1027.jpgマルハナバチ一種Bombus multivolans

タイの山間部で見た。東洋区では、より高緯度高標高でないと、マルハナバチを見るのは困難。一方で、新熱帯では低地適応のマルハナバチがそれなりにいる。日本ですら寒い地域に多いマルハナバチの仲間が、蒸し暑くうっそうとしたアマゾンのジャングルを飛び回る光景は、とても異様である。

1030.jpg熱帯アジアでは高標高に行っても、そんなに普通にマルハナバチを観察することはできない。生息密度が恐ろしく薄いから。しかし、唯一それを比較的簡単に見られる場所がある。東南アジアの高標高地は涼しいので、たいてい避暑地として観光地化される。そして、観光施設の周辺には花壇が作られ、無数の派手な花が植えられる。ここで待っていると、マルハナバチが生息しているエリアなら高率でやってくるのを見られる。
これら写真は、すべてそんな観光地の花壇で撮ったものになる。

1028.jpgしかし、お遊びで姿だけ拝みたいのならいいが、本当はこんな場所でマルハナバチを観察しても、生態学的に何も意味はない。本来、マルハナバチというのは現地在来の植物と密接なポリネーションの契りを結んでいるから、現地の野生植物に訪花している姿こそ見るべきである。人がよそから持ってきて植えた花などに来たのを見て喜んでいるのは、動物園の狭い檻に閉じ込められて右往左往するだけの獣を見て、「すばらしき野生だ」などと賞賛するに等しい滑稽さである。

しかし、日本と違って東南アジアの森でマルハナバチは、ただ飛んでいる姿すら見るのが困難である。それが現地の野生の花に来ている姿を見るなど、よほど好適地でなければ無理である。実際、いままで何度も東南アジアへ赴いた中で、一度でも野生植物にこのハチが来ているのを見たことがない。花の送粉関係の研究を熱帯でやる研究者は、本当に大変である。

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