1113.jpgトゲトゲハネカクシAstenus setifer。長野にて。

トビイロシワアリの巣に見られる好蟻性ハネカクシで、珍種。腹部側面から鋭い針のような剛毛が突き出ているのでこの名があるが、自然界では言うほど目立たない。名前のインパクトだけ先行して耳に入れてから現物を見ると、かなりがっかりする生き物の筆頭。平たい顔つきや立ち振る舞いが、ナマズじみている。

通いなれた裏山は少し登ると広大な松林が広がり、その一角にギャップ的に開けた明るい場所がある。ほんの猫の額ほどしかない狭い区画なのだが、ここは「適度に日が差し日陰もある、乾燥したガレ場」という、この裏山のどこを探しても似た状況がない特殊な環境になっている。それを受けてか、ここには裏山の他の場所ではまったく見ないツボクシケアリなど、特殊な虫が住んでいる。
数年前、秋にここのトビイロシワアリの巣を暴いたときに、こいつらしいハネカクシを一瞬見た。しかし、ここは隙間の多い地質のため、すぐに逃げられて種を確認できなかった。今回、初めてちゃんと確認できた。本種にはAcanthoglossa hirtellaという、別属だが瓜二つで、しかも好蟻性でない偽者がいるのだが、どうやらそれではなさそう。
裏山のいたるところにトビイロシワアリは巣くっているのだが、なぜか件の区画以外でこのハネカクシを見たことは、13年間一度たりともない。分布は全国的にもかなり局所的だが、反面都市部の埋め立て地のような荒廃地でも見られるようで、分布の傾向が掴みにくい。

このハネカクシは春先に多く見られる。夏に見られるのは珍しいと思う。

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