755.jpgニホンリスSciurus lis。長野にて。

ニホンリスは、日本の哺乳類としては珍しく純粋な昼行性のため、他の哺乳類より見るのが容易いという人もいる。しかし、俺はこいつ以上に野外で観察しづらい動物もいないように思う。行動にパタン性が乏しく、野ネズミやヒミズのような「いつこの場所に行けば絶対見られる」というのがない。偶然でさえ出会うのが難しい。行き当たりばったりでは、毎日山へ足を運んでも、年に4回も遭遇できない。
近所の山へ行けば、いたる場所に特徴的なクルミや松ぼっくりの食痕が腐るほどあるため、相当な個体数が生息しているのは分かる。しかし、かつて狩猟獣としてさんざん罠や鉄砲でぶち殺され続けてきたニホンリスは、人間に遭遇する確率の高い時間帯や場所を巧みに避けて行動しているようだ。
でもその割には、同じく狩猟獣だった北海道のエゾリスは信じがたいほど人間に対して友好的である。よく分からない。

地中に住む野ネズミなどの場合、動かず音を立てずのルールを守りさえすれば、触れるほどの距離で自然に振る舞う様子を観察できる。恐らく、こちらのことを人ではなく岩か何かと思うのだろう。しかしリスは違う。リスは三次元的な生活をしているため、視力がいい。そして物体の認識能力がずば抜けて高く、たとえ人が石地蔵の如く不動を保とうとも、それが人であると容易に見抜いてしまう。
だから、いくらじっとしていても向こうはこちらの姿を見るや、毛を逆立てて鋭い金切り声でこちらを罵倒しはじめる。その点で、どちらかというとリスは同じ齧歯類のネズミより鳥に近縁な動物に思える。上の個体も、このへちょいカットを撮った瞬間に一目散に走り去ってしまった。


ニホンリスは世界でも日本にしか存在しない、日本が世界に誇っていい動物である。一部、DNA解析では北海道のエゾリス(キタリス)とほぼ区別できないような結果も出てるらしいが、あの動物は日本だけの特別な動物であってほしい。
だいたいサイズといい色彩といい姿形といい、見た目が根本的にエゾリスと全然違うじゃないか。イリオモテヤマネコだって、ベンガルヤマネコの一亜種なんて夢のない呼び方をしたくない。あれは一属一種のマヤイルルスだ。

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