935.jpgコメツキガニScopimera globosa。福岡にて。

砂浜や干潟に住むスナガニ類が、カニの中では一番カニらしく見えて好きである。居住区の近くの狭い干潟に、カニがばらまいたようにうじゃうじゃいる。
コメツキガニは、砂が多く泥っぽくない場所に多い。潮が引くと、突如として砂に穴を空けて這い出てくる。個体数は多いが、ほとんどが子供で親が少ない。大きな個体ほど目立つので、敵に間引かれやすいのかも知れない。

936.jpg餌は潮が引く際に、砂上に取り残された養分。スプーンのように内側のくぼんだハサミで砂を掬っては口にどんどん放り込み、養分だけこしとる。砂は口元にためてまとめ、大きくなるとハサミでちょん切って捨てる。カニが食事した後は、砂の団子がたくさんできる。

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938.jpg仲間同士の、取っ組み合いの殴り合いならぬハサミ合い。コメツキガニは基本的に、巣穴から半径数センチ以内のなわばりから外へ出ずに生活する。その範囲内にある限られた量の養分しか食べられないため、近隣にいる他の個体にくれてやる余裕などない。それを侵しにくる相手には、容赦しない。

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941.jpgコメツキガニのオスは、繁殖期に限って踊る。こいつのダンスは、昔からテレビでしか見たことがなく、どうしてもナマで見たかったもの。砂団子作りの手を突然止めて硬直したかと思うと、ゆっくり伸びをするように左右のハサミを上に上げる。一番上まで上げると、突然下ろす。下ろすのは早い。
時々思い出したようにやるが、一番高く伸びをしたときに、ハサミに釣られて一番前の脚まで振り上げるのがかわいい。一番後ろの脚も縮めているため、伸びをしている瞬間は四本脚で立つことになる。

937.jpgコメツキガニの脚には、コンタクトレンズのように薄い膜が張っている。これが何のためのものかは、昔から議論されてきた。昔呼んだある子供向けの本には、潮が満ち引きする音を聞くための鼓膜ではないかと書いてあった。しかし、実際にこれが音を聞く器官かどうかは、たぶん誰も調べていない。
かたや、今は無き「どうぶつ奇想天外」でカニの特集があった際、この膜が汽水域に住むこのカニにとって重要な、体内の浸透圧調節の役割を果たしているという話が出てきた。ソースらしき文献を見つけられずにおり、結局どっちが正しいのかよくわからない。

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