1406_20150330232658105.jpg萱嶋蜘蛛。マレーにて。

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以前、台湾でこの仲間を見て感激したのだが、何のことはない。いつも通っているマレーシアのジャングルの宿泊施設に、クソほどいることがわかった。

1472.jpg宿舎建物の壁面は、非常に小さな隙間や穴ぼこが多い。それらにはほぼ100%、白くちぢれた汚らしいクモの糸が絡んでいるのだが、それが全部萱嶋蜘蛛の巣だった。この壁のすぐ正面にテーブルと椅子があって、いつもここに壁を背にして座り食事も作業もする。この10年間、この施設には年1度は訪れて利用している。
すなわちこの10年来、自分の真後ろにそんなのがいることも気付かずここの椅子に座り続けていたわけだ。人間は愚かなので、自分が知らないものはたとえそれが背後にいても見えないのである。

1473.jpgもっとも、これが日本や台湾で記録されているカヤシマグモFilistata marginataと同種か否かは知らない。本属は似た種が多いので、専門家でなければ正確な種が分からない。

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警戒心が強く、なかなか全身を外へ出さない。つぶれた蚊を使って、機嫌をとりながら少しずつ外へ誘い出した。巣はいくらでも見つかるが、その大多数が空き家で、アクティブな巣はかなり少ない。このクモを専門に狙う敵が定期的に襲撃してくるため、捕まってさらわれる個体が多いのだろう。

海外でこれだけこの仲間のクモを見てしまうと、やっぱり日本の精霊ハラナガカヤシマグモF. longiventrisを再発見せずにはおれない。1960年代、九州のある洞窟でたった1匹見つかって以後、隣界にロストしてしまい、誰一人これに接触できた者がいないまま現在に至る。環境省の絶滅危惧種に指定されたが、特に保護もされていないし探索努力もあまりなされていない状況にある。
記載文に載っている姿、この属のクモ全般の生態を鑑みれば、本来あの精霊が洞窟にだけ住む生物ではないのは明らかである。しかし、50年近くにわたり誰の目にも触れていない状況なので、奴は恐らく我々の目を巧みに掻い潜った特殊な環境に生息基盤を持つ。あの、ウナギイヌのような異常に長細い体型に、そのヒントが隠されている。

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萱嶋蜘蛛・・・前世紀の残像
萱嶋蜘蛛、もしやこの名前はクモ博士の萱嶋泉先生が付けた名前なのでしょうか・・・
実は遠い昔高校で生物を萱嶋先生に習いました。授業が脱線するといつもクモの話で、クモにいつていろいろ教わった記憶があります。また野村鎮先生も当時おられて中学高校とゴミムシだのの小さな甲虫についていろいろお聞きした記憶があります。なので当時から現在に至るまで、きれいなクモや小さな甲虫が好きで、カシミアのコートで幼虫が育ったカツオブシムシをみつけてはじっと観察しこれはヒメマルだなと、外に逃がしてやっております・・・
このクモもよく見るとかわいいですね。萱嶋先生がおっしゃられていた『クモはかわいい動物です』というのが理解できます。
このブログや書籍などで小松先生もアリやアリの巣の居候好きを今後とも増殖させてほしいと思います。
突然昔の事を思い出しました・・
カエル星人|2015.06.24/03:33
萱島先生とお知り合いだったんですね!まさに、萱島先生のカヤシマです。クモ学の発展に貢献された功績をたたえ、献名されたそうです。カヤシマグモ科はヤギヌマグモ科とならび、日本人の名が科名として残っている希有な例です。
直接お会いしたことはありませんが、様々な人々の話から、当時本当に慕われておられた先生なのだと思っています。私も、萱島先生に続けるよう尽力いたす所存です。
-|2015.06.24/08:13

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