FC2ブログ

4389.jpgオオシロフベッコウが、獲物を巣へと搬入する。

4390.jpg搬入後は素早く土砂をかき集めて、巣穴をふさぐ。いつまでも開けていると碌なことが起きないから。

茨城にて。

4391.jpgヒメトビウンカLaodelphax striatellus。茨城にて。

セジロかと思ったが、顔面が突出していないように見えるのでヒメトビであろう。小さいうえにすぐ吹っ飛ぶので、野外での撮影は困難。

4388.jpgオオシロフベッコウEpisyron arrogans。茨城にて。

狩人蜂が獲物を探索・発見し、毒針で仕留めるまでの一連の行動を、野外で一から観察するのは殺人級に困難である。しかし、麻酔行動だけならば、獲物をしとめて運搬中のハチから獲物を素早く横取りし、代わりにその辺で採ってきた五体満足な別個体の獲物をすり替えて返せば、ハチはまだ獲物に麻酔が効いていないと勘違いしてもう一度刺すところを見せてくれる。ファーブルが昆虫記の中でやった手口である。
ところが、オオシロフベッコウに関してはこの作戦が明らかに通用しない。たとえ狩られている獲物と同種かつ同サイズの五体満足グモを採ってきてすり替えようとしても、何らかの手段により自分が狩った獲物の個体とそうでない個体とを区別できているらしく、頑なにスペアのクモを受け取ろうとしない。これまでの人生の途で、もう何十回そこらの道端で見かけたオオシロフベッコウの獲物をすり替えようとしたか知れないが、記憶をたどる限りハチが騙されてくれた例は一つとてない。
そのため、このハチの麻酔行動を再現させるには、ハチがまさに今運んでいるそのクモを一度奪い取り、ピンセットでさも生きているかのようにハチの目の前で動かして騙すしか方法がないのだが、これも非常にコツがいり難しい。オオシロフベッコウは、狩人蜂としてはとても神経質な性格なので、獲物の運搬・営巣中にいたずらに刺激を与えて干渉すると、行動をやめて獲物と作りかけの巣を放棄し、逃げ出してもう二度と戻らない。大型狩人蜂の中でも、本種は5本の指に入るほどの観察困難な種であることは疑うべくもない。
あれだけ奴が神経質なのは、寄生バエ対策のような気がする。営巣中にヤドリニクバエの類に目をつけられてしまうと、獲物の搬入の瞬間までしっかり巣の脇で監視された上、搬入の瞬間ほぼ確実に獲物の体表上に複数のウジを落とされてしまう。こうなると、ハチはたった1巣でたった1匹しか育たない自身の子を殺されるばかりか、次世代の脅威を何倍にも増やすことになる。ちょっとでも気に入らないことがあったら、すぐさま全てを捨てて逃げ出すのが奴にとって一番適応的な戦略なのだ。

4387.jpgベッコウハゴロモRicania japonica。茨城にて。

各種の植物に取り付いているのを見かける。これとはさほど近縁ではないが、最近北陸あたりで大型の外来種シタベニハゴロモが大繁殖し、いろいろ問題になっているらしい。
そのことがしばしばニュースとして新聞やネット上で報じられること自体はいいのだが、この虫がカメムシ目であることを、昆虫学に明るくない記者が誤解して、「外来カメムシの一種シタベニハゴロモ」と報じてしまう例がある。カメムシ目にはセミもハゴロモもアブラムシもカメムシも含まれるわけだが、少なくともハゴロモはカメムシとは遠縁である。
かつて鱗翅目とか半翅目とか、漢字で表記されていた昆虫の目は、何だかよくわからん理由で今ではチョウ目とかカメムシ目など、カタカナで表記するのが慣習となってしまった。しかし、上述の通りカメムシ目に含まれるのはカメムシだけではないし、チョウ目に含まれる種の大多数はガであるなど、実態に沿ってはいないのではないかという意見が、虫の関係者の間ではずっと前から囁かれている。さらに、先述のように虫に詳しくない人間にあらぬ誤解をさせる可能性もあるなど、俺はとても由々しき問題だと思っている。

