国家tris

1922.jpg野良ニワトリ。カメルーンにて。

カメルーンの村落では、いたるところでニワトリが放し飼いにされている。放任されているもので、村人の誰がどの個体を管理しているのか余所者には全く分からない。柵もなんにもない路上や草むらを、自由に闊歩して餌を探す。
現地で人がわざわざニワトリ用の配合飼料を買い与えているさまを、一度も見なかった。恐らく、ニワトリたちは自力でその辺の虫やミミズやトカゲを捕まえて生きている。朝になると、宿舎玄関の灯火下に毎日群れで来て、そこに溜まっている蛾を喜んで食う。「ニワトリは三歩歩くと・・・」というが、民家の玄関が毎日確実に餌を入手できる場所だということは決して忘れない。

現地滞在中、一度だけ村人からニワトリを一羽購入し、つぶして夕食に出してもらった。肉は固めだったが、噛めば噛むほど旨みが滲み出して本当に美味かった。日本のニワトリではついぞ味わったことのない芳醇な味に、同行者一同無言で肉に齧りついていた。野生の餌だけで育った、野生の肉の味だ。
もっとも、単に連日肉なし、しかも全く同じメニューばかりで肉に飢えていたせいで、単なる普通の鶏肉の味がそう感じられたのかもしれない。でも、とにかく物凄く美味かった。このニワトリの味を知って以来、俺は現地滞在中ニワトリのためにいろんな虫を取ってきて食わすようになった。

村のニワトリにはハーレムがあるようで、一羽のオスの周りをいつも数羽のメスが取り巻いていた。街灯にきていた蛾をオスに渡すと、すぐについばむものの自分はそれを食わない。蛾をくわえながら低い声で「コッコッコッ・・」と、普段出さない声質のうなりを出し始める。その途端、周囲のメスが猛ダッシュでオスのもとへ駆けつけ、オスから蛾を受け取って食ってしまう。
至近にメスたちがいる間、オスは常に自分の入手した餌をメスに譲り渡していた。ニワトリのオス、やさしい。

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