1934.jpgヤガ系かシャチホコ系と思われる、折れ枝そっくりの蛾。カメルーンにて。

灯火をたくと、非常にたくさん飛来する。止まっている時は翅を畳み、細い枝のきれっぱしのようになる。模様も枝の表面の質感をよく再現しているため、枝に擬態しているのは間違いない。と、人間は信じて疑わない。しかし、ニワトリはこれを蛾としっかり認識しており、迷わず食う。

灯火採集は、毎晩宿舎の玄関先で白布を広げて行い、深夜寝る前に灯りを消す。しかし、布は広げたままにしておくため、飛来した虫たちはそのまま布に止まった状態で朝を迎える。
朝方になると、近所の野良ニワトリどもが徒党を組んでやってきて、まだ白布に止まっている、自分の背が届く範囲の虫を片っ端から全部食らい尽くしていく。見ていると、この枝蛾は特に好物らしく、白い布やコンクリの壁面についているものは決して残さず皆殺しにする。

面白いことに、たまたま周囲の落ち葉・落ち枝溜まりに止まっている蛾には、ニワトリも気づかないで素通りしていく。つまり、ちゃんと場所を選んで止まってさえいれば、一応この蛾の姿は隠蔽の効果があるらしいのだ。しかし、蛾本人は明らかに自分が止まる場所の背景に無頓着なので、結果としてかなりの個体がニワトリに食われてしまう。

1933.jpg日中ジャングルを歩いていると、道脇の青々とした草上で頻繁にこの枝蛾が止まっているのを見る。枯れ枝や枯れ葉に止まっていれば気づかれずにすむものを。だから、この蛾が枝っぽく見えるのは単に人間の側がそう思い込みたいだけで、蛾本人は自分が枝に似ていることを自覚していないと思われる。

日本でしばしばムラサキシャチホコという、枯葉がしおれてカールしたような模様の翅を持つ蛾が話題にされる。擬態だ擬態だと当たり前に言われているが、あれも相当あやしい。日中、青い樹木の葉に無造作に止まっているのがしばしば見つかるから。それに、あれの発生時期は青葉の茂る初夏から盛夏である。

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