俺は最近では執筆の際、何がしかの規定によりそう表記しろと言われない限り、昆虫の目はなるべく昔の漢字表記を使うように心がけている。

4385.jpgミツカドコオロギ。茨城にて。

ツヅレサセコオロギほど隠遁性が高くなく、オスは割と適当なオープンランドで鳴くため、そのさまを撮影しやすい。

大型コオロギのオスは大抵どの種も気性が荒く、同種同士で喧嘩する。中国では古より、その習性を利用したコオロギ相撲という遊びがある。人々が自宅で手塩にかけて育て上げたオスのコオロギを持ち寄り、金品を賭けて戦わせるのだ。
卓上にコオロギを戦わせるアリーナとして、わざわざそれ用のために作られた丸い陶器(どこかで売っているらしい。欲しい)を置く。せいぜい直径10cm程度のその狭い容器内に、戦わせる二匹のオスのコオロギを放り込む。戦士たちは放り込まれる前に手のこぶしの中に入れられ、何回かシェイクされる(その方が興奮して戦いやすくなるらしい)。放り込まれた二匹はすぐさま容器内で向かい合い、額を突き合わせながら激しいバトルソングを奏でて威嚇し合う。勝負は数秒でつき、負けた方はすぐさま背を向けて逃げ出す。勝った方は、高らかに勝利の雄叫びを挙げるのだ。

昔、テレビか何かで「本場中国のコオロギ相撲」のやり方として、上記の内容を紹介していたのを覚えている。中学生くらいの頃、そのやり方で日本のコオロギを使ってもこの遊びができないかと思い、ツヅレサセコオロギで試した。結果、見事に同じことができた。
オカメやミツカドなど、オスに限り頭部が著しく変形しているタイプのコオロギなど、間違いなくそれは戦闘用の形態に違いないので、戦わせたら絶対に面白いはずなのだが、いつも忙しさにかまけて実践できずにいる。

4386.jpgクルマバッタモドキOedaleus infernalis。茨城にて。

4384.jpgツヅレサセコオロギVelarifictorus micado。茨城にて。

普通種だが、セミの脱出孔など狭い所に隠れて鳴く傾向が強く、鳴くところを撮影し難い。

4382.jpgアオマツムシTruljalia hibinonis。茨城にて。

市街地にいくらでもいるが、本来の自然に振る舞っているさまを撮影するのは非常に難しい。いる場所がべらぼうに高い樹冠か、低木にいてもそのすぐ正面に人んちの窓があるような立地ゆえ、撮影したくてもできない場合がほとんどだから。今回、方々を駆けずり回ってようやくマシな立地に多くの個体が住む低木を一本だけ見つけたが、正直ここも夜中にストロボを気兼ねなく光らせられる雰囲気ではなかった。

昔の図鑑などを見ると、アオマツムシを「風情を壊す騒音害虫」として記述している例が少なからず見られる。しかし風情云々は別として、実際の所これの声を騒音と見なしている人間が、今の都会にどれだけいるのだろうか。確かにこれの大合唱は相当な大音量だし、夜に窓を開けていると部屋のテレビの音が聞き取りづらいことはある。しかし、だからといってこれの声のせいで仕事に集中できないとか寝られないなどということは、少なくとも俺はないし、周囲の人間に聞いてもそんな奴に一人とて出会ったためしがない。
役場に「アオマツムシの声がうるさいから、薬剤散布で残らず駆除しろ」との苦情が入ったとの噂も、虫マニア連中の間で流行ったことはないと思う。だいたい、今時期に夜の市街地を歩いて、上を見ながら「木の上で虫の声がうるせえな」などとぼやいている通行人がいるだろうか。みんな、ただのノイズの一つとして「耳には入っているが聞いてはいない」のではないか。もっとも、ネットで軽く検索すると「やかましくて寝られない」といった声もちらほら引っ掛かるので、やはり騒音と見なす人間もいるにはいるようだが、多くの人間はこれを甘んじて聞き流していると思われる。
また、この虫は樹木の葉や果実の表面を食うため、農家などからは樹木・果樹害虫と見なされることもあるが、かといってアメリカシロヒトリのように木一本丸坊主にしたなどという話を往々にして聞かない。アオマツムシは、昨今方々で叩かれやすい「外来種」だが、事実上大半の「フツーの生活をしている都会の人間」にとってはいてもいなくても何も変わらない虫であろう。

