニを専門に餌にするらしい。

インドネシア・ジャワ島には、わざわざ家畜として巣内で特殊なササラダニを飼育する種も存在し、発見時にはアリ研究者の間でのみ大いに話題になった。しかし、この種は現在、ジャワ島の著しい人口増加にともなう苛烈な環境破壊により、すでに絶滅している可能性が高い。数年前、その種の世界で唯一確実な産地たる植物園に行って探したが、既にこの当時時点で三日くらいかけて園内の数百個の石を裏返して、たった1コロニーしか見つからなかったのだ。

2642.jpgハマダラカAnopheles sp.。ギムレーにて。

翅に斑はないが、見るからにハマダラカと判別できる種(口吻並に長い小顎鬚、斜めに止まる体勢などによる)。外見と分布域からググレカス画像検索する限りA. plumbeusというのに近そうだが、蚊のシロート童貞同定ほど世の中に有害無益なものはないので信用してはならない。

正直、北海道より高緯度のヨーロッパにマラリア媒介蚊の仲間がいるというのが驚き。もっとも、この種に媒介能があるかどうかはよく知らないが。なお、これが本当にA. plumbeusであるなら、潜在的に媒介能がある(Schaffner et al. 2012)。
用心深い種で、こちらが気にしている間は決して着地しない。何かに気を取られている隙に、肘などを攻撃する。

Schaffner, F., Thiéry, I., Kaufmann, C., Zettor, A., Lengeler, C., Mathis, A., & Bourgouin, C. (2012). Anopheles plumbeus (Diptera: Culicidae) in Europe: a mere nuisance mosquito or potential malaria vector?. Malaria journal, 11(1), 1.

よし。

2770.jpgよし。

2769.jpgギムレーの夜。驚くべき事にこの明るさで夜9時過ぎ。

高緯度地域たるここは、いつまでたっても日が暮れない。日本の夕方6時位の明るさが延々続く。日没後、完全に暗くなってからでないと活動しない生き物を観察するためには、相当な深夜まで待たねばならないので、物凄く疲れる。

2728.jpgナガアリStenamma sp.。ギムレーにて。

毒にも薬にもならないような虫。目立たず、いても誰にも気づかれない。

この仲間は、生態的に見て特に顕著な行動は知られていない。でも、我々が知らないだけで、実際にはすさまじい生態、能力を持っているのかも知れない。しかも、その発見により、現在の地球上に数多存在する諸問題の大半を解消する技術が開発されるかもしれない。毒にも薬にもならなそうな虫にこそ、夢が隠されている。

2637.jpgヒョウホンムシかシバンムシのどっちか。ギムレーにて。

ヨーロッパクロクサアリの巣口近い地面にいた。当然、アリと関係あるはずがない。

2767.jpgセイヨウフタオビアリヅカコオロギMyrmecophilus acervorum。ギムレーにて。

擦り切れて汚損した幼虫。ヨーロッパでは一番普通に見られるアリコロで、主にヤマアリ亜科の巣から出る。あまり厳密に寄主を選ばない。また、普通と言っても日本のアリコロほど数は採れない。ここは地球上で、アリコロという分類群がギリギリ住める北限に近いエリアだ。

2640.jpg日本のプライアシリアゲみたい奴。ギムレーにて。

「ドーン!」× 「ダァァーーー!」○

2632.jpg大陸トビイロシワアリTetramorium caespitum。ギムレーにて。

ヨーロッパには広く分布する。日本のトビイロシワアリT. tsushimaeと外見は何も変わらない。事実、長年同種とみなされていた。真のT. caespitumは、日本に存在しない。概ね日本のトビシワと似たような環境で営巣してるのを見るが、巣内にいる居候の顔ぶれが日本のトビシワのそれとは常軌を逸するほど違うため、見ていて頭が変になってくる。
こういう外国にいる、日本にいるのと外見が同じアリ類の、実は全く別物である事実を生々しく突きつけられた時の感じ。笑ゥせぇるすまんを視聴している際の、あの感覚に相通じる。

中学の頃、録画した笑ゥせぇるすまんを連日繰り返し見過ぎたせいで、学校の成績が深刻なレベルで落ち、家で笑ゥ箝口令が敷かれたことがある。
喪黒が客に指を突きつけてアレをする瞬間を、エンドレスで何度もスロー再生するのが、あのアニメの通の見方。

