1186.jpgヨウザワメクラチビゴミムシTrechiama tamaensis。地下性昆虫。都内にて。

東京都西部から神奈川の一部にかけての山林一帯に分布し、この手の仲間としては例外的に分布域が広い。ちゃんと確認しなかったが、たしか僅か数個の個眼からなる痕跡的な複眼がある種のはず。地下数十cm以下の、大きめの石が堆積して大きめの隙間がある地層にいる。

この狭い日本には、300-400種近くにものぼるメクラチビゴミムシの仲間達が、原則異所的に生息している。すなわち、個々の種の生息範囲はとても狭いのが普通である(西日本でとくに顕著)ため、軽はずみに山一つ谷一つ開発で潰してしまえば、容易に種を一つこの世から消してしまいかねない。地下水脈に依存して生きているため、生息地そのものでなく周辺地域の開発で地下水脈が分断されても、一発で絶滅するおそれがある。
事実、そうしてこの世からすでに消えた、あるいは消えそうなメクラチビゴミムシの仲間が沢山いる。結果、何十種ものメクラチビゴミムシが、国や都道府県レベルのレッドリストに名を連ねる状況になっている。

しかし、メクラチビゴミムシは万人に愛される蝶やトンボではないから、いくら滅びそうになったところで一部の虫マニア以外誰も後世に残せなどとは騒がない。それに、この虫の仲間はしばしば鉱山業が盛んな石灰岩地帯に集中して何種も分布するため、人の生活としばしばかち合う。そういう仕事で生計を立てている人々は、こんな可愛げもなく何の役にも立たないゴミムシ如きのため、生活の糧たる山崩しをやめることなどできない。
だから、いくら国や地方の偉い人やらがレッドリストにその名前を載せたところで、これからもメクラチビゴミムシ達の生息地破壊は容赦なく続くし、今後さらに多くの種が滅ぶのはすでに決定事項であろう。目に見えている生き物の保護保全さえ場合によってはうまくいってないのに、目に見えない生き物ならばなおさら。そして気が付いたら一種、また一種といなくなっているに決まっているのだ。

1185.jpgメクラチビゴミムシは、本当はアメ細工のように繊細で美しい姿の生物だが、その生きた姿を美しく撮影する人間が日本にはとても少ない(そもそも生きた姿を撮影する目的で、この仲間を探す人間が少ない)。せめて滅びる前に、なるべく多くの種の生きた姿を「より美しく」記録として残しておきたいと思う。

トラックバック

http://sangetuki.blog.fc2.com/tb.php/1327-1867a1ed

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する