さあ、私たちの撮影(デート)を(ry

968.jpg精霊がデレた瞬間。どれだけこの瞬間を待ったことか。

今回のチェコ遠征は、はっきり言ってこれを撮影するためだけに行ったと言っても過言ではない。このシーンは、各種文献には文章としては古くから記されているし、その様のイラストも出回っているが、生態写真はおそらくこの世に存在しない。実際に見た人間もきわめて少ないと思う。

精霊は絶対に夜しか出歩かないので、観察するなら夜に森へ出かけねばならない。しかし、これが異常なまでに人工光を嫌がるため、観察しようとライトで照らすとたちまち逃げ去ってしまう。そうかと言ってライトを付けねば何も見えない。だから、ライトの光量を最弱に絞り、地べたに這いつくばるようにしがみついて観察せねばならない。それも、手に持った漬物石級に重たいカメラのモニター越しに。

無数に襲来する蚊の攻撃に耐え、マダニとナメクジまみれの地べたに伏し、夜中の一時二時まで背をかがめて冷え込む夜の森で耐え忍ぶ生活を続けたら、風邪が悪化した。咳が止まらず、喉が激痛なのだが、それでも毎日多少は無理をして観察を続けた。滅多に来られない場所で、夢にまで見た精霊をデレさせる千載一遇のチャンスを無碍にはできない。おかげで、滞在期間中に風邪がまったく治る兆しを見せなかった。

ホムトフでは毎晩観察を試みたが、結局ダメだった。失意の中、チェコ出国を前日にひかえてホムトフからプラハ市街に移り、そこで一泊した。プラハの宿の裏にはカラッカラに乾燥した、見るからに何も虫がいなそうな森があったので、やぶれかぶれの藁をもすがる気持ちで日中さまよったら、驚くことにたった一つだけ寄主アリコロニーがあった。そこで、最後の命運をかけてその夜張り込みをして、ついにそれを目の当たりにした。

観察途中、目の前を見たこともない全身群青色の、信じがたいまでに美麗な巨大オサムシが歩いてきた。でも無視した。精霊との「デート」に、浮気は絶対禁物。やれば必ず失敗する。

この写真はそうやって命のへさきをすり減らし、すべてをかなぐり捨ててようやく手にすることを許された勲章なので、おいそれとは出せない。いずれ何らかの機会に、公開できるようにしたい。

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