2014/03/29|Category:クモ

数年前に関西の港湾近くで見つかって以後、日本各地に分布を広げている毒蜘蛛。九州でも、北部の港湾地域で定着しており、数年前にはかなりの個体数が見つかってニュースにもなった。
現在、役場などが指揮をとって定期的に駆除作戦が展開されている。それでも、役場が公開している駆除実績のある地域を調べ、そこに行ってよくよく探してみたら、このように駆除されそびれた個体が次々に見つかった。

十数年の時空を超えて初めて出会った現物は、聞きしにまさる以上の美しい生きものだった。ピンセットでつっつくと脚を振り上げて威嚇し、それでもなおつっつくとピンセットに噛み付いてきた。体型と生態のよく似た大人しい在来のオオヒメグモみたいなものだと思っていたが、それなりに敵に対して反撃する術を持つらしい。日本のクモの感覚で接するのは危険に思えた。


撮影後、見つけた個体は責任を持って皆殺しにした。国の定めた特定外来生物、しかも人命に関わる危険生物ともなれば、それを見つけておいて野放しにするのは国賊のそしりを受けかねない。
でも、本当のところ、こんなに美しくて、なおかつ大好きなこの生きものを殺したくはなかった。子供の頃からずっと憧れていた舶来の生きものを、出会い頭に殺さねばならない理不尽。俺の場合は特殊かつ異常なだけかもしれないが、かわいそうだから外来種のアライグマを殺すなと主張する人種の気持ちが、何となく分からなくもないような気がした。
これから暖かくなるにしたがい、毒蜘蛛は猛烈な勢いで繁殖し始める。根気強く駆除を続けていくしかない。