1054.jpgクロカナブンRhomborrhina polita。静岡にて。

掴むと悪臭を放つので嫌がる向きもあるが、この漆黒につやめく体は黒塗りの高級車にも似て、とてもかっこいい。もっとストロボの当て方を工夫しようと思っていたら、すぐ飛んでしまった。
分布は広いが生息域は限られ、さほど多くない。幼虫期の詳細ははっきりしないが、樹洞で育つという噂がある。かつて、照葉樹の根元の地面に出来た穴に飛来し、一目散に入り込む個体を見たこともある。普遍的には存在しないハビタットに依存していることが、この虫がそんなに普通種でない理由かもしれない。

かつて日本国内へは、海外からペット昆虫として巨大なテナガコガネ類が野放図に輸入されていた。現在、テナガコガネ類は全種が特定外来生物に指定され、生きたまま国内へ持ち込めなくなった(そもそもテナガコガネという生物が、たいていの原産国で保護動物に指定されており、現地で採集自体できないことが多い)。
テナガコガネ類は樹洞で育つので、固有のヤンバルテナガのいる沖縄に持ち込んではいけないという理屈はわかるが、日本の本土には土着のテナガコガネはいないから、仮に海外のテナガコガネが帰化しても特に困る生き物などいないはずだ。だから本土にまで持ち込み禁止にする必要などないんじゃないか、と、当時は思っていた。

しかし、それは違った。日本の本土にはテナガコガネはいなくても、クロカナブンやオオチャイロハナムグリ、ベニバハナカミキリその他、樹洞に依存した生態を持つ昆虫類が、ものすごくたくさんいる。もしそこへ海外の巨大昆虫が割り込んできたら、どんな事態になるだろうか。餌である朽ち木内のフレークを奪われ、得体の知れない海外の寄生虫をうつされ、日本の樹洞生息性昆虫群集は壊滅的な被害を被るかもしれない。だから、本土にもテナガコガネは連れてきちゃいけないのである。

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裏山の奇人読みました
いや面白い、一気に読めます。このブログにも話の断片がちりばめられています。今国内で話題のデング熱の先駆けでしたか・・図鑑も見ながら読むとビジュアルにも楽しめました。
今度はシロアリの方の図鑑と奇人変人の続編を期待します。
カエル星人|2014.09.15/23:40
美しいよねえ
クロカナブン、美しいねえ!
小学生時代に一度だけ世田谷の桜新町駅すぐそばの街中で道路を歩いているのを拾ったことがあるのですが・・・

全長は普通のカナブン、アオカナブンの1.5倍から2倍はあろうかというもので手の上に載せてデカさと香りにおののいているうちに飛ばれてしまいました。

世田谷区なので街中とはいえ周辺に生息できるような場所があったかもしれないのだけど、すぐそばになじみのペットショップがあったのでそこから逃げたものの可能性もある(カナブンを15円で売ってたし)。

それにしてもクロカナブンはカナブンより大型とはいえ今あの個体はどう考えてもデカすぎた。
あのクロカナブンは何者だったのだろう。
残念ながら伊豆大島ではいまだに見つけていない。
伊豆の島人|2014.09.17/08:21
カエル星人様

まことにありがとうございました!まさか日本でこれほどデングが広まってしまうなど、出版当時は思いもしませんでした。今後の対策に少しでも世の人の役に立つのなら、私があの悲惨な目に遭ったことには意味があるのだと思います。
いずれ続編、あるかな?
-|2014.09.17/09:16
伊豆の島人様

最近都心近くでも、安定して発生する場所があるようですね。発生の核さえ安泰なら、本来しぶといのかもしれません。カナブンが売り物になるとは・・
幼虫をうまく育てて、どれくらい大形の成虫になるのか調べてみたいですね。
-|2014.09.17/09:20
クロカナブン
クワガタ専門誌ではクワガタやカブトムシのサイズを競い合っているのだけど、時々紹介される外国産の色とりどりのカナブン、ハナムグリ類は多頭飼育ができる話は出てくるが最大サイズにはあまり触れていないよなあ。

私も一度カナブンをカブトムシ用の高級マットで飼育してみたけどうまく産卵しなかったりさほど変わり映えしなかったりで面白い結果は出なかった。

クロカナブンはサイズに幅があるようだし、特殊な環境に依存するならば頑張れば特大サイズとか産出できるかもしれないね!

こちらも貴君ほど切れのあるものではありませんがブログをやっております。
よろしければご来園くださいませ!
イボイモリとヒナカマキリなども出てきます(^^
伊豆の島人|2014.09.18/19:28
普通のカナブンも、野外では少し特殊な環境で幼虫期を過ごすみたいですし、ちゃんと調べたら面白いことがわかるかも知れませんね。
今、人生初の屋久島へ遠征中です。のちほど来園いたします!
-|2014.09.19/16:51

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