1721.jpgエゾアカヤマアリFormica yessensisが護るミヤママルツノゼミGargara rhodendrona幼虫。長野にて。

北方系のツノのないツノゼミ。詳しい資料がないが、恐らく日本では本州中部以北に分布する。ハギ類に特異的に付き、集合性がとても強い。幼虫期を中心に必ずアリをまとう。北海道では割とどんなアリでも随伴するが、本州では原則としてエゾアカヤマアリだけがパートナーとなる。例外を未だ見ない。ハギとエゾアカの大規模な巣が近接して存在する条件下でのみ、この虫は生息可能。

乗鞍方面のある道路沿いの法面に、ヤマハギが密生して生えている区画がわずかにある。そこには同所的にエゾアカがコロニーを構えていて、かつてはものすごい数のミヤママルツノがいた。その様は、「アリの巣の生きもの図鑑」にも掲載されている。
ところが、「アリの巣・・図鑑」の掲載写真を撮影した翌年、この道路法面で市の役人の命により大規模な草刈りが行われた。それまで、こんな場所で草刈り自体が行われたことなどなかったのに、この年だけなぜかやられた。悪いことに、それがなされた時期が7月頭、ツノゼミ達がまだ若例幼虫の時だった。ハギは幼虫が取り付いた状態で、そこに生えていた株の全てが根元から刈り飛ばされた。飛んでよそへ移動できない幼虫たちは全滅し、その年からこの法面でミヤママルツノの発生がまったく確認できなくなってしまった。

今年、あの法面のヤマハギ群落から数十m離れた場所に生える、貧弱なヤマハギの株で、久々にわずかなミヤママルツノを確認した。去年以前はここにもいなかったので、どこか別の場所から流れてきて居着いたのだろう。しかし、どこから来たのだろうか。周囲に、発生源とおぼしき場所は見つけられないのだが。
かつての多産地だった方のヤマハギ群落には、相変わらず一匹も付いていなかった。こういう特殊な生態に加え移動能力の低い虫は、一度その土地から絶えると容易に復活しないのである。

草刈り作業はやり方ややる時期によっては、そこに生息する数多の生物にとって多大な益にも害にもなりうる。

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