青の洞窟

887.jpg九州のとある洞窟内。設置された蛍光灯の下で育つ植物。観光洞ではお約束の光景。

観光客誘致のために整備された洞窟には、たいてい天井に照明が取り付けられる。その直下では、光と熱を受けてコケやシダなどの植物が青々と茂る。特殊な種類の植物ではなく、地上の日陰などでよく見かけるシダコケと同じもの。本来、日光が絶対に照射しない地下の洞窟内ではありえない状況である。
これによって洞窟内の生物にいかなる影響が及ぶかは分からないが、自然下では起こらないイレギュラーな状況である以上、けっしてプラスの方向には働かないだろう。洞窟壁面を青く染める地上性植物の群落は、洞窟生態系における人為攪乱の典型だと思う。

なお、植物の有無はともかく、洞窟内の照明はあきらかに洞窟性生物の生息に悪影響を与える。今までいろんな場所の洞窟に行ったが、灯りで照らされた観光洞で生き物が豊富にいる場所を、一例とて見た試しがない。完全な闇に生きる洞窟性生物にとって、人工光はストレスになる上、照明の熱で洞内が徐々に乾燥していってしまうのだと思う。微少な洞窟性生物は、とにかく乾燥に弱い。洞窟性生物にとって洞窟の観光地化は、百害あって一利もない。

だから、洞窟というものを安易に観光の山車に使うのは、好きくない。本当に入りたい人間だけが、相応の装備を身につけた上で自己責任で入ればいいと思う。ヒトが洞窟に合わせるのであって、洞窟がヒトに合わせるのではない。

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