1769.jpgヤマシログモ一種。カメルーンにて。

宿の壁面に、たくさん生息していた。この仲間は巣を作るタイプと徘徊するタイプがおり、ここには前者のみいた。

クモは一般に尻の糸イボから糸を出すが、ヤマシログモは口からも糸を吐き飛ばすことで有名である。彼らは前脚を前方に突き出す体勢で待ち伏せしたり、徘徊したりする。そして、その前脚の先端に獲物が触れた瞬間、反射的にキバから粘液を発射する。これは毒液そのもので、空気中に放出された瞬間固化して糸となり、獲物に絡みつく。その場で貼り付けになった獲物にクモはゆっくり近づき、噛み付いてとどめを刺す。傍から見ていると、クモに触られた獲物がまるで催眠術にでもかかったようにその場から逃げず、そのままあっさりクモの餌食になるように見える。
本来、噛み付いて獲物体内に直接注入するはずの毒液を吐き飛ばして使うため、大量の毒液ストックが必要となる。大きな毒袋を格納すべく、この仲間のクモは頭が大きい。


ヤマシログモの仲間は英名を唾吐きグモという。しかし、実のところ彼らの攻撃方法は、人間の唾吐きなどとはまったく次元の違うきわめて高度かつ複雑なものである。
糸を吐くスピードはすさまじく早く、1-2cm離れた獲物に向けて発射した糸が、その獲物に届くまで1/700秒ほどしかかからない。目視では絶対に吐く瞬間を認めることができず、いつも次の瞬間には獲物が唐突に貼り付けになっている状態。しかも、ただ一直線に吐き出しているわけではない。左右のキバを互い違いに高速で上下させながら吐くので、糸は空中できめ細かなジグザグを描きながら獲物に向かう。だから、獲物は瞬時にがんじがらめになってしまう。

1885.jpg口元から2本の糸が出ているのが分かる。獲物に命中した後、早々に切ってしまうため、こうして見えるのはほんのわずかな間だけ。

1884.jpg
キバを上下させる動きも、当然目視では確認できないスピードでなされる。しかし、捕まった直後の獲物にかかったジグザグの糸の絡み方を見れば、単に糸をまっすぐ吐いているわけでないのは明白だ。
歌舞伎やマンガなど創作世界において、糸を投網のように投げて攻撃するクモの描写がよく出てくる。しかし、現実のクモで遠方の相手めがけて糸を投げつける習性を持つのは、ヤマシログモとナガイボグモの仲間だけである。他に、造網クモ類で自分の体格より著しく大きな獲物を捕らえる最、遠方から糸束を投げつけるように見える場合がある程度。

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外骨格に守られた獲物が、絡まっただけで麻痺する毒糸?
不思議ですね。糸から蒸発して気門から吸収されるんでしょうか。
-|2015.11.16/21:54
毒がどのように獲物に作用するのか、そういえばよく分かりませんね。私は外皮の薄いところから浸透していくのかと、深く考えずに思ってましたが・・
richoo|2015.11.17/16:43

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