2618.jpgスズムシHomoeogryllus japonicus。山口にて。

西日本では割と普通だが、東日本から殆ど出たことがなかった身としては、その辺にスズムシやマツムシが沢山いるという状況は大層希有に思える。特にスズムシなど、幼い頃から出店で売られているか近所の家で飼われているものしか見たことがなかったため、本当にこれが日本において野生でも生存している生物なのか本気で疑った時期さえあった。

ある草原を夜中歩いていたら、沢山の個体が地面に出てきていた。そして、彼らは道端に落ちているキツネやタヌキの糞に集まり、一心不乱にそれを暴食しているのだった。万葉の和歌にも詠われた美声のスズムシは、一方で下手物喰いを平気でする昆虫なのだ。
もっともスズムシは雑食なので、ウンコを食い散らかすのは別に不思議でも何でもない。飼育する際にも、ナスやキュウリのみならずちゃんと煮干しやカツブシを喰わせないと、仲間内で共食いしてしまう。動物のウンコはタンパク質を豊富に含むため、彼らにとっては重要な餌の一つだ。

俺が今まで生きてきた中で見てきたスズムシの姿は、ほとんど全てが人間の家の中でケージに飼われていた姿だった。小綺麗にセットされたケージ内で、小綺麗な野菜を食いながら美声で鳴く、人間に媚びたような姿ばかりだった。そのスズムシが、人目も憚らず野生をむき出しにして、吐き気を催す腐臭・死臭を放つウンコを食い荒らしている様をみて、ああ、これはまさしく野生の生物だったんだなと思い、妙に嬉しくなったのである。

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