2072.jpg奄美、湯湾岳の麓で行われていた、大規模な採石工事。自然保護区になっている山のエリアのほんのすぐ真下で、これだけ大規模な森林破壊が行われている。半年前にも同じ場所に来ているが、その時に比べて大幅に伐採エリアが広がっていた。

この島の住人の多くは、開発業を生業としているそうだ。島という立地上、産業も限られる。雇用を生み出すため、森を切り開いて林道やダムを作る方向に走るのは必然であろう。生活のためにやらざるを得ないのだから、余所者がそれに対してどうこう言うのは筋が違う。
理屈としては分かっている。しかし他方、近年奄美大島では条例により、昆虫を含む小動物の採集者を締め出す動きが急速に進んでいる。自然を守れ、虫を捕るなと追い出された後、その虫の住む森が根こそぎズタズタにされ、重機でならされていく様を、追い出された側はどう思いながら見ていろというのだろうか。

ここに限った話でなく、最近こういうのが各地であまりにも多すぎる。本当に虫を守りたければ開発をやめればいいのだが、それはやめることはできないしやめるつもりもない。その免罪符に、虫マニアを手堅く自然破壊の仮想敵に仕立て上げ、叩いているとしか解釈できない。
その片鱗は、少し前に環境省が作った「希少種乱獲するなポスター」にも現れている(http://www.env.go.jp/nature/yasei/rd_p/)。採集行為が、開発に次ぎ生き物を絶滅に追いやる第二の要因だとして大々的に報じている。それ自体は事実なのだろうし否定するつもりもない。しかし、ならばなぜ「開発は生き物を絶滅に追いやる第一の要因なのでやめよう」ポスターは作らないんだろうか。なぜ第一の要因を棚に上げて、わざわざ第二の要因をこうまでして叩きたいんだろうか。
もはや虫マニアを叩く行為自体が自然保護活動になっている。

今まで、いろんな場所へ虫探しをしに行って、各地で数え切れないほどの「自然保護のため、虫を捕ってはいけません」看板を見てきた。率直に言って、それら地域のうち8割方は、看板だけ立てて何もしてない。でも、立てた側はそれでいいのだ。虫マニアをその土地から消しさえすれば、すなわち自然が保護されたと思っているのだから。
「自然保護のため、虫を捕ってはいけません」と言えば、他に何もしてなくても、自然を愛し、頑張って保護しているように、対外的には見せられる。そう言われた方も、この人はすごく自然を愛して頑張って守ってるんだと思えてしまう。実に素晴らしい、素敵な言葉である。

あの削られている斜面の重機のキャタピラのすぐ手前にもしアマミナガゴミムシがいたとしても、拾っちゃだめなのだろうか。マニアが拾って標本にするため殺すのは悪逆非道で違法でだめだが、重機で踏みつぶすのならいいのですか、そうですか。

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環境保護団体の偽善にはうんざりします。
環境保護はいつから薄汚いビジネスになってしまったんでしょうね!

拍手のコメント欄に書いてしまったので、こっちにも同じことを書いておきますね。
うしくびげんじん|2016.01.15/19:33
ただただ悲しいばかりです。南西諸島の環境保護にまつわる問題はいろんな方向に根が深く、容易に解決出来ない事象が絡んでいるようです。
-|2016.01.16/08:04
richoo様いつもすばらしい写真をありがとうございます。

今こそ保護のあり方を見直す時期なのでしょうね。

「そこにいた」ではなく「そこにいる」ことの大切さを感じずにはいられません。
Orchidaceae|2016.01.16/22:32
こちらこそ、ありがとうございます。我々の身の回りで起きていることを、良い事も悪い事も含めて多くの人々に伝えていきたいと思ってます。
-|2016.01.17/08:47

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