人間以外の生物にとって、この虫がいる故のインパクトがいかなるものなのかも気になる。例えば、狩人蜂の一種クロアナバチは、元々はキリギリスの仲間を獲物として狩っていた。しかし、都市部に住むこのハチは、最近では高頻度でアオマツムシを狩ってくる。過去の文献を見れば、クロアナバチは獲物として数ある直翅の中でもキリギリスの仲間に相当固執して狙う種だったことが伺える。それが、キリギリスですらないこの虫に獲物をシフトしたというのは、このハチの生態上かなりの大きな事件である。
他にも、スズメバチ等様々な都市生物がアオマツムシを餌にしているらしいことを考えると、アオマツムシは今や日本の都市生態系の中に完全に取り込まれ、なくてはならない存在になっているように見えてくる。しかし、それが果たしてこの外来昆虫を資源として使う在来の生物達にとって、本当によいことなのかはわからない。アオマツムシを獲物としたクロアナバチは、本来のキリギリス類を餌にしたクロアナバチと比べて幼虫の発育がよいのか、悪いのか、誰も調べていない。あれだけ個体数の多いアオマツムシのこと、この虫によって何らかの形で住処や餌資源を奪われている在来の生物もいるかもしれない。我々人間が、秘められたこの虫の本当の害悪性について、現時点で何も気づいていないだけではないのか。

古くから日本各地の池や田んぼに広がり、本来日本にいたかのようにお目こぼしされていた雰囲気だったアメリカザリガニは、最近になって当初想定されていたよりもはるかに甚大な被害を在来生態系に与え、あまつさえ蚊の大発生に伴う感染症の蔓延を促しうるなど、人間の実生活にすら実害を与えかねないことが判明している。
なので、いくら外来生物が日本の生態系に溶け込み、受け入れられているように表面上見えても、考えなしにそれを善しとする思考は浅はかである。

4378.jpgヒメクロイラガScopelodes contractus。茨城にて。

全身猛毒の棘だらけ。黒いほくろ状の模様が散らばり、禍々しい。日本のイラガの中でもトップクラスに禍々しい外見の幼虫に思える。なのに、成虫の愛くるしさもまた日本のイラガの中でトップクラス。まるで生きたぬいぐるみ。何なんだお前。

4381.jpgキシノウエトタテグモ。茨城にて。

脱皮直後らしい。妖しい美しさがある。

4374.jpg
ヒラアシクサアリLasius spathepus。茨城にて。

4375.jpg
ツクツクボウシの羽化。茨城にて。

4373.jpgミツカドコオロギLoxoblemmus doenitzi。茨城にて。

オスは金平糖のような奇怪な顔面を持つので有名だが、常にうつむいているので一度手で捕らえないと、そのツラを拝めない。背面から見ても、ただのそこらのコオロギと変わらない風貌。

4372.jpgショウリョウバッタモドキGonista bicolor。茨城にて。

あまり悪い意味で荒らされていない、草原でみかける。無印のショウリョウほど、適当な場所にはいない印象。

精霊

4369.jpgクロオオアリの巣の周りで、何匹もたむろしていた。去年一匹だけ見つけていた地域だったので、絶対にどこかに発生のツボがあるはずだと踏んでいたが、やはりあった。

