利根川幸雄

2573.jpgウマアリCataglyphis sp.。ケニアにて。

ヨーロッパ、アフリカの乾燥地帯を象徴する、やたら足長のアリ。地中に営巣し、地表で採餌するのだが…
このアリは、肉眼で目視するのが困難なほどのスピードで、灼熱の地表を疾走する。今まで世界中でいろんなアリを見たが、こいつは紛れもなく最高速。巣口で見ていると、地中で掘った土砂をくわえて穴から出て来て、10cm離れた所まで行ってそれを捨て、また穴に戻るという作業を、1秒未満のうちに終える、と言えば、どれほどの速さか想像がつくだろう。基本的に、動作が止まる瞬間がない。それくらい地表面が暑いのだ。

しかし、辛抱強く巣口で見ていると、奴らは高頻度である決まった場合を踏んでから外へ出かけるのに気づく。そこで、その場所にあらかじめ置きピンしながらカメラを構え続け、来たと思った瞬間反射的にシャッターを切るやり方を使い、それなりに撮れた。
というより、それ以外にあれの生きた姿を野外で撮影する方法などない。

この方法は、撮影者の体力と精神をみるみるうちに削る、非常に危険なやり方だ。アリも立ち止まらない灼熱の地べたで、直射日光のもと10分位身動きせず這いつくばるのだから。身の安全を考えると、リアル焼き土下座は一日一回が限度の荒業。
また悪い事に、このアリの巣は炎天下の下にしかない。採餌ワーカーも見るからに暑がってるくせに、日陰では決して行動しないのだ。いっそ夜ならば動きが鈍って撮影しやすいかと思ったら、なんと奴らは日中しか活動しない。夜は巣口を閉じて完全に寝てしまう。よって、このアリの観察手段は炎天下での焼き土下座のみ。

ただ、午後の最強に灼熱な時間になると、さすがのアリもあまり地表に見られなくなる。巣内で休むのだ。
我々は、炎天下の午後でも虫を探してサバナを彷徨い続けた。同行者の一人が、アリでさえ働かないサバナで働いてる我々人間て、すごく馬鹿ですね、と乾いた心に染み入る哲学的名言を残した。

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