1315.jpgサトアリヅカコオロギMyrmecophilus tetramorii。香川にて。

野外ではトビイロシワアリTetramorium tsushimaeの巣内から高率で得られる、準スペシャリスト好蟻性昆虫。通常、寄主特異性の強い好蟻性昆虫は、その寄主アリ種と親密な関係を築くことが多い。だが、本種は寄主特異性の強さの割に、行動生態的にはまったくトビイロシワアリと協調せず、むしろ物理接触を避けて過ごしていることが、飼育実験により分かっている(Komatsu et al. 2013)。

彼らは同じくスペシャリストであるシロオビアリヅカと違って、アリから口移しで餌をもらうことはなく、アリ巣内でアリの幼虫や卵、昆虫死骸など固形物を拾い食うのに終始する。すなわち、サトアリヅカはトビイロシワアリのスペシャリストではあるが、親密のスペシャリストではなくアリの上前をはねるスペシャリストなのである。
なお、トビイロシワアリ巣内にはサトアリヅカのほか、クボタアリヅカM. kubotaiのある型が特異的に寄生する。こちらはサトアリヅカとは打って変わって寄主への親密性が非常に高く、常時アリと物理接触しつつ口移しで餌をもらえる。この辺に関しては「裏山の奇人」(東海大学出版部)に詳細に書いたほか、「アリの巣の生きもの図鑑」にはサト・クボタ両者の外見上の区別法を記したので、確認されたい。というガチマ。

サトアリヅカはアリそのものとは生存上、直接相互作用を必要としないので、アリなしでの長期間飼育が可能。肉食性が非常に強く、何匹も飼育している容器内に弱った小さい虫を放り込むと、ピラニアのように群がって襲い殺してしまう。アリヅカコオロギが他の生物を捕食するさまは凄絶である。

四国の海沿いには、このコオロギが局所的に多産する。とある自身の研究遂行上、このコオロギが多量に必要になったので、先日採りに出かけた。出かければこんな虫はいくらでも採れるので、すぐさま必要分は確保した。
もちろんこんな地の果てまで来た以上、このまま大人しく帰らない。精霊をデレさせるという重要な仕事が残っている。


Komatsu, T., Maruyama, M., & Itino, T. (2013). Nonintegrated Host Association of Myrmecophilus tetramorii, a Specialist Myrmecophilous Ant Cricket (Orthoptera: Myrmecophilidae). Psyche: A Journal of Entomology, 2013.

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