T. caespitum内には、近年T. impurum等の隠蔽種が複数混ざっていることが判明し、それらは外見で区別することが極めて至難との事です。ご教示いただいた方、ありがとうございます。

鳶色折紙

2631.jpg大陸トビイロケアリLasius niger。ギムレーにて。

外見は日本のトビイロケアリL. japonicusと何も変わらず、事実長年同種とみなされていた。真のL. nigerは、日本に存在しない。森のやや湿った朽ち木には、たいてい営巣している。巣をぶっ壊されたので、小さな身体で最大限の怒りを主張する。

この国では、シロアリに食われた朽ち木を見かけない。森の中で穴だらけに食われたような朽ち木は、大抵ケアリが巣くっている。

※L. platythoraxという酷似種がおり、上の個体はnigerではないかもしれません。現在確認中です。ご教示下さった方、ありがとうございます。

2634.jpgヨーロッパクロクサアリLasius fuliginosusチェコギムレーにて。

日本のクロクサアリL. fujiと外見は瓜二つ。事実、かつては同種とみなされていた。真のL. fuliginosusは、日本に存在しない。ヨーロッパには、これ1種がべたっと広く分布しているらしい。対して狭い島国たる日本に、外見は大差ないとはいえ5種ものクサアリがいる事実は、驚嘆に値する。
しかも近年、この5種の中にさらなる複数種が隠されている可能性が指摘されている。

2639.jpg草原地帯。

この時期、この国はカラッと晴れる日が続く節理になっているらしいが、どういうわけか俺が行った3日間だけピンポイントで狙い澄まして、例外的な低気圧の襲来を受けた。おかげで、多少晴れたのは最終日の午後のほんの短い時間帯だけという惨憺たる状況に。2-3年前を境に、突然雨男になってしまったらしく、だいたい遠出すると過酷な悪天候にピンポイントで襲われるようになってしまった。
今回の一番の狙いたる生物は、晴天の気温が高い時にしか活動しないため、悪天候は致命的だ。

2638.jpg見慣れないカミキリが草むらに。

アブソリュートソー

2646.jpg夏前に、北欧(というほど全然北ではない)の町ギムレーに行った。勿論、アリ絡みの業務ゆえ。

知られていないが、実はヨーロッパは寒冷なイメージがあるにも関わらず、好蟻性類の種多様性が素晴らしい。下手な熱帯を凌駕するレベル。しかし、それらが発生するシーズンは概ね決まっており、3月末から4月半ばが一番よい。それを過ぎると途端に目に付く種数が減り、7月ともなればアリヅカコオロギ等いつでも見られるもの以外は殆ど何もいなくなってしまう。
そんな、副産物が何も期待できないつまらぬ時期に敢えて出向いたのは、ピンポイントで例外的にこの時期しか出現しない、高貴な好蟻性類がいるからだ。

それは華麗に宙を舞い、まるで猛禽のごとく上空からアリ目掛けて急降下して空中に攫うという。アリは攻撃を受ける際に特殊な術中にはまり、一切の抵抗の術を忘れて連れ去られる。こうした手段でアリと関わる好蟻性類は世界的に見てもかなり稀で、少なくともアジアではまず見られない。
この国のある場所に夏行けば確実にそいつに会えるらしいのだが、攻略は予想以上に難航することとなった。

あまりの存在のどうでもよさに、公共機関に配ったら即刻ビンに詰めて海に捨てられそうな「守りたい日本の絶滅危惧種ポスター砂丘砂浜編」。2760.jpg
申し訳ないが「環境省以下略

夏のアルバムから。
2763.jpgヒラタグンバイウンカOssoides lineatus。大分にて。

ススキの葉に付く奇妙な虫。平たい体でピタッと張り付くため、立体感がなく、そこに生き物が居るという感じを出さない。突き出た頭の中には、よくよく見ると泡が入っている。親戚筋たるビワハゴロモの仲間も、頭のツノの中には泡が入っているという話を聞いたことがある。理由は謎。

大昔、彩の国に住んでいた頃、家の近くに比較的規模の大きい空き地があり、一面がススキ原だった。東京都心に近接した立地で、近年あれほどの草原が残っていたのは珍しい。彩の国では今やかなり珍しいキリギリスが多産し、ススキをタモ網で掬えばヒラタグンバイウンカが何匹も入った。すぐ逃げたため一瞬しか姿を見なかったが、カヤネズミさえ入った。草原の中には存在理由すら分からない大きな側溝が掘られており、梅雨時になると水没して池となり、無数のギンヤンマのヤゴが採れた。
その草原は、数年で完全に地ならしされて壊滅し、後にはクソほどの面白みもない、どこにでもある凡庸な運動公園が出来た。敷地の大半が、草も生えない特殊舗装のグラウンドと、周回全部柵に囲われて水にも触れられない池となった。これにより、この場所から半径数kmに渡り、草原性の生き物を見られる場所が完全に消滅した。

