カメルーンの写真も尽きてきたため、そろそろ真打ちをほんの少しだけ出そうと思う。これに会うために資金集めまでしたのだから、触れないわけにはいかない。

2048.jpgサスライアリDorylus sp.。アフリカ最強の殺人アリ。

永続的な巣を構えず、定期的に放浪を続けてさすらう軍隊アリの仲間。世界中の熱帯に軍隊アリと呼ばれるアリはいるが、アフリカのサスライアリは最も強力かつ恐るべき部類になる。コロニー構成要員は推定一億匹以上とされ、引っ越しの行列が全部通り過ぎるまで3日かかるらしい。ちなみに有名な中南米のグンタイアリの中でも大形の種Eciton burchelliiでさえ、引っ越しは一晩で終わる。

2045.jpg動物の古巣など、地中に空いた空隙を拡張して一時的な野営地(ビバーク)を造り、そこから毎日無数の捕食部隊を繰り出す。捕食行軍は、午前中に行うことが多い。獲物メニューは主に地表にいるクモやバッタなどが多いが、手近にいる大概の生き物は何にでも襲いかかる。その餌メニューには、状況次第では人間も含まれる。アフリカ諸国では、ライオンを倒すとか馬一頭を一晩で骨にするなどの逸話にも事欠かない。

サスライアリはアフリカに広く分布する普通のアリではあるが、何しろさすらいの遊牧民みたいな奴らなので、ここにいけば確実に見られるという場所がない。原則、ワナなどでおびき寄せることも出来ない。だから、出会うためにはひたすらジャングルを闇雲に歩き続け、偶然彼らの行列にぶつかるしかない。
延々と続く、高温多湿で見通しのきかないジャングル内の狭い小径を、目的地もなく丸一日何十キロも歩き続けるのは、ものすごく体力と精神力を消耗する。それも、無数のハエや蚊に巻かれながら、滝のように全身から吹き出す汗にまみれ、赤ん坊一人分くらいの重さの採集用具と撮影機材を担いで。それだけ苦労しても、全くアリに出会えずに終わる日の方が多い。
しかし、一番大変なのは運良く彼らに遭遇してから。何せ人食いアリと呼ばれるほどの猛獣なので、そんなのを観察するのは日本の庭先でアリを観察するようには行かない。

2041.jpgサスライアリは、眼が全くないため視力を持たない。だが、隊列を組んでジャングルを行進した捕食部隊は何をきっかけにするのか、ある場所で行列の先頭を扇状に広げる。無数の修羅どもがジャングルの地面を黒い絨毯状に広がり、殺戮が始まる。

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