4370.jpgエゾカタビロオサムシCampalita chinense。茨城にて。

騒ぐほど珍しくないが、見たい時に見られるものではないので、見つけるとうれしいものである。

4371.jpgムラサキツバメ。茨城にて。

4368.jpgクロシデムシNicrophorus concolor。茨城にて。

テネラルらしく、赤備えで凛々しい。

4383.jpgミゾカクシLobelia chinensis。栃木にて。

池や沼の岸辺に繁茂する雑草。雑草とは言っても、意外と見られる場所は限られると思う。特筆して話題にもならないような草だが、あるジャンルの虫マニアにとっては獲物を探すうえで一つの指標となるもの。

以下、分かる奴だけ分かればいい話。

首の長い奴が、本当に見つからない。国内では犬型県で一番多くの公式な文献記録が出ており、「今も確実に生息する」と書かれた文献さえ存在する。大ウソ甚だしい。
この数年間というもの、過去に得られたとされる場所の殆どに出向いたが、その全てにおいて全く発見できない。昔は多産地だったらしい「ミゾカクシが水辺ギリギリまで繁茂している」池は、今どこを探してもミゾカクシがない。もちろん、奴もいない。
去年など、70-80年代辺りに「一晩で灯火に3ケタ飛来した」という場所周辺の湿地を徹底的に調べ、わざわざ大枚はたいて夜中にタクシーを使って山中の湿地にまで乗り込んだが、一匹もいなかった。いるのは、外見の酷似した腹黒のド普通種のみ。もしかしたら、この中に一匹くらい混ざってるんでは?と思い、とりあえず目につくそれっぽい奴を片っ端から取り押さえて透明なプラ容器に放り込み、数十匹集まったところで下から覗いたが、全部黒かった。

今世紀以降に記録がある、広大な田園にも度重ねて出向いた。今から10数年前、そこでは粉もんの奴とかサンドフィールドの奴など、今や各地で希少種となった数々のダストインセクトが記録されており、それらは今もしっかり生息している。ただ、首の長い奴だけが、いない。今の所、当方が確認している犬型県での最新の公式記録は2010年だが、正直そこにも現時点で存在するのか、限りなく怪しい。

恐らく、今世紀以後生きたアレを見た人間など存在しないのではないか。大体、虫マニアなどという連中は自己顕示欲と承認要求の煮凝りみたいな救いようもない生物なので、こんな珍しい種を採ったとなれば絶対すぐさまSNSに画像を載せて、これ見よがしにイキるに違いないのだが、今なおそれが観測されないからだ。何としても、俺がそのイキり第一号として降臨せねばならない。

アレを発見するのは、本当にハードルが高い。そもそも数少なくて珍しいうえ、あの腹黒と同所的に混在しているのが、まったくもってタチが悪すぎる。背面側からは一見して腹黒と区別できないため、わざわざ一度取り押さえて裏返すプロセスを経ねばならないのが、殺人級に面倒なのだ。

4367.jpgヨコヅナツチカメムシAdrisa magna。茨城にて。

南方系の大型カメムシ。見つけるとぎょっとする。

4360.jpgアブラコウモリPipistrellus abramus。茨城にて。

まだ小さくて若く、飛ぶのが不得手な個体。建物の壁に取り付いて動けなくなっていた。昔だったら(鳥獣保護法の云々はさておき)家に持ち帰り、育ててやった所なのだが。

例のゴミクソ疫病以降、ただでさえ世間で好印象を持たれていなかったコウモリという生物は、本当にただただブッ叩かれるだけの存在と化してしまった。少し前に、北海道で絶滅危惧種クロオオアブラコウモリが発見されたというニュースがネット上に出て来るや、コメント欄が見るに堪えない罵詈雑言で埋まるという現象が観測され、生き物マニアの間で話題となった。貴重な生物の生息が確認されたという、喜ばしいニュースのはずなのに。

