1252.jpgギングチバチ一種。ヒラタアブを毒バリで仕留めた瞬間。長野にて。

小型アナバチ類の中で、ギングチは比較的野外で麻酔行動を観察しやすい部類に入る。決まった場所で獲物の待ち伏せをするので、その場所さえ見つけて辛抱強く待てばそのうち見られる。問題はその「決まった場所」を広大なフィールドの中から探し出さねばならないことだが。

低空を時々飛びながら、近くの葉に止まり、大きな目で辺りをキョロキョロ見渡す。目の前にハエやアブが来ると、パッと飛び立って数十㎝後ろからホバリングしつつ観察し、ある瞬間一気に突撃する。失敗する確率は高い。ピンセットでその辺のハエをつまんで、葉上にいるハチに見せると、直接ハチに渡すことが出来る。
ハチは渡した瞬間毒バリで獲物を刺す。麻酔行動はほんの5秒くらいで終わるので、その間に手近な葉上にハチを置いて撮影せねばならない。置き方が雑だとハチは嫌がって獲物を捨て、飛び去ってしまう。

ギングチは多くの種がいるが、種によっては飛びながら獲物を探し回る。長野でかつて見た、体長13mm程で腰の付け根がほっそりしてて、腰の付け根近くに一対の小さい紋があるほかは全身黒い種の狩りはすごかった。草原でフラフラ飛んでいるのを後ろから30分くらいずっとつけ回してたら、突然ピタッと空中で止まった。その前方30㎝ほどの葉上にハエがいて、それを狙っているのだが、その時にハチの取った行動はにわかには信じがたいものだった。

ハエの方向にずっと頭を向けたまま、後ずさりして飛び始めたのだ。ハチが前を向きながら真後ろに向かって飛べることを初めて知った。しかも、どんどんハエから距離を離し、最終的に1m位まで離れてしまった。一体これからどうするのかと思ったその刹那、一気にハチは高速でまっすぐ一直線に、前方へ飛び出した。まるで透明のバネの片方にハエ、片方にハチが取り付けられていて、ハチが付いている側をギリギリまで引っ張って伸ばし、急に手を放したかのようだった。ハッとした時には、既に1m先の葉上でハエがハチに捕まっていた。麻酔行動はすぐ終わり、あっという間にハチはハエを抱えて飛び去ってしまった。

あの飛び方の異様さもさることながら、たかだか1cmぽっちのハチに、1m先の葉上にいる小さなハエがちゃんと見えていることも驚きだった。とんでもなく視力がいいハチらしい。葉上に止まっているギングチの2m先で人間が軽く手を振ると、ハチがこちらの方向に向き直るのが分かる。

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