2261.jpgカネコトタテグモAntrodiaetus roretziの巣。長野にて。

薄暗く湿潤な山道の斜面などに、横穴を掘って住む。入口には、観音開きの二枚扉を取り付けて擬装するため、知った上で探さねばまず見つけられない。
発見の至難さから、潜在的にはまだ発見されていない産地が各地に存在すると思われる。しかし、自然度の高い場所に好んで生息する種のため、気付かれず既に開発で壊滅した産地もまた潜在的に多いであろう。環境省の絶滅危惧種だが、特に気遣われることはない。

長野県内でも、本種の記録は非常に少ない。そんな中、俺が大昔に見つけた秘密の産地がある。既知産地かどうかは知らないが、多分公式に存在が明かされていない個体群であろうと思う。ある薄暗い山際の、土砂が詰まった石垣の隙間に営巣している。15年前、最初に長野に来た年に見つけたそこは、かなりの高密度でカネコトタテグモが見られる場所だった。しかし、2011年あたりに周囲の山林が大規模に間伐された辺りから、石垣に直射日光が当たるようになり、それ以後全く発見できなくなってしまった。

先日、無駄だと思いつつもその場所に行き、戯れに探してみた。驚いたことに、何匹か幼体の巣を発見できた。日が当たらない、石垣の隙間のかなり奥の方に営巣し、かろうじて命脈を保っていたらしい。全滅を免れていたことが分かり、ひとまず安心した。しかし、ここが彼らにとって今だ劣悪な状況下にあることには変わりなく、今後注意しておいたほうが良さそうだ。

この手のクモ類は、猫の額ほどの面積のエリアに多数個体が集中して定住する。しかも移動分散能力が桁外れに低いため、おそらく同じ血筋の親子孫がずっとそのエリアから出ることなく代替わりしているのだと思う。よく近交のしすぎで個体群が潰れてしまわないものだと思う。

トラックバック

http://sangetuki.blog.fc2.com/tb.php/1941-7f41201d

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する