「コロナの原因だからコウモリなどとっとと滅ぼせ」的なことを普通に吐く人間が、世の中に相当数存在するらしいことに驚きを隠せない。コウモリの大半種は昆虫食であり、飛翔昆虫を毎日大量に消費している。その餌メニューはガやカなど、人間にとって経済的・衛生的な損害をなすものがほとんどだ。もし仮にコウモリを絶滅させることができたとして、その結果コロナどころではない、人類にとってもっと破滅的な事象が生じるのは目に見えているのだが、その辺分かっているのだろうか。
自然界に存在する生物を、人間の都合のみで善悪の二者択一的指標によりジャッジするような真似は、実に愚かだ。役に立つこともするし、害をなすこともある生物はざらにいる。それを理解し受け入れたうえで、うまく住み分けるなり共存するなりの道を探るのが、理知的な人間のなすべきことではないのか。

昔、毛沢東が「スズメはコメを食い荒らす害鳥だから殺しつくせ」と言って中国全土でスズメを殺しまくる政策を行った。しかし、スズメはコメを食い荒らす一方で、イネに付く害虫も沢山取ってくれる益鳥の側面もあることを一切考えていなかった。結果、害虫の大発生にともなう大飢饉が発生し、すさまじい数の人々が死んだ。今回のコロナ騒動で徒にコウモリのことを叩いている輩を見るにつけ、この毛沢東のスズメの話を思い出す。民草は学ばず、かくして歴史は繰り返す。

4365.jpgナガコガネグモArgiope bruennichiを襲うキオビベッコウBatozonellus annulatus。茨城にて。

4366.jpgたまたま近所の公園の、草刈りし終わった芝生脇の低木で、名残惜しそうにうろちょろしているメスを発見。恐らく、獲物のコガネグモ類の巣があったのに、草刈り作業の過程でクモが吹っ飛ばされ、糸などの痕跡だけ残っていたためそれが気になり、去りがたかったのだろう。所用で30分位その近くにいたが、ずっとそこから離れずにいた。
もしかしたらと思い、少し離れた草むらまで行ってそこに営巣していたクモを捕獲し、ハチの所へ持って行ってみた。低木周辺を飛び回るハチの傍で、掌に隠したクモを見せた瞬間、一直線に俺の手の所までハチが飛んできた。すぐさまクモを追い立てて地面に突き落とし、自らも素早くそれを追って着地。走って逃げるクモを背後から追っかけ、背中に飛びついて仕留めた。

俺は今まで、ベッコウバチはクモの出すしおり糸の匂いを辿ることで獲物の存在を探知・認識するものだと思っていた。しかし、奴は一度も地面に置いていない掌の上のクモ目掛けて、見せた瞬間的確に飛びかかってきた。しっかり視覚でもクモの存在を認識できているらしい。恐らく、紫外線反射率の違いなどから、ベッコウバチの目にはクモの姿が周囲の草葉などの背景とは違う色で見えているから、こういうことができるのではないかと思う。

しかし、キオビベッコウも本当に日本中どこでも少なくなった。ここでは初めて見たかもしれない。こういう高次捕食者のスペシャリスト捕食者が盤石に生息できる環境というのは、とても大切なものである。

4363.jpgアシナガグモ類の交接。茨城にて。

4364.jpgオスは変形した巨大なキバを、メスの巨大なキバにガッチリと組み付かせてから事に及ぶ。メスから攻撃されるのを防ぐためか。

精霊

4343.jpg毒針でギアスを施す瞬間。

この生物はハエやアブ等を捕らえ、毒針で胸部の神経を打って麻痺させる。それを巣内に持ち込み、幼虫の餌とする。この毒針による麻酔行動をどうにかして撮影してやろうと、もうかれこれ10数年ウダウダやってきたのだが、一向に成功する気配がなかった。
通常の狩人蜂と違い、こいつは頑なに獲物の麻酔行動を空中で飛びながらやろうとする。こいつの飛翔は高速なうえ、目まぐるしいジクザグの軌跡を描くため、飛んでいる最中の麻酔行動の撮影など、まず人間の能力では不可能だ。よって、何とか地面なり草なりに止まった状態で刺してほしいわけだが、あちら様は一向にこちらの思うように動こうとはしない。

