2014/11/02|Category:甲

水田脇の道路を歩いているのを偶然見つけた。動く姿は、大きさといい色彩といい体型といい、似たような環境に住むミイデラゴミムシPheropsophus jessoensisそっくり。写真は撮影のために警戒させて足止めしている状態だが、通常歩くときには長い腹部の先端を下にかがめているので、背面から見た姿がことさらゴミムシじみて見える。
なお、やはり似たような環境に住むキイロサシガメSirthenea flavipes というのも、ミイデラゴミムシに酷似する。絶対、こいつらは擬態関係にあるとしか思えない。

しかし、俺はこの30年あまりの間、日本全国のどこでもこの虫を普通に見たことなどない。幼い頃たった一度だけ、これらしき虫を庭で見たような曖昧な記憶がある程度。下手をすれば、これが人生初めて出会った個体かもしれない。
どうも平地の、あまり乾燥しすぎないそこそこな広さの草地が本来の生息環境らしい。そしてそんな環境は今の日本にはほとんど残されていないため、この虫は今の日本では明らかに絶滅危惧種である。事実、いくつかの都道府県ではすでにこの珍虫を希少種に定めている。


この阿修羅男爵顔は、斜め横方向から見たときだけ発動する。正面から見ると、別に普通。
埼玉にて。