精霊conference

2329.jpg2271.jpgこの冬にデレた精霊。全て、環境省の(顧られない)絶滅危惧種。水生昆虫ばかりになってしまった。しかし、別に水生昆虫図鑑が作りたいわけではない。絶滅危惧種に水生昆虫があまりにも多いから、必然的にそうなっただけのこと。あと、寒い時期でも水生昆虫は探せるから。



昨年度、絶滅危惧種のクソ地味な虫共のみ集めた写真展を開いた。余所ではそうそうやらない試みだった故、地元では結構な話題となり、地元テレビ局の取材に来ていただいたりもした。来客の人々からの評判も上々だった。しかし、一部「種数があまり多くなくて残念」との感想を残した人がいた。展示スペースの都合上、あまり無尽蔵に展示種数を増やせなかったというのもあるが、その当時そもそもそんなに多くの絶滅危惧種を落とせていなかったというのが大きい。

好きでやっているばかりか自分で決めたこととはいえ、自分の本職の合間に絶滅危惧種を現地まで行って生きたまま撮影するというのは、相当に大変だ。絶滅危惧種と言ったって、俺が求めているもののうち大半は別にどこかの保護区で守られていて、行けばいつでも会えるという類のものではない。大抵は、宅地・リゾート開発し損ねた、そしてこれから開発する予定の「遊んでいる土地」にいるものばかり。ものによっては家のすぐ近所で見つけられるものもあるが、ものによっては相当な遠出をせねば遭遇できない。

金と時間は非常に限られているので、絶滅危惧種に会うためには、それがいつどこにいけば出会えるかを事前に入念に調べる必要がある。行くからには、何物に引き替えてでも絶対に落とさねばならない。だから、今まで出版された虫の同好会誌を洗いざらいチェックし、関連する文献を片っ端から買い集める。しかし、文献さえ手に入れたら精霊との邂逅が保証されるわけではない。今の日本の自然環境は、秒単位で悪化の一途を辿っている。これがここにいるという情報を元にわざわざ大枚叩いて出かけたら、流行のメガソーラーに産地まるごと潰されていたなどはざらだ。
また、文献自体が版元販売元ともに完売で入手の術なしということもある。こういうときは、本当にどうしようもない。あのゴミムシやその蛾などは、それで既に探索を断念せざるを得ない状況にある。

時にはネット上に公開されている市町村、企業などの環境アセス報告書などを、野良犬のように嗅ぎ回って掘り当て、意地汚く閲覧する。
しかし、この手の資料では希少種保護の観点から、その種が確認された地点をぼかしていることが多い。だから、国土地理院の地形図やグーグルマップの航空写真などを駆使し、土地の成り立ちや植生の様子から考えて一番ここが怪しいというエリアをピンポイントで予測し、実際にそこへ行く。うまく当たることもあるが、外して無駄足を運ぶだけの結果になることの方がずっと多い。

最近それを見つけた詳しい人に聞くのが、一番こちらの持てるリソースの無駄がなくていいのだが、この手はあまり使えない。何せ、腐っても絶滅危惧種。それの居場所を知る人は、必然的にその種の安寧を守らねばならない義務を負っている。地味な絶滅危惧種といっても、分類群によっては例えばゴミムシ類のように熱烈なマニアがいて、下手に居場所を教えようものならばトラップで根こそぎ採りに行く輩がいないとも限らない。専門にそれの保護活動をしている人もいる。そんな人に、写真が撮りたいから程度の理由で、絶滅危惧種の居場所を教えろなんておいそれ頼めるわけがない。
よほど互いに気心の知れている、親しい人相手にしか聞けない。しかし、あまりにも教えてクンに成り下がるのも周りの迷惑になるし、何よりこっちにもプライドがある。結局、一人でどうにかするしかないということになる。

絶滅危惧種一種仕留めるだけで、ものすごい労力と時間と金がかかる。だから、世間様にお披露目できるレベルのものを完成させるまで、道のりが遠い。「これっぽっちしかないのか」などと言わず、気長に待って欲しい。
とはいえ、あまり余裕かましているとどんどん絶滅危惧種は増えていくだろうし、下手すれば絶滅するものも出てくる。どこかで区切りはつけねばならない。

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