タイミングにもよるが、この生物に指やピンセットで摘まんだ獲物を渡すと、割とすんなり受け取ってくれる。そして、すぐさまそれを毒針で刺しつつ空中へと持ち去ろうとする。この時、こちらが獲物を強く摘まんで離さないと、奴は持ち去るのを諦めて羽ばたきをやめ、やむを得ず手やピンセット上に止まったまま麻酔行動を取る。この状態でうまく地面に奴を置いて撮影しようとしていたのだが、奴は地面に置かれた瞬間すぐ獲物を持って空中へ飛び去ってしまう。
そしてその獲物を持って再び巣へ戻ってくるので、巣に獲物を搬入する隙に横からピンセットで餌を奪い取り、再び奴にそれを動かしつつ返すと、奴は獲物に麻酔がまだ効いていないと思い込んでまた獲物に飛びついて刺す。それをまた地面にそっと置くのだが、置いた瞬間また飛ばれて・・その延々繰り返し。
2005年か2006年辺りに、一度指の上で刺す様子を当時使っていた低画素のショボデジカメで撮っており、どうにかしてちゃんとしたカメラで指やピンセットを写さずに撮りなおしたいと思いつつ、先述のような失敗を毎年続けてはや10数年が過ぎてしまった。
世間の撮影者各位においても状況は似たり寄ったりらしい。これまでネット上、文献上、様々な媒体でこの生物の生態写真を見たが、刺す瞬間の写真はほとんどどこにも出ておらず、僅かに指先でつまんで固定した獲物を刺させている状況の写真が散見される程度。みんなうまくいっていない。

今回、たまたまシャッターを切ったタイミングで、空中で刺す瞬間が写った。しかし、狙って撮れたわけではないので、これをもって「成功した」ということはできない。結局のところ、俺はまだ自分が思っているような瞬間を切り取ることには成功していない。なので、この先永遠にそれの瞬間を撮るための無駄な努力を続けることになるのだ。

4362.jpg
ハラビロカマキリHierodula patellifera。茨城にて。

脱皮中。

精霊

4361.jpg正直、雑木林に行けば沢山いる。これより無印とかオオのほうがよほど数少ないと思うのだが。

精霊

4357.jpg見た目が美しいため人間は見ると幸せな気分になるが、ある生物にとっては存在そのものが忌わしい。

ネットで調べていて知ったが、ある公園には夏にこれがよく出現して花に来るらしく、そこにはこれを撮影しようと暇な中高年カメラマンが列を作って並ぶらしい。
確かに綺麗だし最近ではめっきり少なくなったとはいえ、ほんの10数年前まではそこまで大騒ぎするほど珍しいものではなかったはずだ。私にとっては、夏の裏山でよく見かける台所のハエみたいな位置づけのもので、別段相手にもしなかった。こんなものが有難がられるレベルにまで、日本の自然環境は地に堕ちたのかと、心底悲しい気分になった。

4358.jpgスズキベッコウハナアブVolucella suzukii。茨城にて。

幼虫期にスズメバチの巣に寄生する、日没直後の10分間くらいだけ樹液に襲来するなど、奇怪な振る舞いの目立つハエ。なぜかチャイロスズメバチに色調が似る。

4359.jpgアカアシオオアオカミキリChloridolum japonicum。茨城にて。

夏の夜、樹液に来る。いる場所には集中しているが、少しでも逸れると一匹もいない印象。

4355.jpgスズムシHomoeogryllus japonicus。茨城にて。

有名な割に、なかなか野外で見かけない虫。仮に見かけたとしても、この虫に関しては全国各地で「自然保護」という言葉を隠れ蓑にした自己満足のために、飼育個体を大量にバラ撒いて回る迷惑な「放流ジジイ」が暗躍しているせいで、本当にそれがもともとそこにいた野生の個体なのか、ただの篭脱けなのかの判断が難しい。この個体に関しては特徴的な無骨な鳴き声から、野生のものと判断。

スズムシとオオクワガタに関しては、野外で見た時に真っ先に喜びとか嬉しさとかではなく、「これ、本当に野生のか?」という疑念を持たざるを得ないのは、本当に嘆かわしく、腹立たしいことである。