英雄譚

2608.jpgオオキノコシロアリMacrotermes sp.。ケニアにて。

地下でキノコを栽培して餌にする、大型種。アジアにもいるが、アフリカにいるものはことさらに巨大。複数種いるようで、今回見たのが何かはわからない。

兵隊カーストに二形あり、でかいほうは2cm弱もある。巣を破壊されたり、夜間採餌用の行列が巣外へ繰り出されると、表に姿を現して警護にあたる。
こいつの攻撃は苛烈かつ容赦ない。危険を感じると、大きく硬い頭を高速で地面に複数回叩きつけて威嚇する。一匹やると、両隣の個体も触発されてやり始め、やがて波状にそれが広がっていき、ザザァーーッという大きな音になる。
それで敵が引かない場合は、武力介入が始まる。敵に向かってものすごいスピードで、一回だけ頭を前方に突き出す。その際、鋭利なキバを一回だけ閉じて噛み付く。瞬間的に、一度の攻撃の中で突き刺しと噛み付きを同時に繰り出す。そのため、もろに噛まれた場合はもちろん、キバが掠っただけでもこちらの指の皮がスパッと裂かれ、噴水の如く鮮血が散る。軍手や衣服の生地を裂くことすら造作もない。別名・一刀修羅。

2609.jpgたった一匹にやられてさえ大ダメージは免れないのに、こんなのが一つの巣に無限にいるのだからたまらない。しかし、大型動物に対しては遺憾無く効果を発揮するこの一刀修羅も、肉食のアリの集団に対しては比較的無力。

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アフリカのオオキノコシロアリは、虫そのもののみならず巣のサイズも巨大だ。赤土を唾液で固めて、塔のような蟻塚を形成する。オオキノコシロアリの仲間は、程度の差はあれ蟻塚を作る種が多いが、アフリカの奴は高さ3m以上にもなる煙突を塚から伸ばす。

2610.jpgある日の夜、たまたま低い煙突の塚を見つけ、何の気なしに煙突すれすれに手をかざしてみた。途端、異様に熱く湿った風を感じて反射的に手を引っ込めてしまった。最初、日中強い日差しにさらされて巣内にこもった熱気が出て行っているのかと思ったが、多分違う。巣内でシロアリが活動する上で発生する代謝熱が放出されているのだろう。まさに生命そのものに手を触れているのだ。

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