今年のアルバムから。
2085.jpgアシナガミゾドロムシStenelmis vulgaris。西日本にて。

河川中流から下流の川底にへばりついて生きている。クモのような長い脚、忍者が城壁を登るのに使う鉄カギのようなツメを持つ。ツメは強く、指にしがみつかれると外しがたい。この仲間としては非常に変わった面白い姿の種だが、これと同じ所にいる近縁種はもっとすごい形をしている。こんな珍妙な水生動物が、住宅地の広がる平地の川底に這いずり回っているというのだから、日本もまだまだ捨てたものではない。

水生生物つながりで、最近出版された東海大学出版部の「湿地帯中毒: 身近な魚の自然史研究」(中島淳著)を読破した。水生生物の好きな人が、数々の困難と試練を乗り越えてサカナや水生昆虫に秘められた謎を解き明かしていく、というのが大筋の流れである。個人的に著者を知っていて、同じフィールドワーカーとして尊敬しているのだが、その色眼鏡を抜きにしても素晴らしい内容だった。
調査中、フィールドならではの様々な妨害因子に見舞われたりする所や、数々の根拠を一つずつ積み重ねて「これだ」という真理に到達する所など、思わず頷いてしまう箇所がいくつもあった。研究対象は違えど、著者の根底にあるものが自分のそれと似通っているので、共感できるし話の内容にすんなりと馴染むことができた。あくまでも、健康食品CMでいう「個人の感想」なので、そうでない人が読んだ時に果たして同じ感覚を共有できるかは分からないが・・。

一つ「おお?」となった所があった。最近、とある精霊を探しに九州の某川を自転車で2時間かけて遡った。川沿いに走りながら、よさそうなポイントを物色していたとき、たまたますごく良さそうな箇所があったためそこで降りて、精霊を探した。残念ながらそこには精霊はいなかったが、とてもいい雰囲気の環境で、時期を変えてここに来たら絶対いろいろな生物が見られるだろうと思い、その日は帰った。
その後、件の本を読み始めたのだが、読み進めるなかで著者が学生時代に魚を観察すべく通っていた川の写真が出てきた。その場所が、まさに先日俺が行ってたまたま「いいな」と思った場所そのものだったのには、心底ぶったまげた。非常に特徴的な景色なので、他と間違いようもない。自分の尊敬する著者と全く同じ「フィールド探しの感覚」を持っていたこと、著者が初めてそこへたどり着いて受けた感動の、おそらくほんの一部分なりとも自分も共有できたことが、何より嬉しかったのである。

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