1057.jpgホラズミヒラタゴミムシJujiroa troglodytes

限られたとある石灰岩地帯だけから知られる、大形の地下性昆虫。基本的に洞窟性だが、模式産地である洞窟周囲一帯の地下浅層には広く分布するものと推測される。
しかし、模式産地であるその洞窟にはもうほとんどいない。周辺地域の開発の影響か、洞窟内が乾燥してきているためだ。地下水位が低下しているようで、それにともない虫が地層のより深い所へ潜ってしまったものと思われる。本種の模式産地たる洞窟は、他にも2,3のゴミムシの固有種が生息するが、それらはさらに輪をかけて姿を見ることが至難なほど減ってしまった。

くわえて、一時期これらの珍虫を狙って虫マニアが多量の罠(ピットホールトラップ)をそこの洞内に仕掛けた歴史があるそうで、洞内の生き残り個体はおおかた持ち去られてしまったそうだ。洞窟のような閉鎖的環境内で、特定種の昆虫が効率よく採れてしまう罠を使うと、その虫の個体群存亡にかかわるほどの採集圧をかけてしまう場合がある。まして、もともとの個体数がさほど多くない洞窟性昆虫が標的なら、なおさらだろう。ここの固有ゴミムシのうち、ある種はもう何年もの間存在が確認されておらず、少なくともこの洞窟では既に絶滅した可能性が高い。

洞窟性昆虫にとって、ピットホールトラップを仕掛ける行為それ自体も脅威だが、しばしば虫マニアは自分が仕掛けた罠の場所を忘れ、そのまま放置してしまう。これがさらに追い打ちをかけてしまう。放置された罠は、そこで永遠に際限なく虫をおびき寄せて殺し続けてしまうから。

洞窟で罠を使って虫を捕るのは、よほどの研究上の大義名分があったとしても慎重になされるべきであろう。ましてお遊び感覚では、絶対にやってはならないと思う。地下性甲虫は、ある時期に地表近くを活発に動き回り、その過程でよく林道脇の側溝に落ちるため、これを拾える場合が多い。なるべく本来の生息環境を荒らさず、一度に多量に採れない方法を使うべきである。そもそも、採らないのが一番かも知れないが。

1056.jpgこの個体は運良く遭遇できたたったの一匹。ただでさえ荒れ果てた生息地に厚かましく踏み込んだ時点で、俺も乱獲マニアと同罪だろう。撮影後、他の人間に見つからないように、洞窟の奥の隙間に送り返した。

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