我が家は転勤族だったため、俺は元々この土地には数年しか居住しないことが分かっていた。だから、この地域を終の棲家とする住民らが、あの虫ばかりでクソの役にも立たない草むらよりもランニングやら野球やらできる快適で楽しいレクリエーションの場所を望んだというのならば、それに対してどうこう言える立場にはない。
それでも、時々所用でこの場所の近くを通りかかるとき、あのグラウンドを視界に入れてしまうと、もう辛くて居たたまれない。ああなる前のここの状態が如何ほどのものだったかを、知ってしまっているから。

2761.jpgヤマトビイロトビケラNothopsyche montivaga。西日本にて。

2762.jpg世にも珍しい、陸生トビケラの親。先日の雰囲気からして今年はもう成虫は駄目かと思ってたが、道理を引っ込めて無理を通した。少なかったが、林内で陽だまりの下草にぽつぽついた。ひと月前は、全く姿を見なかったのに。加えて、見つかる筒巣が全てカラだったため、とっくに発生が終わったものと思っていた。騙されたと思ってもう一度来て正解だった。
前回も今回も晴天で、安定した気候だったのに、なんで前回いなかったんだろうか。間違いなく既に羽化はしてたはずだ。もしかしたら、羽化後しばらくは落ち葉下の目立たない所に隠れて活動しないのかも知れない。この生物の生態に関しては、ネットや文献で現時点で得られる情報が極めて少ないため、推測と勘に頼らねば出会うこともままならない。

心残りは、冬尺のそれのように翅が退化したというメスを、とうとう発見出来なかったこと。オスの発生具合からみて間違いなく近くにいるはずなのに。そも、活動時間帯がいつで、植物上に登る習性があるかも分からず探して見つかるはずもないわけだが。
ネット上に見られる僅かな情報から推測すると、どうもメスは日中膝下くらいの高さの下草や貧弱なひこばえの葉上にいるらしいのだが、どんなに探してもオスの姿しかなかった。

2722.jpgゴキブリらしきもの。福岡にて。

ある計画を進める上で、とても重要なエレメント。しかし、分布が恐ろしく局所的な上、計画遂行に絶対必須たる「無傷なオスの成虫」がどうしても得られずにいた種。最近、ようやく入手することができた。こいつと革命を起こす。

息付く暇も

2724.jpgイキツキオオズナガゴミムシPterostichus sakagamii

九州北部に固有。この仲間としては、あまり巨頭でもない。ある事実を知らなければ、極めて捕獲困難。知っていても捕獲困難。それ故、この虫の安寧は守られている。

分布の極限された希少種だが、その生息環境の特殊さ、過酷さ故、人間はこの虫に対して乱獲という行為をなすことができない。生息地が温存され続けるならば、当面この虫は存続し続け、後世の者達も採集し続けることができるだろう。

撮影中、隙をついて地下帝国へ逃げやがったので標本はない。

2756.jpgヒエツノアブラムシPseudoregma panicola。長崎にて。

2759.jpg主に秋口、林縁のチヂミザサの茎に白い粉を吹いて取りついている。夏は別の植物上で虫コブを形成するとかしないとか。ここでは少なかったが、しばしば群生し、チヂミザサを白くするので遠目にも目立つ。

2758.jpgこのアブラムシは、外敵との戦闘に特殊化した兵隊カーストを持つ。ササコナフキツノアブラムシなどに見られるものと同様、兵隊は脚がガッチリしており、頭には鋭いツノを生やす。だいたい、チヂミザサの穂の上部ほど生殖虫が多く、下ほど兵隊が多くなる傾向がある。

長野の裏山にはきわめて高密度でこれが生息しており、毎年秋にはそれなりにこの生物を観察していた。しかし、今までの所このアブラムシの兵隊が何かと戦っているところを、一度たりとも見たことがない。そもそも、このアブラムシのたかっているチヂミザサに、他の生物が乗り込んできている様を見た覚えがほとんどなく、かろうじて1回ほどヒラタアブのしょぼい奴が産卵しに来たのを確認したのみ。
ワラくずの先で兵隊をつついても、ササコナの兵隊ほど目に見えるアクションを見せない。これが本当にコロニーの防衛の役を担っているのか、もしそうならば何から守ろうとしているのか、全く不明。知りたくば、アブラムシに直接聞くしかない。